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第三章(23)

 いつも、お立ち寄りいただきまして、ありがとうございます。

 今回ゴブリン討伐ですが、最後に、少し大物が現れます。

 今回も最後まで、お付き合いして下さいね。

 朝、目が覚めると、人の姿に成ってからは、早起きが苦手だったハズのマリーが既に起きていて、しかも、僕とリリーの、服や道具まで用意してくれていた。

 しかも、マリーの横には、アリッサまで、僕とリリーが着替えて表に出ると、グレイシアまでが。


 どうやら、マリーが依頼を受けるのが楽しみで、早起きのついでに、グレイシアを呼びに行ったところ、不安で早起きして、素振りをしているアリッサを見つけて連れて来たらしい。


 アリッサはアリッサで、まだ薄暗いうちから起きて素振りをしていると、目の前にいきなり、巨大なグレートボアが現れて腰を抜かしそうになったらしい。

 そういえば、最近、グレイシアと遊んでないから、新しく来た女の子達は、まだグレイシアを見た事が無いんだった。

 帰って来たら、お披露目してあげよう。


 朝、早いけど、昨夜シェーラ姉ちゃんが、朝御飯とお弁当は、ちゃんと用意するから、食堂に来なさいと言っていたので、食堂へ向かう。

 食堂までの間、妙に嬉しそうなマリーが、


「食事が終わったら、昔、剣士達が使っていたテントに寄って欲しい。」


 嬉しそうに言ってきたので、これは、何かあると少し期待をしていた。

 集会場に着くと、ニッキーお姉ちゃんが挨拶して来た、一緒に朝食を摂り、軽い打ち合わせの後、お弁当を受け取った。

 今回のお弁当は、大きな寸胴鍋に入った具沢山のシチューと拳大の、少し固めに焼かれたパンだった。

 出発する頃にハク姉ちゃんがやって来て


「エドワード貴方以外、全て美しい年頃の女の子ですから、万が一にも誰かがゴブリンの苗床になる様な事が有ったら、赦しませんからね。

 それから、ゴブリンの集落ですから、既に苗床にされている女性が居たら、私を呼びなさい。」


「呼ぶって、どうやって?」


「心の中で、私を想いながら、お姉ちゃん愛してるって、思いなさい。」


「えっ?」


 僕は、言葉を失った、本当にそれでいいのか?簡単過ぎやしないか?でも、愛してるって、凄く恥ずかしいんだけど、ハク姉ちゃん嬉しそうに微笑んでるけど、からかわれてるのかな?

 とか思いながらも、ハク姉ちゃんが言うのなら信じてみようと思った。

 ハク姉ちゃんとシェーラ姉ちゃんの見送りを受けて出発した。

 出発するとマリーとリリーはグレイシアの背中に乗り楽しそうにしている。

 やがて剣士さん達が使っていたテントの前まで来ると、幌の付いた荷馬車の様な物が在った。

 しかし荷馬車にしては少し大きい上に1頭で牽引する仕様になっている。

 このサイズの荷馬車だと馬1頭では無理だ、と思っていると、マリーとリリーが、馬車の荷台から、装具を取り出しグレイシァに装着した。

 もしかして、グレイシァがこの荷馬車を牽引するのかと、聞くと、その通り、これは私が引くと嬉しそうにグレイシァが応えた。


 盗賊を討伐して以来、世界樹の森に馬と、馬車があるので、王都へ買い物に行くのに、頻繁に馬車を使うのを見たグレイシァが、マリーとリリーに、私も馬車を引いてみたいと言ったらしく、エルフの大工3兄弟に頼み作って貰ったらしい。

 御者席にマリーとリリーが座り僕達が荷台に、乗り込もうと、後ろに回ると、普通の荷馬車なら、後ろは幌のカーテンなのだが、観音開きの扉が取り付けられていた。

 中は、荷馬車と言うよりも、乗り合い馬車の様なベンチが両横に在るのだか、後ろの方は、蛇口の付いた柱の様な物や、何やら隠された機能が有るらしく、触らないで欲しいとの事だ。

 御者席に通じる扉を開けるとマリーが、出発の合図をグレイシァに送ると馬車?は、静かに動き始め世界樹の前で一旦停まった。

 しかし、これは、馬車ではなくて、猪車と呼べばいいのだろうか?

