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第四章(16)


今回も、お立ち寄り頂きまして、ありがとうございます。

 今回は剣術競技の代表選考会の話し迄になります。

 宜しければ、最後まで読んで下さいね。


 色々悩んで、代表選考会の骨組みを考えて、一応の目処がたったので、軽い気持ちで魔法競技の、リストアップした生徒のファイルを教官室で読みなおしてみた。

 実のところ、資料の中に1人気になる生徒がいたからだ、昨年の属性別の代表選手なのだが、その生徒は、地水風の3属性で出場していた。

 アンナと同じクラスで、前にカフェに集まってもらった時には、参加していなかったので少し気になっていた。

 実際に会っていないので、何とも言えないのだが、悪い予感は良く当たり、良い予感に関しては、全くあてにならない僕の勘が、何故か反応している。

 何かマズイくじ引をいたのかもしれないが、その生徒に会う事にした。

 と言うか、次、アンナのクラスの魔法実習を観に行く予定だった。


 アンナのクラスを受け持つ講師は、前に魔力量の増やし方のカリキュラムを制作しろと言ってきたモンドロイテと言う講師で、僕は、あまり良い印象を持っていない。

 多分、あちらもそうだと思うので、大人しくしていようと思ったのだが、講師のモンドロイテの方が、


「今日は、エドワード特別講師が、いらっしゃるので、最年少講師の優れた魔法を見せて貰う事にしましょう!」


 と、奴の方から振ってきたので、


「じゃあ、参考にならない魔法も有りますが、幾つか披露しましょう。」


 そう言って、先ずイフリートを呼び出して、


「アルバ、すまないが、あれやってくれる?」


 その言葉に、少し口角を上げると、生徒達に一礼をして、得意技?の火の玉のジャグリングをはじめた。

 生徒達には、かなり受けて演技を終えると、どや顔で再び一礼して精霊界に戻って行った。


「ジャグリングは、イフリートの見せた余興ですが、自分の得意な属性を極めて、精霊召喚を学んで、精霊と契約できれば、今の様な事も出来ると思います。

 では次に、競技会の競技種目にある、魔法の連射ですが、同じ魔法の連射と、異なる属性を織り混ぜた連射をやってみます。」


 そう言って、先ず炎属性のフレアを空に向けて10発、見た目に分かりやすくするために、場所を変えて3秒程で撃ち込んだ。

 そして、次に、アースウォール、エアカッター、アイスランス、フレイムランス、ライトニングスピアーの順番で最初に出したアースウォールに向けてブチ込んだのを10秒程で3回繰り返してやってみせた。

 が、ちょっとやり過ぎたかも知れない。


 モンドロイテ教官を見ると大きく口を開けて固まっているし、殆どの生徒は、目をまん丸にして口をパクパクさせていたが、アンナとその隣に居る女生徒だけが、尊敬の眼差しで僕の事を見ていた。


