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第三章(2)

 今回は、最後の方に少し、少し残酷な描写があります。

 苦手な方は、途中下車をおすすめあします。


 ルイによってエドワードに腕輪がはめられた日の昼前に、天界から、ハクタイセイに客が、舞い降りて来た。

 彼女は、赤龍紅姫(せきりゅうこうき)と呼ばれる、名前は、スカーレット・グリューエン。

 赤龍王の娘である、ちなみに、ハクタイセイが地上に来る前に、天界の仕事を丸投げした部下なのだが、天界で、問題が発生したのでハクタイセイに助けを求めに来たのだ。

 スカーレットは、地上を混乱させない様、人化してやって来た。


女皇様(ハクタイセイ)大変です。青と黄色の長が喧嘩を始めました。

 私では、事態を収束する事が出来ないので、申し訳ありませんが、一度、天界に戻って頂けないでしょうか?」(スカーレット以後ス)


「スカーレット、地上に居る時は、私のことは、ハクタイセイと呼びなさい。」(ハクタイセイ以後ハク)


「そんな、畏れ多い!」(ス)


「ここには、兄様も居ます、地上に皇は1柱でよい!」(ハク)


「そう言う事なら、分かりましたハクタイセイ様。」(ス)


「青と黄色が喧嘩したと言っていましたが、其れくらいなら、貴女の父上の赤龍王にたのめば、直ぐに収まるのではないですか?」(ハク)


「それが、誠に申し上げ難いのですが、今、手が離せない様なので。」(ス)


「それは、何か大切な御用がおるのでしょうか?」(ハク)


「いえ、それほどとは、思えないのですが…」(ス)


 段々、滑舌の悪くなるスカーレットに焦れてきたハクタイセイは、珍しく言葉を荒げて


「大した用事もなく、天界の争い事を、放置しておると言うのか!

 赤龍王は、一体何をしておる!」(ハク)


「実は、大変申し上げ難いのですが、フェニックス様が、何やら相談に来まして………」


 スカーレットは、ハクタイセイに禁断の名前を告げてしまうと。

 何時もの物静かで上品なハクタイセイは、そこに居なかった。


「あの唐揚げ野郎!人の留守中に乗り込んで来ただと!今度こそ、全ての羽をむしり取ってやる!」


 そう言って舞い上がると、ドラゴンの姿に戻り


「貴女はそこで待ってなさい!」


 スカーレットにそう言って、空間転移していった。

 よりによって、ハクタイセイにフェニックスの名前を告げてしまったスカーレットは、「御父様、御無事で。」と心の中で思うのであった。

 お昼時になり、ダルそうに足を引き摺って歩くエドワードを伴い、シェーラがハクタイセイを探しに来た、スカーレットが事情を話すと、納得して、スカーレットを昼食に誘った。

 スカーレットは申し訳なさそうに、断りを入れたのだが、脚に抱き付き、上目遣いに、「お姉ちゃん、一緒に行こう。」と脚お離さないエドワードに根負けして、一緒に食事をする事になった。

 この日は、討伐依頼を受けていない剣士達と大工3兄弟も一緒なので、食堂テントに皆集まっていた。

 剣士達と大工3兄弟は、橋の工事が半島の直ぐ近くまで進んでいるので、舟に乗り半島へと、食事に戻って来ていた。

 この頃は、工事の打ち合わせがない限り、大工3兄弟は、仕事が終われば、舟で戻って来て男性用のテントで暮らしていた。

 そして、剣士達も最初は、あまり交流がなかったのだが、一緒に橋梁工事をしているうちに、仲良くなり、今では、一緒に酒盛りをする仲になっていた。

 スカーレットを伴い、テントに入ると、男性陣は全員、作業着姿で、その中にゴールディの姿を見付けたスカーレットは、直ぐ様、ゴールディの前に跪いた。

 ゴールディはスカーレットを見下ろし、


「ここでは、誰にであろうと跪く必要は、ないぞ、そなたは、確か赤龍王の一人娘の赤龍紅姫であったな、赤龍王は、息災であるか?」(ゴールディ以後ゴ)


「はぁ、今朝までは、元気にしておりましたが、今はもう………」(ス)


「なんじゃ、歯切れの悪いのう、何か問題でもあるのか?」(ゴ)


「実は、先程、ハクタイセイ様に会った折りに、父上の所にフェニックス様が来ている、と申し上げたところ、急いで天界に向かわれましたので、下手をすれば…………」(ス)


「なる程のう、しかし、前から気になっておったのじゃが、ハクは、何故そうまでフェニックスを嫌ろうておるのじゃ?」(ゴ)


「それは、私の口からは、申し上げ事は、御許し下さい。」(ス)


