手紙
学校玄関:
「おはようございます。」
「あっ、お、おはよう。」
「どうしたんですか?」
「ボーッとして?」
「い、いやなんでもない。」
「おはよ。」
「どうした?」
「二人で?」
「いえ、私はなんともありませんが
蓮太郎くんの動きが怪しくて…」
「いや、それはもともと」
「トイレでも我慢してんじゃない?」
「それだ!」
「それだってなにが?」
「俺にはトイレがあるからッ」
「それじゃッ!」
俺は二人から逃げるように走り去った。
「いや…トイレを用事があるからみたいな
使われ方しても…」
「本当その通りです…」
北校舎トイレ:
(ここならゆっくり読むことができるな…)
そう、今朝玄関で怪しい動きをしていたのは
これのせい。
下駄箱に、入っていたのだ…
“ラブレター”
今どきアナログだなと思ったが
俺の連絡先を知っている女子は、だれもいない。
仕方ないことだ。
(緊張するなぁ)
(やっぱ俺には春が来てたんだ)
(カナトには部活の勧誘だったて嘘ついたけど)
(これで胸を張って本当のことが言える)
そう思いながら、震える手で手紙を開く。
突然のお手紙すみません。
ですが、私のこの気持を私自身押さえることが
できなかったので手紙という形をとらせていただきました。
私はあなたを昨日からずっと見ていました。
ずっとと言っても五時間目終了からですが。
そこから篠崎さんに呼ばれたのも
二人で話しているのも、
友だちと帰っているところも見てました。
そして異界者と戦い勝ったところも…
そのとき私は思ったんです。
“あいつと戦いたい”と。
なので、放課後屋上で待ってるから絶対来い!
まったく気にしてなかったが手紙の裏には
“果たし状”と、書かれていた。
(もう、何が何だかわからねぇや…)
放課後:
「どうしたんですか?」
「どこに行くんですか?」
「協会に登録しようと思ってたんですけど…」
「ごめん…」
「今から屋上に行くから…」
「屋上は立ち入り禁止なはずですよ?」
「だったら何で昨日俺をそこに呼びつけた!?」
「いや、知らなかったので…」
「それで何のために行くんですか?」
「ハァ~ぁ、決闘を申し込まれた…」
「誰からですかッ!?」
「知らない…」
「今朝下駄箱の中に果たし状が入ってた…」
「それをあなたはラブレターと勘違いし
私たちからそそくさと逃げた、と。」
「何でそれをッ?」
「カンですよ!」
「さて、屋上への階段につきましたが、
一つ言えることがあります。」
「それは、手紙の送り主も私たちと同じ
異界者を討伐する二人組ということです。」
「やっぱりそうだよなぁ…」
「いいチャンスじゃないですか。」
「私たちの腕試しができますよッ!」
「威勢が良いな…」
「とーぜん。」
「行きましょう。」
俺達は階段を上り屋上に誰がいるかを確認した。
そこには、赤毛で肩ほどの長さの髪をした
女の子が槍を持って立っていた。
「やっと来たか…」
「それじゃあ、さっさと…」
「戦おうぜッ!」