第三章(28)
皆様、またのお立ち寄り、誠にありがとうございます。
気が付けば、前回が50話目でした。
意外にも、頑張っているのが、自分でも不思議です。
50話を記念して、何かやろうかな?と思いましたが、やらなくても、イベントの回は、やって来る?
意味は、分かりませんが、今回も最後まで、読んで頂けると、嬉しいです。
僕達は山賊の討伐を済ませて、一路王都へと向かっていた。
途中、通り過ぎる村や町では、巨大なグレートボアのグレイシアが牽引する猪車が珍しいのか、かなり、好奇の目に晒されたのだが、よくよく見れば女性達が、目を背けているのは、全裸の山賊達を縛り付けていたからである。
せめて、つき出してから脱がせれば良いのに、マリーは何て事してくれたんだと、シェーラ姉ちゃんが文句を言うが、マリーは笑って済ませていた。
王都に着くと、門番が慌てて駆け寄って来た。
事情を話すと、それでも全裸の者達をそのまま街の中に入れる事は、出来ないと言われたので、マリーとリリーは、冒険者ギルドに、シェーラ姉ちゃんとジャニスには、衛兵の所で理由を話して、引き取りに来て貰う事にした。
ギルドからは、ギルド長がやって来て、今回も全員生け捕りにした事を驚いていた。
これなら、A級どころかAA級かS級に成れるんじゃないか?とギルド長が話してくれた。
衛兵さん達はシェーラ姉ちゃんの話しを聞いて、荷馬車に大量の麻袋と手枷を積んでやって来た。
衛兵さん達は、麻袋の底に頭が出せる位に切り込みの入れて手枷のはめた山賊に麻袋を着せていた。
やがて全ての山賊達に麻袋を着せ終わり腰にロープを巻かれ、連れて行かれた。
取り敢えずギルド長には、猪車を停めてから、ギルドに行く事を伝えてミックさん達の家に向かった。
ミックさん達の家に猪車の停めてグレイシアに、人化の魔法を掛け、ギルドへ行くと、宰相のケインさんと、前国王のマークさんが護衛の近衛兵に囲まれて居た。
どうやら、もうすぐ毎年恒例の武闘祭があるらしく、出場者募集の張り紙と申込用紙を持ってきたのらしい、が、何故国の重鎮がギルドにわざわざやって来たのか聞くと、僕が山賊を、討伐した話しを聞き付けて、僕に会いに来てくれたらしい。
ギルドの会議室に通されて話しを始めると、何でも、近衛兵達が、僕に連戦連敗なので、武闘祭に、王族代表として出場して欲しいとの事らしい。
僕が難色を示していると、ケインさんが、ギルドに武闘祭の出場を指名依頼してもよい。
そう言われては断れないので、ギルドへの指名依頼は、断って出場する事にした。
するとギルド長が、エドワードには、ギルド代表で出場させるつもりだったのにと悔しがっていた。
その後、皆で雑談をしていると、ミックさんやヴィンスさんにトミーさん達も、ここ数年、毎回剣士部門に出場しているそうだ。
剣士部門と言う事は、他には、どんなのが有るのか聞いてみると、武器を使わない格闘部門、弓の命中率を競う弓術部門、槍を使う槍術部門、そして何でも有りの無制限総合部門、この五つのカテゴリーで試合や競技が行われるらしい。
弓の話しが出た時、シェーラ姉ちゃんが、妙にやる気を出していたので、多分出場するつもりだろう。
マリーとリリーは、魔法部門はないのか?と尋ねていたが、それは無いらしい。
残念そうにしていたが、マリーは、じゃあ剣で行くかと言っていた、本気なのだろうか?
そんな話しをしていると、ギルド長の秘書さんがやって来て、僕達にギルドカードの提出を求めた。
各々カードの提出すると、秘書さんが、おめでとうございます、皆様ランクアップです。
とカードを持って部屋を後にした。
マークさんが、おめでとう、所でエドワードは、ランクアップして何級になるのだ?
