決闘
屋上:
俺と名前も知らない女の子との戦いが始まった。
「先手必勝!」
そう言うと彼女は前方に槍を構え
突進してきた。
「早いッ!?」
またも間一髪避けるがそこからの連撃により
体中に切り傷ができる。
「どーだよ!?」
「私の連撃威力と精密さはッ!?」
「くッ」
(私たちかなりなめられてますよ!?)
(この程度のかすり傷で威力と精密さを聞いて
くるなんて!)
「いや違うッ!」
「あの子の攻撃は1回たりとも俺に当たってない!」
「よくきずいたなぁ!」
「私の真空斬に!」
「私たちの技を見せたんだ」
「あんたらの炎の爆発見せてくれよッ!」
さらに彼女の攻撃は加速する。
的確に肌に触れることなく。
俺は地面に膝をついて守りを固める。
「ハハハッ!」
「殺す気はなかったがこのまま守り続けてる
だけじゃおまえ達死ぬぜ!」
「そーかもな…」
「わかってんじゃさっさと攻撃してこいよ!」
俺は防御のため下げていた頭を少し上げ彼女に
視線を向ける。
「まだ目は死んでねぇなぁ!」
(こいつのこの目防御に徹しているというよりか
私の何かを待っている目だな…)
「望むところだ!」
そう言うと彼女は距離を置いた。
(来ました!)
(あれです)
(あの攻撃です!)
(彼女の攻撃の中で最も威力と隙がある攻撃!)
俺はさらに身構えた。
彼女はそれと同時に俺に向かって走り出した。
(来ます!)
そこから彼女は俺の数メートル前で跳躍し、
俺の頭上に到達槍のしたづき態勢で
落下してきた。
(今です!)
『神炎ッ!爆!』
辺りが炎の爆発に巻き込まれる。
(作戦通りで…)
突然炎の海から俺の首横に向かって一撃が入る。
「えっ!?」
「なかなか両方の意味で火力の高い技じゃん…」
「でも、残念!」
「単純過ぎたねッ!」
「これで終わりにしよ」
「どうしてッ!?」
「最初に…仕掛けてきたのは…そっちだろ!?」
「逃げる…のか!?」
「逃げるも何もおまえらはもう戦えないだろ?」
「今使ったのは私たちの連発できる小技とは
違って大技だろ?」
「もう動くのもやっとなはず…」
「それでも…売られたケンカは買って勝つ…」
「何だよ…」
「見た目によらず男気あるじゃん!」
「そうだな!」
「売ったケンカから金だけ持ち逃げってのは
確かに違法だな!」
「いいぜ!」
「かかってきな!」
俺は彼女の言葉通り防御を捨て力の入らない足で
立ち上がり、彼女へ突進した。
しかし、剣と槍あからさまなリーチの差により
ことごとく攻撃は受け流された。
(懐にさえ入れればリーチの短い俺の方が
有利だが…それまでが遠い)
(もう一度)
(もう一度です)
「えっ?」
(あの攻撃をもう一度させるんです!)
「でも…」
(私を信じて下さい…)
「…ずっと信じてたよ」
「しずなは俺のパートナーだから…」
(はいッ)
俺はしずなを信じ女の子との距離をあけた。
「どうしたッ!?」
「おまえらの攻撃じゃこの距離とどかないよ!」
(この距離感私を誘っているな…)
(いいぜ!)
(乗ってやる!)
彼女は俺に向かって走り出し数メートル前で、
跳躍し俺の頭上に落ちてきた。
(さっきのシチュエーションと同じ!)
(これをまた待ってたんだろ!?)
(次はどうする?)
(またあの大技を捻り出すか?)
俺は動かなかった。
槍先が頭上数センチに達するまで…
ガラゴンッ
辺りは煙に包まれる。
(この感触!?)
(避けられた!?)
(まずいッ)
煙の中から突然彼女の首に向かって一撃が走る…