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第三章(35)

 今回も、お立ち寄り頂きまして、ありがとうございます。

 さて今回も武闘祭のはなしですが、よろしければ、最後まで読んで下さいね。

 無制限総合部門とは、過去に各部門での、優勝経験者や、異種部門と闘いたい者、実力の抜きん出た者達が集まる、言わばこの武闘祭に出場する者の中でもかなり特殊なカテゴリーである。


 主なルールとして、武器の携帯は3つまでが認められている。

 過去に暗器使いが、無数の暗器を駆使して勝ち上がった事により、武器の数が制限された以外は、相手を殺さなければいいと言う、とんでもなく適当なルールである。

 勝敗に関しては、対戦相手の戦闘不能、ギブアップ、審判による判断で、勝敗が決する。



 審判長から、ルールの説明が終わり、いよいよ第一ブロックの試合が始まる。

 第一試合の試合場に、ゴールディさんが登場すると、観客は一気に盛り上がった。

 僕は、第二ブロックの最後に試合が組まれているので、第一ブロックの間は、世界樹の森の皆と、一緒に観戦していた。

 僕の隣には、プリンセスのスカーレットちゃんが何故か王族用観覧席ではなく、世界樹の森の皆に囲まれて観戦している。

 その隣には、最終日に格闘部門で、僕と決勝戦を闘うスカーレットさんがいる、この2人は、同じ名前のせいか、とても仲が良い、スカーレットさんからすれば、初めて加護を与えた人間だから、必要以上に気にかけているのかもしれない。


 そして、ゴールディさんの試合だか、相手は、拳闘士で、顔にきたパンチは、全てかわして、身体へのパンチは、全て涼しい顔で受けていた。

 そのうち、疲れが見え始めた相手に対して、デコピン一発で、試合を決めていた。

 観客は皆、呆気にとられていたが、誰かが、いいぞーデコピン親父~!!とか叫んだら、会場が一気拍手に包まれた。

 僕の後ろで観戦していたジャニスが、デコピン怖いと言っていた。

 どうやら、デコピンがトラウマになっていたようだ。


 そして、試合は進み、第一ブロックの最後の試合にハク姉ちゃんが現れると、貴族席の方がざわめきだした。

 最近、と言うかジャニスの一件以来、世界樹の森へ貴族がよく食事をしに来る、ハク姉ちゃんは、貴族の客に、料理を振る舞う事はないのだが、貴族の客の間では、一番料理上手な、美女として、かなり有名になりつつある。

 マークさんが、ハク姉ちゃんには、婚約者がいると、言ってはくれたものの、今だにハク姉ちゃんを口説きに来る客もいるから、その人気も伺える。


 そんなハク姉ちゃんが、素手で試合の舞台に登場し、しかも相手は、クレイモアと呼ばれる大剣を手にしての登場に、貴族席は、もちろん他の客席からも悲鳴の様な歓声や、やめてー!と言った声が沸き起こっている。

