第四章(28)
今回もお立ち寄り頂きまして、ありがとうございます。
今回、話しの通じないミシェルさんの回です。
よろしければ、今回も最後までの、お付き合いお願いします。
騎士養成校のルドルフとの話しが終わり、大会出場者用に学園が借り上げたホテルに戻る途中、誰かに後をつけられているのを感じたので、通りの角を曲がった所で待ち伏せてみると、尾行していたのは、ミシェル·リンドバーグだった。
「僕に何か用かい?」
「ああ、用事と言うか、君と契りに来た。」
「契りません。」
「君は、焦らすのが好きなのか?」
ああ、始まった、この人は、何故人の話を聞かないんだ?
「焦らしているつもりは有りませんから!」
「じゃあ、君の宿舎でヤるのかい?」
「この後は、ホテルに帰って、夕食の後、お風呂に入って寝るだけです。」
「君が泊まるホテルは、何処なんだい?
夕食にする?それとも私にする?ってやってみたいんたけど♡」
「質問が有るのだけど、ミシェルさんは、何故、僕の話を聞いてくれないの?」
「それは、君が僕の望みを叶えてくれないからさ。」
「じゃあ、ミシェルさんの望みは、何ですか?」
「勿論、君の女になる事さ!」
「僕には、既に婚約者が居るんですけど。」
「そんな事、僕は気にしないよ、妾でもいいんだ、君と子供を成したいんだよ。
君は、剣に魔法それから、徒手空拳の格闘技も全てにおいて、他の追従を許さない実力を持っている。
そんな強い男の子供を産みたいと思うのは、女の幸せだと思わないかい?」
「言ってる事は、理解出来ない訳じゃ無いけど、余りに押し付けがましいのは、相手に嫌がられると思わないのか?」
「僕は、幼い頃より、男兄弟の中で、格闘技と剣術ばかりで、男の様に育ってしまったので、女らしい事が苦手なんだ、だから、こんなやり方しか思いつかなくて………」
「それならそれで、人の言葉にちゃんと耳を傾けて、相手の話を聞かないとダメだよ。」
「でも相手に拒絶されたら、それで、終わってしまうじゃないか!それなら、勢いに任せて、攻め落とせないかなって………」
「それは、ある意味、逆効果だよ、それよりも、然り気無く、相手のして欲しい事をする方が好感を持って貰えるよ。」
「だから、唇を奪っても良いって言ったじゃないか、僕達位の年なら、異性の身体に興味が有ると思ったから、恥ずかしいのを我慢して、言ったんだけど通じなかったのかい?」
「あの場面でそんな事を言われても、僕を動揺させたり、平常心を奪う為に言ったとしか思えないよ。」
「じゃあ、この場でハッキリと言おう、僕はエドワード君、君と子供が作りたい!」
「僕の事が、好きとかじゃなくて、子供が作りたいというのは、ある意味、潔いと思うのだけど、僕は、愛した人と子供を作りたいと思う。」
「ああ、勿論エドワード君の事は好きだよ。」
「何か絶望的にずれてると言うか、まず、告白の順番が違うと思わないか?」
「エッ?だって、好きになって、愛し合って、子供を作るのだろ?
ならば、行き着く究極の処は子作りじゃないか?」
「それは、話が飛躍し過ぎているよ。
その考えで、告白するなら、一緒のお墓に入りましょう!って言っても同じ様な意味になるよね。」
「そう言われてみると、意味合いは同じ様なニュアンスだね、でも、お墓に入るより、子作りの方が気持ち良さそうなニュアンスにならないかい?」
「まぁ、お墓よりは、って違~~~~う!
告白は、子作りよりも、まず相手に、自分が好意を持っていることを伝えてから、付き合うなりして、それから結婚そして、子作りって順番だと思わないか?」
「普通は、そうなんだろうと思うよ。」
「じゃあ!」
「でもね、さっき聞いた話しだけど、君には、既に
婚約者が居るんだろ。」
「ああ。」
「それに僕は、妾でもいいって言ってるんだから、結婚の処は省いても良いんじゃないか?」
「ああ、埒が開かない。
頭が痛くなって来たから、僕はそろそろ帰る!だから、この話しの続きは、また今度にしよう、今夜は、お互いに、自分の宿舎にもどろう。」
「それなら、OKだ!また会ってくれるんだね!約束だよ!」
しまった!また今度なんて言わなければよかった。
嬉しそうに帰って行くミシェルさんの後ろ姿を眺めながら、僕は、後悔していた。
ホテルに着くと、恐ろしい事実が判明した。
騎士養成校も同じホテルに泊まっていた。
食堂で夕食を食べているところを、ミシェルさんに見付かり、再び討論が始まったのは言う迄もない。
今回も、最後までの、お付き合い、誠に、ありがとうございます。
今回は、話しの通じないミシェルさんの話しでした。
ちなみにミシェルさんの出番は、この後、結構用意してあります。
それでは、次回も、お立ち寄り頂ける事を、お待ちしております。