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第四章(8)

 今回も、お立ち寄り頂きまして、ありがとうございます。

 今回は、上級生の授業の話しです。

 

 初めて講師として授業を受け持った翌日の、午前中最後の授業は、上級生の剣術の授業だったのだが、少し面倒な事が起こった。


 まず、授業の手伝いに来てくれたのは、ニッキーお姉ちゃんだった。

 授業が始まると、一部の女生徒から、エドワード君可愛いと声が掛かり始め、ニッキーお姉ちゃんが苦笑いしてると、男子生徒が面白く無さそうに、


「年下や女に剣術を習うなんて、有り得ねえ!」


 と騒ぎ出した、対照的に女子は、


「年下の可愛い先生も有りだわ!」


 と男子と意見が真っ向から対立し始め、僕がどうするか迷っていると、ニッキーお姉ちゃんが、大声で、


「エドワードに剣術を習う事に反対する者は、全員でエドワードと勝負しなさい!勝負した生徒については、勝っても負けても、授業を受ける受けないは、本人の意思に任せた上で授業には、出席した事にしてあげます。」


 ニッキーお姉ちゃんの言葉に、色気ばんだ男子生徒は、全員で掛かっていいのか?とか、本当に出席扱いにするんだろうなと、ニッキーお姉ちゃんに質問していたが、


「もしエドワードの身体に剣が触れた生徒には、最高の評価を付けてもいいわ!」


 等、大盤振る舞いの発言に、全ての男子生徒が僕と勝負する事になった。


「エドワード大人気だね!」


 ニッキーお姉ちゃんが、嬉しそうに言うが


「ニッキーお姉ちゃん、幾ら何でもヤリ過ぎだよ。」


「後は、任せるから、頑張りなさい。

 男子生徒達、全員で掛かっていいから、頑張って自慢の腕を私に見せてね!

 で、女子は、少し離れて見学しましょうか、ただ見るだけじゃなく、皆の動きをよく観察して、人の技を見るのも、いい勉強になりますからね。」


 ニッキーお姉ちゃん、男子生徒を僕にけしかけて、ちゃっかり女子生徒に講師らしい事を言っている。

 男子生徒達は、皆で何やら相談している、多分、僕を囲むのか、フォーメーションを組むつもりなのだろう。

 彼等の相談が終わるのを見計らって、そろそろ始めようか?と声を掛けると、ニッキーお姉ちゃんが、「始め!」と号令を掛けた。


 予想通り男子生徒達は、号令と共に扇形に展開し1人おきに少し前に進み鋸の歯の様な陣形を取った。

 一応は、対モンスター型の団体戦術で統制の取れた行動に、これまで習った事の練度が見えるが、相手は人間、モンスターよりも、頭が回る事を考えていない。

 

 僕は、一気に右後方に距離を取り、扇形の右端に向かいダッシュして、僕の襲撃に、慌て崩れだした陣形の中に飛込み、一気に方を着けた。

 低い体勢から、太股と胴を中心に薙ぎ払い、攻撃を貰う事なく、全員を打ち据えた。


 女生徒から、尊敬の眼差しと、凄いとか、格好いい等の歓声を受けながら、照れていると、ニッキーお姉ちゃんが、


「これでエドワードの実力が解ったと思うけど、授業を受けたくない男子生徒は、自由にしてもいいですから、授業の邪魔はしないで下さいね。」


 ニッキーお姉ちゃんの言葉に、男子生徒達は、顔を見合せ


「打たれた所が痛いから、今日は見学する。」


 そう言って、ゾロゾロと校庭の端の方へ移動して行き、そして、


「誰だよ、公爵の嫡子だから、貴族特権でS級に成れたボンボンだから、弱いなんて言った奴は?」


「あいつ、無茶苦茶強いじゃないか!」


「やっぱ、実力でS級になったんだ。」


 そんな話しをしている男子生徒の処に歩み寄り、ニッキーお姉ちゃんが、


「君達、今年の武闘祭の結果知らないの?

 エドワードは、剣術と格闘と総合の三冠王者なのよ、決勝は、私が相手だったけど、準決勝は、去年の王者と闘って完勝したんだから、その辺の学生どころか、冒険者でも彼に勝つ事は出来ないわよ。

 A級の私が決勝で秒殺されたんだから!」


「エッ?あいつマジでそんなに強いの?」


「私もエドワードも、同じ師匠に付いて修行しているけど、エドワードは、5歳の頃から、最近まで自分の体重の半分の重さの負荷を背負って私と同じ練習をしていたから、あの子のスピードに付いていけるのは、師匠ぐらいしかいないわ、最も師匠は、あの子よりも遥かに強いけどね。」


「マジで俺達、そんな奴、相手にしたのかよ!」


「武闘祭、観に行きゃよかったぜ!」


「そう言えば、武闘祭を観に行った親父が言ってたけど、今年の武闘祭は弓術でエルフの綺麗なお姉ちゃん優勝して、剣術女性部門と槍術の二部門は、女神みたいに綺麗なお姉さんが優勝で、残りの全ては俺達位の少年が優勝したって言ってたよ。」


「あいつだったのか!」


「そうよ、あの子、10歳の頃には、近衛騎士よりも強かったからね。」


「それって、ある意味、化け物じゃねぇの?」


「幼い頃から目標を持って鍛え上げた、修練の賜物よ。

 あの子は、過去に二度盗賊の単独討伐に成功しているのよ、そんな人間に私ですら太刀打ち出来ないわよ。」


「何ですか、そのイカれた武勇伝は?本当に俺らより年下なのか?」


「ついでに教えてあげると、彼が従えてる従魔は、多尾狐、精霊、グレートボア、フレイムグリュプスの聖獣が3体とグレートボアに至っては、人の言葉を喋り人化までする特殊個体だし、それだけでも半端じゃないわよ。」


「フレイムグリュプスって聞いた事ないんですけど?」


「フレイムグリュプスって言うのは、グリフォンの進化体で、フェニックスの加護を受けて炎属性の魔法を使える個体の事よ。」


「スゲェ!そんなグリフォン聞いた事無い!」


「だから、私から言うのも何だけど、年齢の事とか関係無しに彼に教えてもらうのは、貴方達にとって特に将来、騎士を目指してるとか、冒険者に成りたいとか思ってる人なら、絶対に損にはならないはずたから、変なプライドは捨てた方がいいと思うよ。」


 ニッキーお姉ちゃんが、男子生徒達と話しをしている間女生徒の指導を滞りなく済ませ、実習授業の終わりに、男子生徒達がやって来て、


「生意気な事を言って、すみませんでした。

 先生と呼ぶのは、少し抵抗があるので、これからは師匠と呼ばせてもらい、ちゃんと授業を受けさせてもらいます。」


 と礼儀正しく謝ってきたのだが、何故、師匠?


「いや、師匠とも呼ばなくて良いですから!

 普通に名前で呼んで貰っていいですから!」


「分かりました!エドワード師匠!」


 いや分かって無い。


 そんな感じて、上級生の男子生徒から、師匠と呼ばれる様になり、どうにか、これからの授業を大人しく受けてもらえる事になった。

 最後まで読んで頂きまして、ありがとうございます。

 さて次回は、実は、ノープランです(笑)。

 予定としては、作品の中で、あまり触れてこなかった魔法の話しを予定しています。

 それでは、次回の、お立ち寄りをお待ちしております。

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