 そんな外野の声は、気にも留めず、いつもの様に薄い微笑みを絶やさなかった。

 しかし対戦相手の剣士は、素手で舞台に立つハク姉ちゃんを見ると、勝てると確信したのか、それとも既に勝ったつもりなのか、余裕の笑みを浮かべていた。

 しかし、いざ試合が始まると、ゆっくりと小刻みに動くハク姉ちゃんに対して相手の剣士は、少しやりにくそうに見えた。

 ハク姉ちゃんは、構えをとろうとする相手に対して最小限の動きで、攻め難い位置を選び移動していた。

 僕も練習で、あれをやられた事があるけど、こちらの攻撃が、ワンテンポ遅れてしまい、かなり攻撃しずらかった。

 次第に焦れてきた剣士は、クレイモアを肩に担ぐ様に構え、一気に間合いを詰めてハク姉ちゃんのお腹の辺りを狙い横薙ぎにクレイモアを振った。

 それに対してハク姉ちゃんは、薙ぎ払う様に振られたクレイモアの上を側転する様に身を翻して、逆さまの状態から、剣士の首筋辺りに蹴りを入れた。

 剣士は、振り回した剣の勢いのまま、独楽の様に回転しながら崩れおちた。

 ハク姉ちゃんの方は、綺麗に着地を決めて崩れ落ちる相手を眺めていた。

 相手が、立ち上がらない事を確認すると、審判がハク姉ちゃんの、勝ち名乗りを上げた。

 一瞬の出来事に会場中が静まりかえっていたが、ハク姉ちゃんが勝ち名乗りを受けると、これ迄で一番の盛り上がりをみせた。


 第一ブロックの試合が終わったので、第二ブロックに試合が組まれている僕は、選手控室に行くと、ゴールディさんとハク姉ちゃんが、試合、観てくれたか?と、やって来た。


「ゴールディさんが、デコピンで相手を倒したので、ジャニスが、デコピンでハク姉ちゃんに伸された事を思い出して怖がってましたよ!」


 と教えると


「そうか!なら、ハクとの試合は、デコピン合戦にするか?」


 と、豪快に笑っていたがハク姉ちゃんは


「私は、久し振りに兄様を、ぶん殴る為にここに参加したのだから、デコピンでは物足りないです。」


 と微笑んでいた。

 周りで、聞き耳を立てていた選手達は、少し引き気味だった。

 すると、ハク姉ちゃんが勝利のおまじないにキスしてあげようか?

 と言ってきたが、周りに選手達がいるので、断ると、とても悲しそうな顔をするので、じゃあ勝ったらキスして下さいって言ったら、嬉しそうにしてくれた。

 そろそろ僕も、試合の準備をするか!と控室を出ると、ゴールディさんも、エドワードの次の試合が、儂の試合たから、一緒に行こうと続いて部屋を出た。

 すると、その後ろからハク姉ちゃんが、付いて来るので、理由を聞くと、僕が勝ったらキスするから、と言う、競技場でするなら、頬っぺたにお願いしますと言うと、エドワードの意地悪と、頬っぺを膨らませた、ハク姉ちゃんが可愛かったので、手を引き、頬っぺにキスしたら、嬉しそうにして、僕の頬っぺにもキスしてくれた。

 廊下から、競技場に出る直前、ゴールディさんが、いきなり僕を抱え上げ肩車して、試合場まで、連れて行ってくれた。

 僕が姿を現すと女性達から、声援が沸き起こった。

 僕を肩車しているゴールディさんにも、デコピン親父~!!とか声援が飛び交う中、ハク姉ちゃんが姿を現すと、更に大きな声援が沸き起こった。

 今日一番人気の選手は、間違いなくハク姉ちゃんだろう。

 そして、僕の試合が、始まる。

 相手は、拳にバンデージを巻いているので、多分、拳闘士のようなので、帯刀はしているけど、刀は、使わずに試合をしょうと、思った。


 試合開始の合図とともに、相手の拳闘士は、右の拳を回し打ってきた。

 ボクシングで言うフックである。

 僕は、左に半歩避けながら、踏み出した右足を軸に反時計回りに回転しながら左肘を相手の身体の中心に向かって叩き込んだ。

 その一撃で試合が決まり、勝ち名乗りを受け舞台を、降りようと振り返るとゴールディさんが、ナイスファイトと言いながら、僕の頭をガシガシと乱暴に撫でてくれた。

 次は儂が頑張る番じゃな、と舞台に上がるゴールディさんに、下で見てますと、舞台を、降りようとした時、ハク姉ちゃんが駆け寄り、僕の唇を奪った。

 貴族席の方からは、何で~!!とか、そんな~!!とか嘆き声が聞こえてきた。

 女性客からは、エドワードを取らないで~!!とか聞こえてきたが、ハク姉ちゃんは、嬉しそうに僕を抱き締めていた。

 舞台の上では、これから、ゴールディさんの試合が始まる。

 ゴールディさんは、相手の剣士が、上段から振り下ろしてきた剣の腹を殴り、観客席の手前の壁まで、剣を吹き飛ばしていた。

 吹き飛ばされた剣は、真っ二つに折れて、相手の剣士は、早々にギブアップを宣言した。

 勝ち名乗りを受けたゴールディさんに、流石ですね!と言いながらも、この人には、絶対に勝てないと思った。


 その後、ハク姉ちゃんと僕も、順調に勝ち進み、ベスト4が出揃った。

 そして、試合は、第一ブロックの最終戦、ゴールディさんとハク姉ちゃんの試合が、これから、始まろうとしている。


 今回も最後まで読んで頂きまして、誠にありがとうございます。

 次回は、、ゴールディさんとハクタイセイの試合からの予定です。

 少し波乱がありますので、楽しみにして下さいませ⁉️

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