 取り敢えず僕の中では、猪車にしておこう。


 御者席の2人と僕が降りて、御社でお祈りしていると、ニッキーお姉ちゃんとアリッサが不思議そうに見ていた、お祈りが終わり、2人に説明を求められたので、御社の事を説明すると、2人も、この依頼が無事に終わる事を祈っているようだった。

 そして再び、猪車は動き始め建設中のエルフ大工さんの家の前を通り過ぎ湖畔の路を王都の方へと進み途中から、進路を東に向けて進むと、林に囲まれた大きな池が在ったので、一旦休憩を取る事にした。

 僕は、先ずグレイシアの額に僕の額をくっ付けて、念話で、疲れていないか聞いて見ると、まだまだ平気、もっとスピードを上げても半日以上走り続ける事が出来ると言って笑ながら、あまり顔を近付けられると照れてしまうと茶化された。

 アリッサの様子を伺ってみると、昨日の緊張が嘘の様に落ち着いていた。どうやら、腹を決めたらしい。

 残りのメンバーは、到っていつも通りだか、グレイシアが、その輪のなかに居るのが微笑ましく思えた。



 その頃、世界樹の森の集会場のリビングでは、ハクタイセイが1人で紅茶を飲んでいた。

 そこへ、一仕事終えたシェーラが来て


「ハク御姉様、今朝のエドワードとの会話ですが、既に生まれた時から念話のパスを繋げている事を教えていないのですか?」


「ええ、教えていませんよ、その方が後々面白そうたし、今朝みたいな悪戯もできるからね。

 これからエドワードが私に助けを求める度に、「愛してる」って、言ってくれるのよ。」


「何か、ハク御姉様ばかりいい思いしてませんか?」


「シェーラ、貴女も私に遠慮せずに、エドワードに悪戯しても良いのですよ、ニッキーとマリーも好き勝手やってますからね、独り占めせずに、皆で楽しみましょう。」


 ハクタイセイとシェーラの楽しそうな会話なのだが、会話の内容は、エドワードにとっては、楽しくなさそうだった。

 シェーラはエドワードのハーレムに入るとエドワードの前で公言して以来、ハクタイセイの事を、御姉様と呼んでいるのは、ハクタイセイを第一婦人と認めたかららしい。

 そして自分は、チャッカリ第二婦人と決め込んでいるみたいだ。



 グレイシァが、もっと早く走りたいと言い出したので、皆と相談すると、アリッサが、地面からの突き上げが来ないみたいなので、大丈夫だと言った。

 そう言えば、ここまで凄く乗り心地が良かった、これは、作った3兄弟の腕が凄いのかと思っていたら、リリーが風の妖精を呼び軽く猪車を浮かせていたらしい。

 リリーに魔力大丈夫か聞いてみると、全然平気、妖精がしている事だから、私は、魔力を一切使っていないと言う精霊って、便利な気がする。

 池の畔で早めの昼食を済ませ、一路目的の場所まで、猪車を飛ばすと、一時間半位で目的地の森までやって来た、この先は、グレイシアの装具を外して徒歩で向かう。

 しかし馬車で、丸一日掛かると聞いていたのに、グレイシアのスピードどれだけ早いんだろう?

 森の外れに猪車の固定して、マリーが、猪車の下に潜り込み施錠した。

 車軸に仕掛けが有るらしく、車体の下で施錠すると、扉と車輪にロックが掛かるらしい、逆に扉で施錠すると、扉しかロックが掛からないらしく、考え様によってはとても便利な機能だと思う。


 森を少し進むと、奥に少し開けた場所が在るのが判った。

 多分、そこにゴブリンの集落が在るのだろう、しかし、やはり集落の近くなので、見張りが居る。

 既にグレイシアが、見付かっているので、陽動を兼ねて僕達とは、反対に向いて歩きながら集落に近付いて貰う。

 既に森の中の見張りの何人かは、グレイシアに接近して警戒態勢なのだが、グレイシアが、ゴブリンと比べると巨大過ぎて、攻撃を仕掛けていいものか迷っているようだった。

 そうしているうちに、こちらは、リリーがその辺りの妖精に集落の中に人間が居ないか探らせていた。

 どうやら、何人か居るらしい、そちらには、リリーを向かわせ魔法で結界を張って貰う事にした。

 先ずグレイシアに集落の中に突っ込んでもらい、その隙に僕とアリッサで集落の中央に向かいマリーはグレイシアと合流して、グレイシアの背中に乗り集落の外周を周りながら、移動砲台として、魔法攻撃を仕掛けてもらう。

 そして僕は、アリッサの近くで、アリッサに向かって来るゴブリンの数をコントロールし、ニッキーお姉ちゃんは、アリッサの後方で不測の事態に備えてもらう事にした。


 グレイシアにも作戦を、念話で、伝えてマリーとの合流地点を決めてもらい、グレイシアが、集落の中央を横切りながら外周を周り始め僕とアリッサは騒然となる集落の中央へと駆け出す。リリーはグレイシアが、行動を起こす前に羽を出し空で待機していたので、グレイシアが、集落に突っ込むと同時に人間の居る建物に結界を張った。

