第1章
今回、主人公、ずっと寝てます(笑)
誕生
世界樹の森
白龍とフォルトゥーナが ブライトリング城に現れた頃。
ブライトリング城の堀へと流れ込む水源にあたる河の上流へ人の足で2時間程歩いた所にある 湖に突き出した長さ1km程野どの半島を含む森の中、丁度 半島の付け根のと所に
聳える この森で最も大きな巨木の根元に金龍は、伏して、これから、ブライトリング城の中で、行われる事の顛末を見届ける為に監視魔法を使おうとしていると。
一人のエルフが現れ金龍に近付きながら。
「ゴールディ様!久し振りにございます!!
精霊王に頼まれ、この地に赴きました。」
「オオ!そなたは、ルイか 旧き友よ!」
旧き友と呼ばれたエルフは、腰の上まであるプラチナブロンドを風に靡かせながら金龍の下へと歩み寄る
「ところでゴールディ様、私は、何故ここへ?」
「ん?
ルイよ、お主は、何も聞かされてはおらぬのか?」
「はい、私は永らく東方の島国へと旅に出ておりまして、旅の土産話をするために、精霊王の処へ行った折りに、フォルトゥーナ様がいらして、私を見るなり、ここに来て、ゴールディ様の指示を仰げと申されましたので。」
話を聞いた金龍は、頭を抱えながら
「ルイよ、お主は奴等に損な役回りを 押し付けられた様じゃな。
それにしても、精霊王のジジィにポンコツ女神の奴、何も教えずに、ルイをよこすとは……
手ぇ抜かずに説明ぐらいすればいいのに。
まぁ良い、儂が教えてやろう。」
と言いながら、監視魔法を発動した。
すると、城の中の様子が目の前に映し出された 映像は、丁度、人化した白龍が王族達に語り掛けるところからはじまった。
目の前の映像を見ながら金龍は、ハイエルフのルイに、自分が知る 白の魔王レジーナの事を説明しながら。
「あのポンコツ女神、適当な事ばかり述べやがって!」
等と少し興奮気味に、フォルトゥーナの発言にツッコミを入れたりしていたが、映像の中の、フォルトゥーナと白龍が光の中に消えるところまで見終わると、赤ん坊を抱いたフォルトゥーナと白龍が 目の前に立っていた。
フォルトゥーナは現れるなり。
「ハイエルフの族長ルイ・テイト説明も無しに、貴方を此処へと、招きましたが良く来てくれました嬉しく思います。」
「嫌な予感しかしないのですが……」
「そう言わずに、私達の願いを聞き入れてはいただけませんか?」
「「私達達~?」」
金龍と白龍の声がハモった。
「チョッと待て!まるで儂やハクまでがルイに頼み事してるみたいではないか!」
金龍が言うと、フォルトゥーナは
「ゴールディ様は、この子の事を導いて頂けるそうですが、宜しいのでしょう?」
「まぁ新しき友の為に、一肌脱ぐつもりではあるがな。」
フォルトゥーナの問いかけに、金龍が力無く答えると白龍は、少し苦笑いしていた。
「それで、私は、何をすれば良いのでしょうか?」
ルイが恐る恐る質問すると、
「貴方には、ゴールディ様のサポートをお願いします。
先ず、この半島の先の森の開けた所に、この子を育てる為の小屋をお願いします。
その後は、ゴールディ様の指示に従って下さいませ。」
「やっぱり儂が、育てなければならないのか?」
金龍の問い掛けに
「子育ては、ゴールディ様って言っちゃいましたから お願いしますね。」
「何故、儂が?」
「ハクタイセイ様が、レジーナちゃんの為に、兄様が、導き役になるって教えてくれたから……」
「そりゃ言ったけど、子育てとは……」
と云いながら白龍を睨むと、白龍は反対側の空を見上げた。
「よーし分かった!儂が立派に、この子を育ててやるから!
じゃあ誰か、オッパイ飲ませてくれる者はいないのか?
ハクお前母乳出ないのか?」
「兄様、私は、まだ子供を産んだ事すらありませんし、母乳、出そうに見えますか?!」
頬を染めて白龍が答えると
「母乳の代わりになる物でも良いなら、我部族の薬師が用意出来るはずです。」
ルイの言葉に
「それはありがたい。
今すぐ交渉にいくぞ!」
と白龍は、ルイの手を掴むと再び光の中に姿を消した。
「可愛い赤ちゃん!」
不意に声が聞こえてきて フォルトゥーナの肩越しに、エドワードを覗き込む若い女性に気付いた金龍が。
そなたは、誰じゃ?