 他の者は、気絶したかの様に反応が無かったので、アンナの隣の女生徒に名前を聞くと、モジモジしながらヴァネッサだと教えてくれた。

 この女生徒が、資料を見て気になった生徒だった。


「そうか、貴女がヴァネッサさんですか、僕の事は、知っていると思いますが、生徒と講師を兼任しているエドワードです。

 今回の競技会の選手選定を任されているのですが、良かったら放課後にでも会ってゆっくりと話がしたいのですが、宜しいでしょうか?」


「エドワード様と2人っきりででしょうか?」


「いや、ヴァネッサさんが、2人っきりが、嫌なら、誰か友達を連れて来ても良いですよ。」


「どうしましょ?私、男の人とあまり喋った事が無いので、緊張してちゃんと喋れるか心配ですわ。」


「じゃあ、私が付いて行ってあげましょうか?」


 アンナの助け船に少し悩んで、


「この機会に殿方と、お話する事に、馴れようと思いますの、ですから、1人で伺いますわ。」


「では、授業が終わったら、教室に迎えに行きますので、待ってて下さいね。」


 ヴァネッサさんと約束を取り付けたところで、生徒達が、凄いとか、あんな事出来ないよ等と騒ぎだしたので、


「最後になりますが、最近出来る様になった魔法を、お見せして僕の魔法を終わります。」


 そう言って、転移魔法で5回程色んな場所に転移すると、


「転移魔法使う人初めて見た!俺もあれが出来たら遅刻しなくて済むんだけど。」


 ある、男子生徒の発言に笑いがこぼれたけど、


「エドワード教官、魔力切れ起こさないんですか?」


「ああ、この位なら大丈夫だよ、一応、魔導師認定されているし、格好悪いところは見せられないからね。」


「スゲェ!隣のクラスの男子が師匠と呼ぶのが解るよ。」


「俺達も、師匠って呼ぶか?」


 等と男子生徒が騒ぎ始める中


「私達も、頑張ればエドワード様の様な魔法が使える様に成りますか?」


「様って柄じゃないので、普通に呼び捨てか、君付けで良いですよ。

 頑張れば、まだまだ魔力量や、魔法の腕は伸びると思います。

 僕の場合は、5歳の頃から、毎日魔力切れを起こす程の事をしていましたから、今は、少しバカげた魔力量になっているんですけどね。」


「私達にも何か、魔法とか、色々教えて欲しいのですけど。」


「競技会の後なら、少し暇になりますから、その時なら。」


 その時、マークさんが姿を現して、


「エドワード、代表が決まったら、お前の所で強化合宿をする事になった。

 宿泊施設に余裕が有るから希望者は、参加出来るが、希望者多数の場合は、抽選で選ぶことにするからな。」


 また、マークさんが、太っ腹な事を言い出したのだが、今回も、いやな予感しかしない。


 その日、授業の後、ヴァネッサさんを迎えに行き2人で学校近くのカフェで話しをすることにした。

 

 結果から言うと、代表入りは、快く受けてくれたのだが、火属性の魔法は、相性が悪く生活魔法程度しか使えないらしい。

 その時、不意にジャニスの事を思い出して、カフェを出てから、ヴァネッサさんの手を握り世界樹の森へと転移した。

 いきなり手を握られ焦っているところで、転移魔法で見知らぬ所に連れて来られたヴァネッサさんは、かなり驚いていたが、火魔法使える様になるかも知れないと言ったら落ち着きを取り戻してくれた。


 葛之葉さんと散歩している、アレイシアさんを見付けたので、ハク姉ちゃんの居場所を聞くと、


「私に聞かなくても、念話で呼べばいいじゃない、」


 それもそうだと思い、少し照れながら、心の中で


(ハク姉ちゃん愛してる!)


