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第四章(12)

 今回も、お立ち寄り頂きまして、ありがとうございます。

 今回の話しも、微妙にアレイシアさんがメインです。


 アレイシアさんが世界樹の森にやって来て、1ヶ月が過ぎ、アレイシアさんの家の建設も順調に進んでいる。

 家を建て始めて1週間で、柱や梁等の骨組みが完成し、屋根を張り終えて今は、壁を張っている最中だ、まだまだ先は長いらしいけど、大まかな外観が判る様になってきた。


 僕は、学校から帰ると、アレイシアさんに呼び出され僕が収納した物の中から、あれを出せこれを出せと色々便利に使われている。

 大体は、夕食の前後に、お風呂に行くから着替えを出せと言われる事が多いのだが、下着はマズイだろうと箪笥ごと出すと、今日は、これがいいかしらと僕に意見を求めるのは、さすがにやめて欲しい。


 ハク姉ちゃんに、それとなく止めてもらうように、言って貰おうと、相談に行くと、


「お姉さん、昔から少し困った人だから………

でも、お家が出来るまでの辛抱だから、もう少し我慢してもらえないかしら。」


 ハク姉ちゃんに、そう言われると仕方ないので、暫く辛抱することにした。


「そうそう、マーク殿に頼まれたのだけどね、エドワード来月から、体術の授業をカリキュラムに組み込むらしいのだけど、その授業も貴方にお願いしたいらしいのよ。」


「えっ?」


「エドワード、貴方ますます忙しくなるわね。

 そうそう、授業の補佐にこの森の誰か連れて行っても良いらしいわよ。」


「じゃあ、ヘレンさんに、殴り方の講習をして貰おうかな?」


「エドワード私の事何か言った?」


 ヘレンさんが厨房から、顔を出して、僕に尋ねた。


「ヘレンさん、昔、近衛騎士団と一緒に色々と訓練した事あるのでしょ?」


「ええ、あるわよ、それが何?」


「学校の実習授業の補佐をヘレンさんに頼みたいかなぁって思ったんだ。」


「私が手伝うって、医療系の授業?」


「いえ、格闘系なんですが、前にヘレンさんのパンチは凄いと聞いた事が有るので、人の殴り方を教えて貰おうかと。」


「エドワード、いい子だから、誰がそんな事言ったのか教えてくれない?」


「マークさんとゴールディさんです、あぁそれから、マリウスさんとケインさんは、蹴りも凄いと言ってました!良かったら、学校の授業で教えて頂きたいのですが、宜しいですか?」


「その日、一緒に学校に行ってあげるけど、授業の手伝いは、しないわよ、兄さんにとどめを刺しに行きます!」


「それなら生徒の前で実演して貰えませんか?」


「エドワード!お前は生徒の前で、元国王で実の兄の拷問ショーをやれと言うのか?」


「じゃあ2人ともグローブを着けての模範試合では?」


「面白そうではあるが、エドワードお主、兄に何か恨みでも有るのか?」


「まぁ色々と、面倒事を頼まれていますから、剣術講師やら、魔術講師やら、今回は体術講師までヤれと言われまして………」


「ならば、私が少し話しをしてきてやろう。」


「何か良い案でも有るのですか?」


「エドワードを体術講師にするなら、私と生徒の前で模範試合をしろ!と言ってみる(笑)」


 ヘレンさんは、そう言うと厨房へ戻って言ったが、入れ替わる様に、アレイシアさんが収納した大きな葛籠を出してくれと言ってきた。

 葛籠を出すと、中から一振りの刀と脇差しを取り出して、僕に渡し


「いつも世話になっているので、この刀と脇差しを貴方に進呈します。

 ハクちゃんのシンザンも良い刀ですが、こちらの一振りは、私達の父が大切に保管していた物を、私が国を離れる時に守り刀として渡された物です。」


「お姉さん、その刀は、もしかすると雷安之太刀ではありませんか?」


「あらハクちゃん良く判ったわね。

 エドワード抜いてご覧なさい。」


 言われるままに刀を鞘から抜くと、まず驚いた事に、緋色の金属系で出来た刀身、それから、刀身の真ん中辺りより、切っ先までが刃先と峰の間、地とか平地と言う部分の幅が倍位あり、先端に重心がある、刀としてはバランスの悪い物だった。


「お姉さん、刀身を初めて見たのですが、緋緋色金(ヒヒイロカネ)ですか?」


「そうですね、ミスリルを聖銀とか、軽銀と呼ぶ様に緋銀と呼ぶ事もあるらしいですが、混じり気無しの緋緋色金ですよ。」


「刀身の色も美しいのですが、緋緋色金って初めて聞くのですが。」


「それは、神にしか鍛える事が出来ない金属なのだか、既に緋緋色之金を鍛える事の出来る神も居なくなったから、現存する物は、数少ないだろう。

 切れ味、耐久性、魔力親和性、全てこの世で最高クラスの物です。」


「いやいや、そんな貴重な物頂く事出来ません!」


「良いのですよ、私は、ハクちゃんみたいに刀は使わないのですから、それに、ここに居れば、何が有ってもハクちゃんが守ってくれますからね。」


「エドワード、本人が、くれると言うのだ、ここは黙って貰っておきなさい、結納品として。」


「ハク姉ちゃん!今、さらっと凄い事言わなかった?」


「お姉さんも、エドワードなら良いと言っているし、既に沢山居るのだから、今更、1人増えても気にする程の事ではないでしょ!」


「どうして、そんなに増やすんですか?」


「大勢で暮らすの楽しくないか?ここの生活に慣れたら、1人ボッチになった時寂しいわよ。」


「そりゃ、ここの生活は、楽しいけど……普通の彼女や奥さんたちは、旦那が他に女を作ると怒るもんじゃないんですか?」


「私は、たまに天界に戻ったりしなければならないから、その間エドワードが、寂しくない様にしたいし、産まれて此の方、両親と暮らした事が内エドワードの為に、沢山の家族を作ってあげたいの。」


 そう言うと、ハク姉ちゃんは、少し寂しそうな顔をしたので、何も言えなくなった。


 翌日、学校から帰ると、アレイシアさんに


「ハクちゃんを許してあげてね、あの子しっかりしてるけど、寂しがり屋さんなの。

 昔は、大勢の兄弟達や、人間達と地上で暮らす神様だったけど、鬼神討伐の後、鬼神が輪廻の輪に戻らない様にするために使ったスキルの影響でドラゴンになって、長い間、孤独だったから、誰かが孤独になるのを見ていられないんだと思うのよ。

 だから、貴方には、1人で生きて行く未来ではなく、大勢の仲間と生きていき、全ての仲間を守れる人になって貰おうとしているのだと思うわ。」


 アレイシアさんの話しを聞いて、少しハク姉ちゃんの考えてる事を理解出来た様な気がする。

 僕自身、沢山のお嫁さんを貰う事を嫌がっている訳ではなく、皆を平等に愛せる自信がないのだ。

 人に序列を付けたりしたくないけど、しないでいる自信がない。

 僕は、そんなに器用な人間ではないと、自分自身がよく知っている。


 僕は、この先どうすれば良いのだろう?


 また、今夜は、眠れそうにない。





 今回も最後まで、お読み頂きまして、ありがとうございます。

 今回は、微妙に面倒臭い話しでしたが、次回も、アレイシアの話しと言うか、家の完成と、その他の話しになります。

 それでは、次回のお立ち寄りも、お待ちしております。

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