と尋ねると。
「私。レジーナだよ、ゴールディさん。
赤ちゃん抱っこさせて欲しいんだけど、身体の方は、もう少ししないと起きそうもないから、少し残念だね。
たまに、この思念体で遊びに来てもいいですか?」
「まぁ、駄目とわ言わんが、フォルトゥーナよ、」
「」
返事の無いフォルトゥーナを見ると、赤ちゃんを抱いたまま意識を失っていた。
このままフォルトゥーナが 倒れでもしたらと、金龍は、素早く人化すると、フォルトゥーナの背中を右手で支え腕の中から、エドワードを左腕だけで、掬い上げる様に持ち上げると、右手を そっとフォルトゥーナの背中から離し エドワードを両手で抱き抱え直すと、 後ろにある巨木の根子に腰掛けながら。
「赤ちゃんの顔見るかい?」
手招きしながら レジーナに声を掛けると、満面の笑みで、人化した金龍の前にしゃがみ込み
「ゴールディさんって人間になれたんですね。」
等と少しピントの外れた事を口にしながら、エドワードの頭を撫でようとするが、触る事が出来ず、その笑顔を曇らせた。
「やっぱり、実体がないと、触れませんね。」
少し寂しそうに微笑むレジーナに金龍は、優しく。
「今は、この子と触れ合う事は出来ずとも、この子が眼を開けば、その眼に写る事も。
この子が、言葉を覚えたなら、笑いながら話をする事も出来る様になるし、
何より、この子こそが、近い将来、この大樹の中から、お前を救い出してくれるのだから。
そして、エドワードよ、その方は、この世界樹に眠る、この嬢ちゃんを助け出さねばならないのじゃから。」
金龍の言葉を聞くと、レジーナは、エドワードの顔をしっかり覗き込みながら。
「男前に育つかなぁ~?私の好みの顔に成りそうなら、性格も私好みになる様に教育しちゃうんだから。」
少し、お花畑な事を口にする レジーナに 金龍は、少し悪ノリして、
「この子の名前は、エドワード。
両親共に、美男美女だから、この子もおそらくは、美男子に育つのではないかな。」
「じゃあ、ゴールディさんが、エドワードちゃん育てるなら、私が、女性に対する礼儀とか教えに来るね。」
屈託なく笑うと、レジーナは、世界樹の中に消えていった。
やはり、レジーナは、滅しては、いけない普通の女の子だなぁ!
等と金龍が想いを馳せていると、目の前に、白龍とハイエルフのルイの他に逞しい体躯の男性のエルフが3人、人間の年齢に当てはめると20代半ば位と10代後半位に見える女性のエルフ2人を連れて現れた。
「兄様、エドワードの住まいを作ってくれる大工の職人と、食事の世話してくれる薬師を連れて参りました。
なお、大工の方々は、住まい、家具、周辺の設備が整えば エルフの里に戻りますが、薬師のふたり2人は、後々、レジーナの眠る世界樹の森に集落作る事ができるかの調査も兼ねていますので、集落を作るならば、永住という事になります。
ところで、兄様は、いつの間に人化したのですか?
それと、フォルトゥーナは、何故あそこで立ったまま眠っているのでしょうか?」
「ああ、あれは先ほどレジーナの思念体が現れたので、驚いて気絶でもしたのであろう。
それで、エドワードを落とされては困るので、儂が人化して、エドワードを抱き抱えてレジーナの話し相手をしていたのじゃ。」
「なんと!レジーナが現れたのですか!」
「現れたと言っても、思念体で、身体の方は、まだ目覚めないと言うておったわ。
それから、エドワードを見て、「可愛い!」と連呼して、自分好みに育てたいと言いながら また眠りに着いたみたいじゃ。」
白龍がルイとエルフの里に薬師達を連れに行ってる間の事柄の説明をし終ると
ルイ達に連れて来られたエルフ達が、各々、金龍への挨拶と自己紹介終わらせ、
3人の男性エルフは、里では、有名な大工兄弟で腕の方は、かなりのものらしい。
3人は、自己紹介の後、指定された場所へ建設用の木材を切り出しに向かって行った。
薬師の2人のエルフも、やはり、姉妹で里の最長老であり占術師であり、精霊の依代を務め薬師としても、多くの弟子を育てるなど、多岐に渡ってエルフの里を支え続けてきた相談役の孫娘らしい。
里の者達が、よくそんな最長老の孫娘を、よく里から出したと思ったら、最長老の占いによる 人選だったらしい。
姉の名前は、シェーラ 妹の名前は、シーナと言うらしい。
2人は、若く未婚ではあるが、里では、多くの赤ん坊の世話をしてきたらしく、最長老が間違いないと、太鼓判を押して送り出したそうである。
こちらは、大工兄弟と違い、何やら打ち合わせをした後、妹のシーナが、金龍からエドワードを受け取りルイと育て方の相談。
姉のシェーラの方は、これから、必要になる薬草や食材の採取に行くと、森の奥へと入っていった。
そして、白龍は、まだ伸びているフォルトゥーナを抱き上げ
「兄様、とりあえず、一度フォルトゥーナを神界へと、放り投げたら天界の用事を済ませて3日後位に、様子を見に戻って来ます。」
そう言うと、三対六枚の白く七色の光沢を放つ翼を広げ空へと舞い上がった。
1人になった金龍は、たまには、人の姿で街に散歩に行こうと森を後にした。
今回も、最後まで読んで頂きありがとうございます。
主人公産まれたのですが、後、少しだけ周りのキャラがメインで動きます。
多分キャラごとの短い話なので詰めて投稿出来る様に頑張ります。