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第三章(42)

 少し投稿に、時間がかかるとか言いながら、ここまでの話しは、出来上がっていたので、意外な程早く上がりました。

 よろしければ最後まで読んで下さいね。

 いよいよ、格闘部門の決勝戦が始まる。


 舞台の下から壇上に上がると、そこには、両サイドに大きくスリットの入ったエプロンドレスに身を包んだスカーレットさんが、悠然と立っていた。


 いつもとあまり変わらぬメイド姿に少し驚いたけど、いつもの柔らかいスマイルはなく、ハッキリ言って凛々しく思えるその姿に、ソフィアさんに説教をした時の事を思い出した。

 これは、ハク姉ちゃんに昔、聞いた事だが、天界や地上に住む竜族の中でも特に力のある4種族は、竜ではなく、龍族と呼ばれるらしい。

 青龍、黄龍、赤龍、黒龍の4種族だ、魔力と知力は、青龍と黄龍が上で力とスピードに関しては、赤龍と黒龍が強いと聞いた事がある。

 そして、スカーレットさんは、赤龍の長の自慢の娘らしい。

 種族の長の娘が、弱い筈が無い!

 それに、今日は日頃の、出来るメイドの雰囲気が全く感じられない。

 どちらかと言えば、獲物を前にした肉食獣と言うか、ドラゴンのオーラすら感じられる。

 僕は今、捕食されてしまうかの様なプレッシャーに晒されている。

 マジで勝てる気がしない。


 ハク姉ちゃんからも感じた事が無い程の圧力の前に晒されて、ドラゴンと言う種族の恐ろしさを、今、目の当たりにして、マリーが100年修行しても勝てないと言った意味を闘う前に悟ってしまった。


 本気のスカーレットさんからすれば、僕なんかは、餌や糧ぐらいなのだろう。

 しかし無様に負ける訳にもいかない、勝てずとも、せめて一矢は、報いたい。

 兎に角、一発入れよう!それしか思い浮かばなかった。


 そして、試合開始の合図が鳴り響き、その瞬間には、僕の目の前で、スカーレットさんの、回し蹴りが、迫っている。間一髪でしゃがんで避けると、今度は下から蹴り上げてきた。

 これも、バック転でギリギリ避けた。


 全ての回避行動が、後手にまわってる。

 このままでは、何も出来ずに終わってしまう。

 バック転で下がった所に、更に後ろ蹴り、もう一度、バック転で間合いを離した所に、背の低い僕の胸元に向かって肘を突き出して突っ込んで来た。

 後ろに下がると、更なるコンビネーションの的になりかねないので、突っ込んで来たスカーレットさんの肩に手を突き低い態勢で迫ってくるスカーレットさんを、飛び越え様と、ジャンプした。

 越えるかどうかギリギリのジャンプだった。


 僕のジャンプに気付いたスカーレットさんか、頭を少し僕の方へ向けた瞬間、僕の股関にスカーレットさんの顔が、激突した。


 もうその瞬間に、言葉では、言い表す事が出来ない痛みに襲われて、地面に落ちた瞬間から、のたうち回った。

 生まれてこの方味わった事の無い激しい痛みに、転げ回り、どうにか立ち上がると、審判が、僕の手を取り高々と、持ち上げた。


 よく見ると、スカーレットさんは、何故か伸びていた。

 どうやら、2人まとめて倒れていたので、先に立ち上がった方の勝ちと言う事らしい。

 どうもスカーレットさん、僕の股関に激突した時に、脳震盪でも起こしたみたいで、動かなくなっている。

 僕自身は、スカーレットさんの、攻撃をただ避けまくって、最後に避け損ねただけなのに、こんなんで良いのだろうか?

 かなり疑問に思うのだが、審判は僕の左手を高々と、上げてくれている。

 右手は、股間を押さえているけど。

 その姿に観客席からは、クスクスと笑い声がさざ波の様に広がり、今は会場中が、クスクスと笑っている。


 そして、僕の手を持ち上げている審判までが、笑いをこらえている。


 幸か不幸か?こんな情けない勝ち方で、僕の格闘部門の優勝が決まってしまった。


 おい!本当にいいのか?この勝負?

 自問自答してみるが、スカーレットさんが、立ち上がらない以上やはり僕の勝ちなのだろう。


 すぐに次の試合が控えているが、股間の痛みが治まらない。

 仕方ないので、股間の痛みを理由に、剣士部門の準決勝は、棄権する事にした。

 今回も最後まで、読んで頂きまして、ありがとうございます。

 意外なぐらい、呆気なくも、しょーもない勝ち方でしたが、一応、こんな感じになるのは、スカーレットさんの、出場を決めた時から、決めていました。

 剣士部門をリタイアした事で、エドワードの残りの試合は、残すところ無制限総合部門の決勝戦のみとなります。

 次回は、最初にスカーレットさんの話しからの予定です。

 よろしければ、また次回も、お立ち寄りして下さいね。

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