 唱え終ると同時に、目の前に光が集まり、ハク姉ちゃんが現れた。


「なあに?私のエドワード!」


 叫びながら抱き締められた、お約束である。


「ハク姉ちゃん、まだ赤い羽持ってる?」


「有るわよ、無くてもエドワードが必要なら、むしり取ってくるけど。」


「有るなら、むしって来なくていいですから、この娘ヴァネッサって言うんだけど、火魔法が使えないから、使える様にしたいんたけど、いいかなぁ?」


「貴方の頼みを私が断る訳ないじゃない。」


 と言って、おもむろにヴァネッサさんの頭に赤い羽を突き刺した。

 何が起こったか分からずにあたふたしている、ヴァネッサさんを横目に、


「このまま刺しっぱなしで2~3日で、フレア位なら使える様になるわ。

 でも、頭に羽を着けたままが嫌だとか、すぐに使いたいなら、エドワードが時間魔法で羽の色が抜ける迄、羽の時間を進めればいいわよ。」


「じゃあ、やってみる。」


 ヴァネッサの、頭に刺さっている羽に時間魔法を掛けたつもりなのに、何故かヴァネッサの髪の毛が少し伸びたので、魔法を中断して、ハク姉ちゃんに相談すると、


「エドワードは、兄様と同じで、無駄に出力が大きいから、その辺りも練習が必要ね、今回は、知恵を貸してあげるけど、今後は自分で、どうにか出来る様になりなさい。

 先ず羽に何かで、魔方陣を描いて、そこに魔力だけを注ぐと上手くいくわよ。」


「ありがとう!ハク姉ちゃん。」


 教えられた通りに、フェニックスの羽に魔方陣を書き込んだ。

 これが、鳩の羽位の大きさなら、お手上げだったけど、フェニックスの羽は、魔方陣を描ける大きさだったので助かった。

 3分程で羽の色が白くなったけど、もう少しと思って魔力を流し続けるとやがて、羽が、静かに消えてしまった。

 何が行われているのか分からない様な顔をしている、ヴァネッサさんに、気分が悪くないか?変なところが無いか?と聞くと、


「何か、無駄に魔力が溢れてます。」


「じゃあ、一発空に向けてフレアを撃ってみて。」


「フレアの詠唱、知らないんです。」


「詠唱は、必要ないよ、魔力を練って、気持ちを高めたら、心の中でフレアを唱えるだけでいいよ。」


 次の瞬間、湖の上空でフレアが炸裂した。


 ヴァネッサは、フレアを発動出来た喜びと、その威力に興奮して、エドワード様!と叫びながら僕に抱き付いてきた。

 目を合わせると、顔を真っ赤にして飛び退いてしまったが、


「これからは、師匠と呼ばせて下さい!一生付いて行きます!」


 興奮を隠しきれない様子でまくし立てるので、


「師匠は、勘弁して下さい、僕の事は、普通に呼び捨てか、君付けでお願いします。」


「じゃあ、私の事も、ヴァネッサと呼び捨てでお願いしますわ。」


「分かったよ、ヴァネッサ。」


「分かって頂いて嬉しいですわ、エドワード様。」


 何で様付けなんだよ、分かってないじゃないか!

 もう、突っ込み処が多過ぎて、口には出さなかった。

 その後、浮かれるヴァネッサを転移魔法で家の近く迄届けて、世界樹の森に戻った。

 

 そして選考会の日を迎えたのだが、結果は、再びリリーの全勝優勝で幕を閉じた。

 準優勝は、スカーレットちゃん、3位がセリーヌ姉さんとうちのクラスの上位が、再び上位を占めたのは、ハク姉ちゃんに剣を習っているからだろうけど、男子が弱い、何せ4位がまた女子なのだから、しかも世界樹の森のメイド衆の中でも、最も大人しく人見知りのクリスティーナだった。

 そう言えば、うちのクラスの予選でも、リリアが4位だった。

 もしかして、リリアが出ていても、良い結果を残していたかも知れないので、合宿メンバーに入れる事にした。

 そんな事を考えていると、代表選考会で7位の男子生徒のグレンと言う3年生が、


「エドワード君、僕と、手合わせをして貰えないだろうか?僕のクラスは、君の受持ちではないので、君が代表であり、代表を決める立場であると言う事に納得出来ないので、ここで皆にその実力を披露して貰いたいんだ。」


「ん~!この際ですから、僕に挑戦したい人全員の挑戦受けていいですよ。」


 すると、僕が実習を持ってないクラスの生徒が、丁度10人立ち上がったので、


「皆さんで、順番を決めて、並んで下さい。」


 決まった順番通りに並んだ挑戦者に、


「先ず1番の人。」


 10合程、切り結んで、軽く腰を打って終わらせた。


「次は、2番と3番の人。」


 こちらも、10合づつ切り結んで肩と腰を軽く打って終わらせた。


「次は、4番、5番、6番!」


 3人で連携を取って攻めて来たが、ことごとく返し技の餌食になってもらい、


「残りの4人!」


 4人は、顔を見合わせて僕を囲うように陣形を組んだが、この4人には、こちらから仕掛けて、何もさせずに終わった。


「まだヤリたいのなら、この10人全員で掛かって来てもいいですよ。」


 グレンと言う生徒が、


「生意気な事を言って、申し訳ない、実際に剣を交えて、エドワード教官の強さが分かりました。

 これから、御指導、宜しく御願いします。」


 と詫びを入れてきたので、


「もう少しヤりたかったけど、まあいいや、では、続いて、魔法競技の代表選出に移ります。」


 さて、本日のメインイベントが始まる。


 剣術の様に、勝ち負けによる明確な、勝負付けが出来ないので、難しいところであるが、アンケートと、投票で、粗方の人選が終わっているモノの、実際に魔法を使ってもらわないと、判断出来ない。


 ここからが、頭を悩ませるところだ。





 

 今回も、最後まで読んで頂きまして、ありがとうございます。

 さて、次回の話しも、競技会の代表選考の話しになりますが、今回の、剣術の話しの様に流そうか?どうしようかと、悩み中です。

 また、次回の、お立ち寄りを、お待ちしておりますね。

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