表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/102

第1章

今回、金龍様は、人の姿だったので、1柱と数えずに1人と数えています。

     金龍ブライトリング城へ行く


 人の姿の金龍は、ブライトリング城までやって来ると堀の跳ね橋がおりていないのを見て。


「遠回りするか。」


 と呟き、城の西側にある 競技場を目指した。

 この競技場、基本的には、闘技場として使用されていたのだが、3代前の国王の頃から、闘士や獣を闘わせる様な興行的な催しには、あまり使用されなくなった。

 その理由は、興行や賭けによる収入が必要無い位に国の経済が潤ったのと、国民の関心が血生臭い見せ物から、大衆演劇や舞踊等の観劇へと移行していった為である。

 それでも、根強いファンや腕自慢の者達が居るので、月に1~2度の興行が行われる程度である。

 現王の統治下になってからは、競技場で行われる兵士や騎士の登用試験の一般公開や 春と秋に行われる、兵士、騎士による競技会が かなりの人気を博してる。


 金龍は、競技場の入り口に立つ衛兵に軽く右手をあげ、競技場の中に入ると、貴賓席を目指した。

 貴賓席の入り口付近には、催しが無い日でも絶えず、近衛兵が常駐している。

 金龍は、年配の近衛兵を見付けると


「マークの旧き友だ。」


 そう告げると、近衛兵は腰の鍵束を手に取り貴賓席の入り口の鍵を解錠し、先導して 金龍を招き入れた。

 そのまま近衛兵は王族席の入り口の鍵を解錠し扉を開くと、中に入り何かを操作すると、王族席の後ろの通路の突き当たりの壁が開き下へと向かう階段が、現れた。


「御苦労。」


 一言 言って金龍は、階段を下り王族専用の地下道を抜け王城へと向かって行く。

 この王族専用道路は、城が攻められた時の為の抜け道の1つであり、王族と国の要人、近衛兵の一部の者のみが知る通路である。

 そもそも、この地下道と競技場は、300年前にレジーナが、王城の半分と王都の3分の1を吹き飛ばした後に造られたもので、当時、闘技場として造られた理由は、

 王都復興と より強固な都市の防衛機能を充実させる為の資金作りと、屈強な戦士を育てる目的で建造されたのだが、年を得るにつれ、王都の民からは、300年前の記憶が薄れ、現在では、闘技場としての催しは、単なる名残程度のものとなっていた。 



 王城の地下室まで進んだ金龍は、階段を登りグランドフロアに姿を表し、近衛兵を見付けると


「王に会いたい、旧き友が尋ねて来た、と伝えろ。」


 金龍がそう告げると、近衛兵は、深々と頭を下げて


「では、先ずこちらへ。」


 と、金龍を先導し謁見の間へと案内する。


「暫く、お待ち下さい。

 只今、国王を呼んでまいります。」


 金龍を残して、近衛兵は、小走りで謁見の間から姿を消した。

 しばらく待たねばなるまいか?金龍が小声で呟きながら辺りを見回し 歴代の国王の肖像画を見付け、それぞれの顔を見ながら、


「皆善き友であった。」


 感慨深げに呟いていると、ドスドスと音を立てて 国王が、謁見の間へと駆け込んできた。


「龍皇カイゼル・グランデ様~」


 叫びながら、金龍の前に駆け寄ると、いきなり国王が平伏した。


「よいよい、頭を上げて立ち上がらんか!

 今日は、酒を馳走になりに来た。

 それにしても、未だに、あの合言葉が、通じるとは思わなんだわ。」


 笑いながら そう告げる金龍に


「め 滅相も無い、この合言葉は、この王国が続く限り伝承し続けます。

 それから、お酒を召し上がられるのなら、王族専用のラウンジへ参りましょう。」


「王よ、あまり硬くなるでない!儂も そなたの事マークと呼ぶので、儂の事は、ゴールディと呼ぶがよい。」


「そんな、龍皇様に恐れおおい。」


「マークよ、ゴールディと呼ぶのじゃ、儂の命令でも聞けぬか?」


「解りました。

 では、ゴールディ様と。」


「まぁそれでよいか、では、酒を馳走になろうか、マークよ。」


「ゴールディ様、もし良ければ、この度王位を継承する、王太子のマリウスもこちらに呼んでも 構わないでしょうか?」


「マークよ、そなたが王位を息子に譲るなら、好都合じゃ。

 マリウスやアレックス達も呼んでやりたいところではあるが、今回の話は、マークと儂の2人だけで、他人には、明かせぬ話なのじや。

 なので、また近いうちに来るのでアレックス達とは、次回に話をしよう。」


「では、龍皇様……いえゴールディ様の お心のままに。」


 そして、2人は、酒を酌み交わしながら、白の魔王について、そしてレジーナには、何の罪も無いこと、現在のエドワードの所在、そしてマークが王位を退位した後、共を連れず1人でエドワードの様子を見に行く事をゆるされた。

 夜も更け、金龍は、去り際に、次は、王太子マリウスの即位式の日に来るので アレックスとマーガレットを、即位式の後 このラウンジに呼び出しておく様に言い残して光の粒子となり姿を消した。

 残された王は、ため息をつきながら、


「いよいよ儂も 肩から、重荷を降ろせるかの?」


 そう呟いて自室に戻っていった。

今回も、ここまで読んで頂きありがとうございます。

次は、アレックスとマーガレット夫妻の話になる予定です。

 時系列的には、今回と同じ時間に、同じ城の中の短い話の予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