出会い
初投稿の作品です!
春の訪れ新学期、新生活、新入生、新クラス…
岩吹高校校舎内廊下:
周りの雰囲気を、ものともせず暗いオーラを放ち、
肩は外れんばかりに落ちて、
頭のてっぺんは前を向いて歩いている。
「はぁ~」
大きなため息が廊下に響き渡る。
「どうして俺はいつもこうなんだよ…」
さすがに独り言は、ため息よりは小さくでた。
トントン
不意に肩をたたかれ振り返る。
そこには、俺とは真反対とまでは行かないが、
明るいオーラを放っている男が一人。
「高澤 蓮太郎さん
じゃ~ないですか!」
「井原 奏人さん
じゃ~ないですか。」
「なんだよ。」
「いや、別に。」
「暗いオーラを放っているやつがいるな~と思って。」
「暗くてわるかったな!」
「おっ、ちょっと元気出たんじゃない?」
「で、どうした?」
「はぁ~」
「おまえも見ただろ、クラス発表。」
「見たけど…」
「自分のだけ。」
「俺のも見ろよ!」
「親友のクラスだぞ!」
「普通確認するだろ!」
「はいはい、落ち着け。」
「その反応からするに、おまえが親友と思っている俺と、
別のクラスになったわけね。」
「察しがいいな。」
「ありがとう。」
「さらに言えば、おまえをいじってる安元
とは、同じクラスだと。」
「…そーだよ」
「その通りだよ!」
「どうしてわかった、すごいなおまえ!」
「まぁね。」
「察しがいいで有名だから俺は。」
「嘘だな。」
「とーぜん。」
「やっぱり、親友である俺が心配で
クラス発表俺のも見てくれてたんだな。」
「あっ、あれは本当だよ。」
「おまえだけのためにあんな人混みのなかで、
時間は割きたくない。」
「じゃあ、どうしてわかったんだ?」
「おまえ文系選択しただろ、俺は理系選択だからだよ。」
「クラスが違うのは当然のことだよ。」
「数学がやりたくないだけで選択したのが失敗だったか…」
「まっ、これから1年間三組で頑張ってね~」
「1年間かぁ~」
「長いな」
「いっても、登校日数は200日程度だから。」
「今日終わればあと199日だよ。」
「そう言われると、少しは気分が楽になるな。」
「それじゃ、俺は隣の二組だから。」
カナトは教室に入っていった。
「俺も行くか…」
俺は三組の教室に一歩踏み入った。
「ごめん、言い忘れてた。」
「特進クラスの一組に行かないかぎりは、
クラス替えがないから。」
「おまえは、あと400日そのクラスに登校することになるよ。」
カナトは教室から顔だけ出して余計なことを、
付け足しやがった。
「黙ってろ!」
「人がへこむようなこと言いやがって!」
「腹黒やろーが。」
笑顔でこちらを見てくるのがさらに、
腹黒さと腹立たしさを際立たせる。
そんなやつのことは、無視して教室へ入る。
「昼飯は二組にきてね~」
「そっちいくのめんどうだから。」
「行くかばーか。」
二年二組昼休み:
教室の一画に、負のオーラを放つ男がいた。
「どうした?」
「今朝とは立場が逆転してるぞ?」
「副委員長にされました…」
「どうして?」
「じゃん負け…」
「いいじゃんか。」
「じゃんけんなんてチャンスを与えられて。」
「俺なんか…」
「推薦で強制的に委員長だぜ…」
「安元か…」
「安元だ…」
『はぁ~』
俺達の心が静まる。
ガラガラ
教室の扉が開く音が静まる心に響き渡る。
扉の前には開けたであろう少女が立ってキョロキョロしている。
(スゲーかわいい女の子だ)
俺はいわゆる一目惚れをした。
一瞬目があったかと思いきや、こちらに近づいてくる。
「あの、すみません」
さらに俺に話しかけてきた…
「どーだった?」
「はい、オッケーもらいました!」
そんなわけなかった。
彼女は、カナトにそれだけ伝え去って行った。
「あの子誰?」
「うちのクラスの委員長。」
「転校初日にもかかわらず、
委員長に立候補したから大丈夫かって先生が。」
「でも、あの子が委員長になってくれて本当に
よかったよ。」
「危うく、委員長にされたうえに、五時間目の
学年集会で話さなくちゃいけなかったからな。」
「待って、話さなくちゃって何」
「委員長の意気込みみたいなやつを2学年の前で話すってやつ。」
「あっ、そろそろ時間だし行かなきゃ。」
「先に行ってるからな。」
カナトは俺をおいて先へしまった。
「俺…そんな話…」
「聞いてないんだけどぉぉ!」
五時間終了:
「ほっんと面白かったわ~。」
「おまえの話し。」
「うるさい!うるさい!うるさい!」
「話しの内容ってよりか、
しゃべり方と仕草だよなぁ~。」
「唯一おまえが喋ってるときだけ、
全クラスから笑い声が聞こえたし。」
「ただ馬鹿にされただけだろ。」
「そもそもおまえが馬鹿にしてるし。」
「まぁね。」
「良いスタートが切れてよかったじゃん。」
「よくないって!」
カナトの足取りは、軽く教室に戻って行くが、
俺の足は重く、カナトとの間がどんどん広がっていく。
「すみません…」
俺の後ろで謝っている子がいる。
「すみません。」
(誰にあやまってるんだ?)
(聞いたことある気がするんだけど?)
(振り返って俺じゃなかったら恥ずかし…)
「すみません!」
トントン
肩をたたかれた。
あの謝罪は、俺に対してだった。
振り向くとそこには、
俺がさっき一目惚れした女の子。
(名前はたしか…)
「篠崎 しずなです。」
「え?」
「高澤さん今日の放課後屋上に来てください。」
「待ってますので。」
彼女はそそくさと立ち去ってった。
(これは…もしかして…俺にも春が来るのか?)
俺は走り出したカナトに向かって。
「おいおいおいおい!」
「聞いてくれ、俺にも春が来た!」
「何言ってんの?」
「春はすでに来てるだろう。」
「頭おかしくなったか?」
「ごめん、もとからだった。」
「何とでも言え!」
「放課後玄関で待ってろ目にもの見せてやる。」
「そーですか。」
「目にもの見せてください。」
放課後屋上:
そこには、約束通り彼女がいた。
緊張してるのだろうか、少しうつむいている。
「篠崎さん話って…何?」
「はい。」
「単刀直入に言いますと」
「高澤さんには…」
「私のパートナーになってもらいたいのです。」