影の少女
深夜神社:
初依頼をこなすため真夜中の人気のない神社へ
入って行くのだった。
「しずな黒い影はどこに行った!?」
(もっと奥の方にいったみたいです)
「いくぞ!」
「うん!」
俺達は建物の裏手へと回った。
裏手には何かが祀られている大きな岩があった。
「本当にここであってんのか?」
「俺に聞くなよ。」
「こっちだ!って言ったのはしずなだし…」
(私に責任を押しつけないでください!)
(よく確認もぜずに!)
「すみませんでした!」
「こーくんはどう思う?」
(僕には何も見えてなかったからなんとも
言えないよ…)
「そっかぁ…」
(どうしたの?)
(いつもみたいな元気がないけど…)
(やっぱりこの依頼止めた方がよかったんじゃ
ない?)
「いや」
「私の苦手を克服するための試練だから…」
「止めるわけにはいかない!」
「一旦周囲をみて回ろうぜ」
「そーだな」
岩の周りをぐるりと一周するが何もない。
「やっぱり何もないじゃん…」
(おかしいですねぇ…)
(たしかにこっちに行ったと思ったんですが…)
「仕方ない。」
「ほかの所を探そうぜ」
「そーするかぁ~」
俺達はほかの所を探しに岩から離れていく。
スッ
何か後ろから物音がした。
素早く後ろに振り返る。
そこには今にも闇に溶け込みそうな全身黒の服に
黒の髪、唯一顔と手は月の光により青白い少女が
ポツンと立っていた。
「君が最近ここに出るって噂の影か!?」
「…」
「おい」
「どうした?」
「いや、この子が突然現れて…」
「影の正体か!?」
「だったら先手必勝!」
かえではそう言うと彼女に飛びかかり彼女に槍を
突き立て辺りに砂煙が舞う。
「ちょっと待って!」
「その子が影の正体って決まった
わけじゃない!」
かえでの攻撃に反応できなかったため止めに
入るのが遅れた。
(あいつあんなに速かったのか…)
(いや、それどころじゃない!)
(あの子が生身の人間だった場合犯罪になる!)
砂煙が薄くなっていく。
(どうか俺の忠告が届いてますように!)
そこには少女の目の前の地面に槍を突き立てて
いるかえでの姿があった。
「よかった」
「間に合ったか…」
「よ、避けられた…」
かえでは少女に視線を送ったとたん
地面に刺さった槍を引き抜き目にもとまらぬ
速さで連撃を放った。
「えっ?」
「嘘だろ!?」
素早い連撃は一発も少女に当たらず終わった。
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ…」
「私の攻撃が一発も当たらなかった…」
膝に手をつくかえでに少女は手を伸ばす。
「ウォォォオ!」
フゥンッ
俺はかえでと少女の間の空を斬る。
「かえでは下がれ」
「あとは俺がやる!」
(気をつけてください)
(あの女私たちよりずっと早いです)
(あと気配にも注意してください!)
俺は彼女に突撃し攻撃をする。
フゥンッ
また彼女には避けられ空を斬った。
「どこに行った!?」
辺りには彼女の姿はなかった。
(上です!)
言われた通りの方をみる。
そこには建物の上にたち月光に照らされている
彼女の姿があった。
「また…次の機会に…」
スッ
「ちょっと待って!」
すでに彼女の姿はなかった。
次の日図書室:
「先生」
「すみません依頼のことなんですけど…」
「はいッ」
「報告は受けてますよ」
「頑張りましたね!」
「えっ?」
四人は互いに顔を見合わせる。
「こちらが報酬です」
「いやいや、俺達何もしてないんですけど。」
「ここには依頼を止めるために来たんですけど」
「そうだったんですか…」
「依頼を受けてたのはあなたたちだけですし
異界者の死体も見つかってると聞いたので
あなたたちがやったのかと…」
「でも、正直に言ったの偉いです!」
「次こそは自分たちの力で依頼を達成してきて
くださいね!」
「誰かが倒してくれたなら一安心だぜ!」
「そーだな…」
「そーいえばあの時なんで気配に気をつけろ!」
「なんて言ったの?」
「私彼女に1回だけ会ったことがあるんですよ」
「その際に気配なく後ろに立たれたので…」
「それで気をつけろと言ったのです…」
「そういうことね…」
「また次の機会に、か。」
「またあの子と戦うことになるのかなぁ…」
「そうですね…」
「それまでに彼女と互角に戦えるよう
頑張りましょう。」