 僕がゴブリンを斬り倒しながら、中央に向かい、僕の攻撃から漏れたゴブリンをアリッサが倒す。

 集落の中央に着いたときには、集落の外周では、炎が上がり出す。

 外に逃げようとする、ゴブリンを火属性の魔法で攻撃している様だ。

 ニッキーお姉ちゃんは、刀も抜かずにアリッサの後ろで傍観を決め込んでいる。

 僕の誘導でアリッサの所へは、一匹づつしかゴブリンが行かない様にしていたが、アリッサに余裕がみられるので、二匹送ると、まだ余裕を感じられたので、三匹にしてみたところ、ちゃんと戦えているので、僕はシンザンを鞘に納め、体術でゴブリンの相手をした。

 取り敢えず、止めを刺さず、殺さない様に、殴る蹴る、投げるいなす等、最後の止めは、アリッサに任せて、たまに振り向いて様子を伺うと、ニッキーお姉ちゃんが暇そうに欠伸をしている。

 粗方片付いてきたので、残りはアリッサに任せて集落の長を探すと、リリーの張った結界の中で一心不乱に腰を振っていたので、結界を解除してもらい、女性から、引き離し首を落とした。


 これにて依頼完了なのだが、苗床にされた女性が10人程居た。

 中には、臨月間近のお腹の女性もいるので、ハク姉ちゃんの力を借りる事にした。


 僕は心の中で、ハク姉ちゃん愛してると想い浮かべると、目の前に一際眩しい光と共に、ハク姉ちゃんが現れて


「私も愛してるわエドワード!」


 と、現れるなり僕を抱き締め唇を奪った。


 その後、ハク姉ちゃんが調べたところ、7人の女性が、妊娠していたので、ハク姉ちゃんが魔法で処置をしていた。


 その間僕とアリッサとマリーとニッキーお姉ちゃんで、ゴブリンの討伐証明部位を切り取り、更には胸の開き魔核を集めながら、ゴブリンの亡骸を火葬するために、集落の中央に集めていた。

 集め終わった頃に、ハク姉ちゃんが、女性の胎内から取り上げたゴブリンの胎児を集めた亡骸の上に乗せた時、空からグレイシァと変わらぬ大きさの物が飛来して来た。


 グリフォンだった。

 どうやら、血の臭いに引き寄せられたみたいで、僕が、構えを取り居合いを決めようと、腰でタメを作ったら、ハク姉ちゃんに止められた。

 僕にグリフォンは無理なのか?それとも、グリフォンに攻撃する意思がないのか分からないが、ゴブリンの胎児を、美味しそうに啄むグリフォンにハク姉ちゃんが、近付きグリフォンの頭に、何処から取り出したのか、手に持っていた赤と白の羽を、いきなりグリフォンの頭に突き刺した。


「何をする痛いじゃないか!」


 えっ?

 グリフォンが、喋った?

 喋ったグリフォン自身が驚いている


「私の身体に何をした?」


「私達とお話しが出来る様にしたの、それと、あなた風魔法が使えるでしょう、ついでに、火の魔法も使える様にして上げたのよ。」


「何故そんな事が出来る?」


「私は、神に等しい者、あなたは、私の下部となったの、だから私達と話しが出来る様にしたのよ。」


「勝手な事を!私は、空の覇者グリフォンの長、誰の下にも付かぬ!」


 語気を荒げて叫ぶグリフォンに、ハク姉ちゃんは、三対六枚の純白に輝く翼の広げて


「我は天上の虹、あなたが空の覇者を名乗るなら、私と闘い勝利してみなさい。」


 ハク姉ちゃんの挑発に踊らされたグリフォンは、空高く舞い上がり、そこからハク姉ちゃんに急降下して、攻撃を加え様としている。

 ハク姉ちゃんは、微動だにせず、片手でグリフォンの攻撃を受け止めると、デコピン一発でグリフォンの意識の刈り取った。


 その後、ハク姉ちゃんは、グリフォンちゃんは、連れて帰って来てねと言い残して、ゴブリンに捕まっていた女性を連れて転移した。


 僕は、グレイシアにグリフォンを括り付け猪車まで運び猪車の屋根の上に、目覚めて暴れても大丈夫な様に翼を広げられない様に身体を縛り足も縛り上げた後、落ちない様に括り付けた。

 その間にマリーの魔法で、ゴブリンを火葬して、リリーの魔法で浄化し土に戻した。

 そして僕達は一路王都の冒険者ギルドを目指すのだった。

最後まで、読んでいただきまして、ありがとうございます。

 今回最後に現れたグリフォンですが、この後、どうなるか?

 今回ゴブリンの殲滅作戦は、あまり残酷な描写を控え様と思い、比較的アッサリした表現にしました。

 次回は、王都の冒険者ギルドで、依頼達成の報告をしに行く話からになります。

 それでは皆様、また次回お立ち寄りいただくのをお待ちしております。

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