第1章
少し更新が遅くなりました。
今回は、主人公の両親の話しになります。
アレックスとマーガレット
金龍が湖を越え、王城に向かっている頃、王城の一室では、出産を終えた後の、マーガレットが生まれたばかりの女の子を抱きながら、産医を務めた女医のヘレンに 産後の注意事項や 子育てのアドバイスを受けていた。
「まさか、子供を生んだ事の無いヘレン姉様に、子育てのアドバイスをされるとは、思いもよりませんでしたわ。」
悪戯っぽく微笑みながらマーガレットがヘレンに言う。
「私は、これでも、貴族専門医として多くの赤ん坊を取り上げてきたし、先代の宮廷医からも数多くの知識を頂き、経験も積ませて貰いました。
確かに、私は、未婚で出産経験もないけど、次の国王となる マリウスや宰相のケインの子供達を育ててきた経験と実績がありますよ。
でも、そんな、冗談が言えるなら心配ありませんね。」
少し頬を膨らませて反論して、ヘレンは、優しく微笑んだ。
「エドワードは、いずれこの国のお役に立つのです。
その母親の私が、いつまでもくよくよしていては、母親失格ですからね。
それに、寂しくなったら、また子供を作ればよいのです。」
気丈に笑いながら、マーガレットは、頬をそめる。
「なら、私からは、もう何も言う事は無いですね。」
そう言うと、ヘレンは、マーガレットの頬に右手で触れ、部屋を後にした。
入れ違う様に アレックスと国王のマークが部屋に入るなり。
「マーガレット。国王と、その子の名前を考えたのだが、セリーヌではどうだろう?
マーガレットさえ良ければ、その名前にしようかと思うのだが、君の意見も聞かせてくれないか?」
「素敵な名前を、ありがとうございます。
それで、どなたがこの名前を?」
「「2人で考えた」」
ハモった事に、2人は、顔を見合わせて、大笑いした。
「アレックスよ、儂の叔父である、そなたは、本来公爵位か大公位なのだが、古くからの忠臣である、宮廷貴族のマルティーニ家の血筋が途絶える事を嫌い、入り婿として、マルティーニ家に入り、王族でありながら、侯爵位になると宣言してマーガレットと夫婦になったのだが、此度の事で、アレックスには、公爵位に返り咲いてもらおうかと思っているのじゃ。」
「それでは、マルティーニ家は?」
「そなたには、便宜上、ブライトリングと名乗ってもらってはいるが、これからは、正式にも、ブライトリングを名乗ってもらい、エドワードを嫡子として、マルティーニ家は、エドワードの弟が産まれた場合は、その子に、もし産まれなかった時は、セリーヌに婿を迎え、その者に、と、言う事でどうだろうか?
よく考えてみては貰えないだろうか?」
「マーク殿、国王の貴方が、そう決めたのなら、それに、従いましょう。」
「よく言ってくれた。これで何か心が軽くなった気がする。」
そう言いながら、国王は、マーガレットを労い部屋を後にした。
アレックスは、マーガレットの胸に抱かれたセリーヌを見つめながら、
「君は、エドワードが居なくなって平気なのかい?」
静かに尋ねると。
「私は、あの子を産みはしましたが、親としては、一度、お乳を飲ませただけで、それ以外、親らしい事は、何も出来ません。
ならば、最初から、産まれたのはセリーヌだけと思いながら、エドワードの母として強くあろうと思います。
それに、貴方が寂しいと想うなら、私は、貴方の為に、何人でも子供を産んでさしあげるつもりです。」
「マーガレット、君は、強く優しいのだな、私には、勿体ない程 素晴らしい女性だ。」
それでは言いながら、アレックスはマーガレットの頬に両手を添えて優しく口付けをした。
ここまで読んで頂き ありがとうございます。
次回は、エルフの大工3兄弟の話しになります。
次回で、3人の名前と仕事振りがあきらかになります。
後、少しだけエドワードの様子も紹介したいと思います。
主人公なのに、未だ産まれただけで、全然登場していませんが、これから、少しずつ出番が増えてきますので宜しくお願いします。