と聞いてかたので、多分A級になりますとこたえたら、
「ケイン、儂は、今夜は向こうへ行くぞ!」
と嬉しそうに話していたが、ケインさんは、兄さんまたですか?と渋い顔をしていた。
そうこうしてる内に、秘書さんが戻って来て皆にギルドカードを渡してくれたのだが、僕のカードだけが、金色のカードになっていた。
「A級に成るとカードの色が変わるんだね。」
「はい、A級からは、色が変わりますが、エドワード様は、今回S級に昇格成されました。」
僕の問に、答えて秘書さんが、S級昇格だと教えてくれると、ケインさんが、飲みかけのお茶を吹き出した。
「エドワード君S級?」
そう言うと、僕の顔をマジマジと見詰め、
「近衛兵達が、勝てない訳だよ。」
とため息を付いていた、ケインさんとは、対照的にマークさんは、嬉しそうな顔をして、プルプル震えているのが、少し笑えた。
会議室から出てカウンターに行くと、やたら周りの視線が、気になった。
多分、マークさんやケインさんと、仲良く会議室に入ったからだろうと、思っていたら、他の冒険者の人達が、S級昇格おめでとう!と声を掛けてくれた。
よく見ると武闘祭のポスターの横には、エドワード・カイゼルグランデ様S級昇格最年少記録達成おめでとうございます。
とデカデカと書かれ花まで飾られていた、
さすがに、これは恥ずかしいと、受付のお姉さんに言うと、外す事は、出来ません。
あっさり却下されてしまった。
その後、カウンターで報酬の分配をしていると、ギルド長が来て、S級昇格の祝い金だ、と金貨50枚渡された。
ギルドを出ると、マークさんが付いて来たので、美味しいスイーツの店を教えて貰い皆で入った。
流石マークさんの薦めてくれた店だけあって、素晴らしい美味しさだった、僕は森で待つ皆の為にお土産をたくさん買い込み、ミックさん達の家へと戻った。
家の中に入ると、山賊の所から付いてきたソフィアさんが、また眠っていた。
よく寝る人だと思いながら、起こして一緒に、世界樹の森へ帰った。
世界樹の森に着き集会場の前に猪車を停めると、ハク姉ちゃんが出迎えてくれた。
1人づつ猪車から降り、最後にソフィアさんがあくびをしながら降りるとソフィアさんの右のこめかみ辺りに、ハク姉ちゃんのハイキックが決まり、ソフィアさんをもう一度眠りの世界に引きずり込んだ。
観ていた者は皆、目が点になった。
ハク姉ちゃんは、大声でスカーレットさんを呼び、やって来たスカーレットさんは、気絶しているソフィアさんに馬乗りになり、起きろーと頬っぺたをバチバチ叩いていた。
やがて、頬っぺたを真っ赤に腫らしてソフィアさんが目覚めて、「あっ!お姉ちゃん。」と言った。
その後、スカーレットさんは、少しこいつに説教してくる、と誰も使っていないツリーハウスにソフィアさんを引き摺って行った。
集会場に入りテーブルにお土産のスイーツの箱を並べて皆を呼んでティータイムにしようと提案して皆で集まった。
ヘレンさんがスイーツを一口食べて、僕に、買った店を教えて欲しいと言ってきたので、マークさんに紹介してもらった店だと教えると、ヘレンさんは、マークさんの胸ぐらを掴み、こんな美味しい店を知っているなら、何故私に教えない?と理不尽な切れ方をしていた。
シーナさんが本当に美味しいスイーツだけど、こんなにたくさん買って来て大丈夫なの?と聞いてきた、シェーラ姉ちゃんが、大丈夫だよ、今日はおめでたい事があったからね。
と僕にウインクした。
それを見たシーナさんが
「まさか、お姉ちゃん!エドワードと!」
何言ってんのよ、とシェーラ姉ちゃんが笑いとばすと、マークさんが、
「そうじゃ!エドワードが今日、冒険者ランクS級に昇格したんじゃ!」
と声高良かに建言した。
それを聞いた皆に、おめでとう!とお祝いの言葉を貰い、ゴールディさんとマークさんがお酒を飲み始めると、アンナが、さすが私の弟分と頭を撫でに来た、次にアリッサが、次の依頼は私も誘って下さいね、と言ってきた、そして、クリス(ティーナ)か、おめでとう、スゴいねって握手してきた。
最近少しずつだけど、クリスが明るくなって来たのが少し嬉しかった、年齢はクリスが1つ上だけど、背が低くて大人しいクリスの事を妹の様に感じていたので、そろそろ妹の様に扱うのは失礼かな?と思った。
すると、今度は、本物の妹分のオリヴィアが僕の膝の上に腰掛け、エド兄ちゃんケーキありがとうと僕の頬っぺたにチューしてヘレンさんの後ろに隠れてしまった。
その向こうでは、ライアンが口の周りをクリームだらけにして、ひたすら食べていた(笑)
僕が周りを見回しながら、ニコニコしていると、マリーが練習用の刀を持って、エドワード練習と駆け寄って来た。
「もしかして、本気で武闘祭に出るの?」
と聞いたら、出るよ!とあっさり答えた。
すると、ニッキーとアリッサが、この話しに食い付いた。
すると、シェーラ姉ちゃんまでが、私も参加するのよ、弓術部門だけど、と言うと、今度はシーナさんが詳しく教えなさい、と摘め寄ってきたので、マークさんを呼び、詳しく説明して貰った。
すると、一番参加してはいけない2人がやる気になってしまった。
ゴールディさんとハク姉ちゃんである。
ゴールディさんは、無制限総合部門に出ると言う、ヤバい!僕のエントリーも無制限総合部門だよ。
