第三章(10)
今回も、お立ち寄り、ありがとうございます。
今回は、修行の話がメインです。
巨大な芋虫のリリーが蛹になった翌日、エドワードが自室で目覚めると、多尾狐のマリーは、いつもの様にエドワードの足元にいた。
マリーは、エドワードの纏う空気が心地良いと、エドワードが、赤ん坊の頃から、よくエドワードの側で睡眠をとる事があったのだが、最近は、頻繁にエドワードの足元で寝ている。
エドワードは、起き抜けにマリーを、起こさない様にソッとベッドから降りようとするのだが、いつもマリーは微動だにせず、「おはよう、エドワード!」と声を掛けてくる。
「ああ、マリーおはよう!」
と挨拶を返しながら、今日も、先に起きてたのか、今日は、いつもより早く目覚めたのに、と思いマリーの頭を撫でてやると
「エドワード、今日は、いつもより随分早起きだね、トイレにでもいきたいのかい?」」
と茶化されたが、
「今日は、やる事が沢山あるから、少し早く起きたんだ。」
「何を、そんなにやるの?」
「まずは、リリーに朝の挨拶をしに行くついでに、世界樹までの、軽いランニングをするんだ。
その後、軽く刀を持って素振りをして、朝御飯かな。」
「その後は?」
「剣の練習をして、シェーラお姉ちゃん達が、お昼の用意するのを手伝いながら、ヘレンお姉ちゃんに貰ったノートの解らない所を教えて貰うんだ。」
「成る程、たから、早くから、剣の練習するんだね。」
「エドワードの様に、何に対しても、一生懸命頑張る人間を私は、好ましく思うし尊敬に値する。」
「じゃあ、これからリリーの所まで、軽くランニングするけど、マリーも一緒に付いて来る?」
「そうだね、エドワードと一緒に毎日、リリーに会いに行くと約束したからね、昼御飯まで、側に付いて居るよ。
その後は、多分、オリヴィアの相手だろうね。」
いつも、繰り返される日常の風景、多分この日も、代わり映えしない景色の中で、エドワードとオリヴィアの2人は、少しずつ、成長して、色々な事を、覚えていくのだろう。
せめて、つまらない大人にだけは、ならないで欲しいものだ。
マリーは、そんな事を、一瞬考えたが、エドワードに限っては全く心配する必要はないと確信していた。
オリヴィアは、もう少し様子を見ない事には、と微笑みを浮かべ、エドワードと共に世界樹の方へと駆け出して行った。
ランニングの途中、エドワードは、立ち止まり、不意に、前日にルイに教えてもらった、歩方を思い出して、ランニングもいいけど、あの歩き方を意識せず、いつでも出来る様に、毎朝、この歩き方で、リリーの所まで、来れば、一石二鳥じゃないか?
そう考えたエドワードは、その日から、遥か東方の国の王家の秘伝とされている歩き方で、毎朝リリーの所へ挨拶に来る事に決めた。
その後の剣の素振りを見ていたニッキーが、エドワードの剣筋の雰囲気が、少し変わったと言っていた。
そして翌日には、ハクタイセイが、無駄が無くなり体幹に安定感が出てきたと言っていた。
実は、ルイに教えてもらった、歩方でエドワードの体軸のズレが矯正されて、刀を振る時に、刀に乗らずに外に逃げていた力が、綺麗に刀に乗せられる様に成っていた。
極め付けは、一週間後、ルイが驚いてしまう。
普段の歩き方でも、しっかりと正中線を意識しているかの様に歩き、何も意識していないと聞かされた時には、歩き方だけで、半年は掛かると思っていたらしく、その日は、座学で相手の攻撃の起こりの見つけ方を、教えてもらった。
そして、ハクタイセイの剣の修行の方でも、これからは、先の先の取り方、早い話が、今迄は、相手からの攻撃を受け流してから反撃だったのが、こちらからの、攻撃の形に変わり今迄よりも、濃密な修行の時間となった。
魔法の修行に関しては、フェニックスの赤い羽の加護で、既に上位まで使える火属性の魔法を使って、形状操作の練習をしている。
拡散と集積は、既に使えるのだが、ハクタイセイが出した課題は、この相反する形状を合わせて使い、次からは、いくつかの目標を決めて、一度の発動で、全ての目標を撃ち抜けるように、拡散と集積を組み合わせての発動を練習しなさい。
と次の課題を出され、壁にぶち当たった。
しかし、エドワードは、まだ七歳。
七歳の子供が、高位魔法を使い、しかも、魔法の発動形状操作の練習で、壁にぶち当たる、それは、歴史上最高と言われる最強の魔導士や、大賢者ですら、七歳の頃には、神童と呼ばれ、将来を期待されていたとしても、エドワード程の高度な修行など思いも付かなかっただろう。
それも、その筈、天上界で最も優れた魔法の制御や操作を誇るハクタイセイが、魔法の師匠なのだから、ましてやハクタイセイの性格で、中途半端を許す訳がない。
しかしエドワードも、壁にぶち当たったからと、出来ない事にダラダラ時間を掛けなかった。
まだ上位の魔法が使えない属性の魔法の練習や、拡散、集積以外の練習に時間をかけた、その結果、魔法の圧縮を覚えた。
集積と圧縮、よく似たモノに思われがちだが、その性質は、全く違う、集積とは、凸レンズを使い太陽の光を集めて物を燃やす様な事で、圧縮とは、膨張しようとするモノに対して真逆のベクトルを与え一点に押し込もうとする力である。
したがって、制御の難しいのは、後者であり、後者は、圧縮状態を一気に解放してやると、魔法が弾けて爆発を起こす。
これが、俗に言う爆裂魔法である、このように圧縮は、解放条件を変えたり他の事と組み合わせる事で、色んな効果を生み出す事が出来る。
エドワードは、圧縮を覚えた事によって、魔法の可能性を一気に押し広げたのである。
それは、多尾狐のマリーに対しても言える事で、マリーは、オリヴィアを伴いエドワードの魔法の修行をいつも見に来ている、そして、人知れず練習して、エドワードが使える魔法の操作は、全て使える様になっている、今回も、人知れず圧縮の練習をするのだろう。
エドワードが圧縮を覚えた翌日、マリーの尻尾がまた増えていた。
どうも、マリーは、気付いていなかった様で、教えると、大ハシャギしていた。
そして、その翌日の朝、目覚めたエドワードは、隣で寝ている全裸の少女に、驚いて飛び起きた。
今回も、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
さて今回の最後に現れた少女、誰かは、お気付きでしようが、次回は、彼女の回になる予定です。
と言うか、これから、頑張って出来れば今日中にUPしますね。




