1000年前から…
自宅:
「と、その前に」
「私たち二人以外にこの家に、
誰かいますか?」
「いいや、誰もいないけど…」
「それが?」
「いえ、話を聞かれるのを避けたいので…」
「そーいうことね。」
「でも、早くしないと奴が帰ってくるかも…」
「え?」
「いや、何でもない。」
「話を始めよ。」
「誰か帰ってくるかもだし。」
「そうですね。」
「では…」
彼女は話し始めた…
異界の者との戦いは1000年近くから前の話で、
約100年周期で異界の扉が開きこの世界に
入ってくる、今年がその周期に当たる。
それに備えて、人員を増やすべく主を持たない
人器と呼ばれる武器になることのできる人は、
手当たり次第相性のいい人に声をかけてる。
俺はそれに引っかかったというわけ。
「これでだいたい、奴らとの戦いの歴史と
あなたに声をかけたことの
理由はわかりましたね。」
「では、次に奴らについて話します。」
奴らとは、異界の者とまとめて呼んでいるが、
結局ゲームなどで言う魔物と同じようなもので
多種多様であり、中には人を食うものもいる。
さらに言えば食った人の皮をかぶり社会に、
溶け込んでいるものがいる。
さっき倒したのがその例であるが、
知能が高いものになるとほとんど人間と、
見分けがつかなくなったり、皮をかぶらずとも
変身できたりするものもいる。
「そのため、戦うすべを持たないない人が聞き、
信じると人間不信になってしまうわけです。」
「だからか、ずっとその事については
気になってたんだよね。」
「一応、納得した。」
「最後に、今後についてお話します。」
今後は、対異界者討伐協会というところに
登録して、そこから出される依頼や任務を
達成していくことで力を付けていき、
いずれ来る決戦の日に備えるとのこと。
「依頼や任務を達成したら
何か報酬とかでんの?」
「もちろん報酬金が出ます。」
「それで生計を立ててる人も、
いるくらいですのでそれなりには…」
「まじでッ!?」
「最近財布の中身が寂しかったから助かる!」
「あまりそれ目当てで受けるのは
止めといた方がいいですよ。」
「報酬がいいと言うことはそれだけ厳しい
ものだということなので。」
「私たちならおこづかい程度ですよ報酬は。」
「それで十分だよ!」
「そうですか…」
「で、中身が寂しいと言ってましたが何に
使ったんですか?」
「そ、それは…」
ガチャッ
家の扉の開いた音がした。
「や、やばッ」
「帰ってきた。」
……
「にーちゃんッ!」
「にーちゃんッッ!」
一階から俺を呼ぶ声がした。
「な、何だよ!?」
「ゴムはしっかり付けなよ!」
ドドドドドドッ
ッパァッッッン!!
「痛ぁ~ぁ」
「何すんだよ突然妹の頭叩きやがって…」
「お前が変なことを言うからだろ!」
「やっぱり女の子なんだぁ」
「お父さんとお母さんに言っちゃおッ」
「それだけは止めてください」
「お願いします。」
「えぇ~どうしよっかなぁ~?」
「こ、これでなんとか…」
3000円を手渡した。
「仕方ない黙っててやる。」
(まったく、妹が安いのか俺が弱いのか…)
俺は部屋に戻った。
「騒がしくてごめん…」
「俺が金欠なのはこれが理由…」
「いえ、楽しそうでした!」
「私にも妹がいるんですが、
今は私が独り暮らしなので…」
「そ、そうなんだ…」
「すみません。」
「楽しそうなんて言ったのに、
暗くなっちゃって…」
「これで私は帰ります。」
「そーだね…」
「もう、暗いし気をつけて帰ってね。」
「はいッ」
「わかっています。」
「質問は明日受け付けますので。」
「うん、わかった。」
「それじゃあ、また明日。」