大体、剣士部門に出たかったのに、S級になったのだから挑戦してみろとケインさんが勝手に決めてしまった。
マークさんに、今から他の部門に変えていいか聞いてみると、以外にもOKだった、じゃあ剣士部門で!と言うと、ハク姉ちゃんが私も剣士部門と槍術部門に、それから、たまには兄様をぶん殴りたいので、無制限総合部門にも、と言い出した。
マズイ!この2人と試合したら死ぬ!そう思った僕は、マークさんに、こっそり、やっぱり格闘部門で、とお願いした。
後日判明したのだが、剣士部門だけは、出場選手が多いので、男性部門と女性部門が有るらしい。
武闘祭に参加する僕以外の出場者は
無制限総合部門
ゴールディ
ハクタイセイ
剣士部門
ハクタイセイ
マリー
ニッキー
アリッサ
槍術部門
ハクタイセイ
アナスタシア
弓術部門
シェーラ
シーナ
格闘部門
グレイシア
以上のメンバーがエントリーする事になった。
意外だったのは、アナスタシアさんが、槍術部門にエントリーした事た、日頃、仕事に関しては文句も言わず、テキパキとこなしているしっかり者で自己主張をあまりしない、出来るメイドか秘書って感じだったけど、こんな一面があるとは、皆驚いていた。
翌日は、朝から王都の武具店に出場者全員で練習用の物と試合用の物の買い揃えようと店に入ると、ハイエルフのルイさんがドワーフと一緒に色んな武器を手に取って調べていた。
ルイさんが僕達に気付き、挨拶しながら、一緒にいるドワーフを紹介してくれた。
腕の良い鍛冶職人のリガスさん、これから世界樹の森に住んで道具や武器等の金属製品を作ってくれるらしい。
その後、ギルドで、エントリーカードの提出をした。
ギルド長の話しによると、出場者は、試合の成績が良ければ、ランクアップする事が有るらしいので、アナスタシアさんもギルドに登録させてみた。
帰ったら、昼から、武闘祭に向けて皆で練習をする事にした。
集会場で昼食を済まし、練習を始め、軽く身体をほぐした後、アナスタシアさんとアリッサが試合を始めた。
アナスタシアさんは、薙刀と呼ばれる、槍と言うよりすごく柄の長い刀の様な槍を使っていたのだが、よく見たら、ハク姉ちゃんも同じ薙刀を手にしていた。
アナスタシアさんとアリッサの勝負は、一瞬で方が着いた。
アナスタシアさんの圧勝だった。
ハク姉ちゃんは、この国にあれほどの薙刀使いが居るとは思わなかった。
と、しきりに感心していた、薙刀は、ハク姉ちゃんの生まれた国の武器で、こちらの国には、練習用の型ぐらいしか伝わっていないはずなのに、と言っていた。
負けたアリッサは、間合いに入れないまま、脛を打たれ、転けたところで、喉元に石突き(槍の刃が付いていない方)を突き付けられて降参した。
ヤバい僕が試合しても負けるかも知れない、なんて考えていたら、グレイシアのタックルをまともに受けて、吹っ飛ばされた。
そうだ、グレイシアと練習していたんだった、珍しい武器の戦い方が気になっていたけど、練習中に余所見は、ダメだね。
余所見がバレて、薙刀を持ったハク姉ちゃんと相対する羽目になった僕は、やはり軽くあしらわれて、ボコボコにされてしまった。
初手を受けたのが間違いの始まりだった。
ハク姉ちゃんの横からの攻撃を受けきれると思い受けたら、遠心力が加わるせいか、かなり重く、バランスを崩した所に、容赦なく打ち込まれ、避ける事も出来ず、攻撃を刀で受ける度に態勢を崩され、転んだところで、喉元に槍先を突き付けられていた。
はい、何もさせてもらえませんでした。
ハク姉ちゃん強過ぎです。
今度は、ハク姉ちゃんとアナスタシアさんがやっている、見た目には、2人互角に見えるが、どうやら、ハク姉ちゃんがアナスタシアさんを上のレベルに導く様に戦っている様だ。
僕もああやって強くして貰った、ハク姉ちゃん教えるの上手だからなぁ、最近は、プリンセスのスカーレットちゃんにも、剣術を教えているみたいだけど大丈夫なのかな?王族の中でも武勇伝に事欠かないヘレンさんみたいに成らなければ良いのだけれど。
そんな事を考えながら、ハク姉ちゃんとアナスタシアさんを見ていたら。
「皆様、精が出ますね!」
とスカーレットさんか、ソフィアさんを連れてやって来た。
「スカーレットさん今朝は見掛けなかったですね。」
「ええ、今まで、この子に説教していたもので。」
えっ?なんか、サラッと言ったぞ、丸一日説教してたの?ソフィアさんも一体何やったんですか?
怖くて聞けない!
皆で練習している理由をスカーレットさんに教えると、そんな楽しそうな事が有るのですか?少し残念そうに見えるので、エントリーはまだ間に合いますよと教えたら、少し嬉しそうな顔をしていた。
もしかしたら何かの競技に出場するつもりなのだろうか?
そんな感じで、僕達は、練習に明け暮れ武闘祭を目指して頑張った。
最後まで、読んで頂き、誠に、ありがとうございます。
今回は、山賊の引き渡しと、武闘祭に向けての話でした。
次回からは、いよいよ武闘祭の話しに突入しますが、あまり詳しくは、書きません。
あまりに13歳のエドワードの話しが長くなりそうなので、13歳のエドワードの大きなエピソードとしては、この武闘祭が最後のエピソードになる予定ですが、その前に、武闘祭直前までの、極めて短い話しが、次回の予定です。
それでは、次回も、ここでお会い出来る事を願っていますね。