「仕方ないのう、凄く気になる処ではあるのだが、そう言う事なら、儂からは、そなたには聞くまい。

 どれ、皆も待っておるから、食事にしょうぞ、その後で皆を紹介してやろう。」(ゴ)


 食事が終わり、各々の、自己紹介が済むと大工3兄弟と剣士達は舟に乗り仕事へとむかった。

 ゴールディは畑に向かいシーナとニッキーは、食後の片付けを始めた。

 シェーラは、エドワードを連れて森の奥に散歩を兼ねた山菜と薬草の採取に向かおうとすると、エドワードが、再びスカーレットの脚に抱き付き、


「お姉ちゃんも、一緒に行こう。」


 とせがむので、一緒に行く事になった。

 スカーレットは、エドワードを見ながら、


「この子は、この年で火の上位魔法を、使えるのに魔力が、全く無いのはどう言う訳ですか?」


 とシェーラに尋ねた。

 シェーラは、ルイが着けた腕輪の事を話し、神がエドワードに託した願いの事も教えた。


「神は人の運命をどう思っているのだろう?」(ス)


「今回の事は、元々、神様のミスを人間が、尻拭いする事で、地上に聖者を使わす、と言う事らしいのですが。」(シェーラ以後姉)


「神様も勝手なモノだな、この子は、既に魔法使いとしては、かなりのレベルにある。

 後、二年もすれば、大魔法使いの領域になるだろう、そして、後十年もすれば、歴代最強の大賢者と成るやも知れん。

 人の域に留めておきたいなら、早くに、この魔脱の腕輪を外してやることじゃ。」(ス)


「エドワードの修行と育成に関しては、ゴールディ様ハクタイセイ様とルイが決めた事を皆でやっているので、私は、あの方達に意見しようとは思いません。」(姉)


「そうか、女皇様、いや、ハクタイセイ様が、お決めになったのなら、私も口出しすまい、」(ス)


 3人は、適当に山菜や薬草を採取して帰ろうとした時、ブラウンボア(この世界の一般的な猪)に遭遇した。

 シェーラは、直ぐに短弓を構えながら、魔力を込めて、ブラウンボアの眉間を撃ち抜いた。


「今夜のご馳走ゲットだね。

 ゴールディ様を呼んで運んで貰いましょう。」(姉)


「貴女達は、いつもゴールディ様に、こんな物を運ばせているのか?」(ス)


「獲物が狩れたら直ぐに呼べと言われていますので。」(姉)


「この様な事で、あのお方の手を煩わせる必要はない、私が運んで行こう。」


 軽々とブラウンボアを持ち上げるスカーレットを見て


「お姉ちゃん、重くないの?」


 と聞いてくるエドワードを優しく見つめ、


「お姉ちゃん、力持ちだから、大丈夫だよ。」


 と答えて、シェーラの耳元で、「重力魔法だけどねっ!」 と種明かしをする。


「赤いお姉ちゃん、力持ち。」


 ニッコリ笑いながらスカーレットに話しかけるエドワードに微笑み返して、「今夜は、お肉だよー」と頭の上でブラウンボアを振り回す姿にエドワードとシェーラは、少し引き気味だった。


 テントに戻り、シェーラは、妹のシーナとブラウンボアの解体を始めると、暇になったエドワードは、スカーレットの手を引き、


「フェニックスの所に行こう。」


 と家の方へと、向かって行く、途中、畑の横を通り、家畜のいる柵まで来るとゴールディが山羊の世話をしていた。

 ゴールディの姿を見て言葉を失ったスカーレットにエドワードが


「山羊さん名前まだないから、お姉ちゃん名前付けて。」


 とエドワードの声を聞いたゴールディが、スカーレットに気付き、笑いながら、


「どうじゃ、山羊も鶏も可愛かろう!」


どや顔で言うと、エドワードが柵の中に入り、1羽の鶏を抱き抱えて、


「お姉ちゃん、フェニックスだよ。もうすぐハクのお姉ちゃんが、唐揚げにしてくれるの。」


 と、満面の笑みで教えてくれた。

 フェニックスの名前を聞いたスカーレットとゴールディは、引き吊った笑顔でエドワードを見た。

 ゴールディは、神妙な面持ちで、フェニックスと名付けられた鶏の悲劇をスカーレットに教え、最後に現在のフェニックスが十八代目のフェニックスであると教えた。

 夕食の時間、ハクタイセイは、戻って来なかったが、大工3兄弟と剣士達は戻って来ると、橋が明日で繋がると教えてくれた。

 橋自体は、明日のうちに完全に繋げてしまい、手摺をほんの少し残して、マリウスの子供の誕生に合わせて手摺りを取り付けて、橋全ての完成をさせるので、明日の仕事が終われば、マリウスの子供が生まれるまで作業が休みになるらしい。

 作業員、皆が、マリウスの子供より先に出来て良かったと喜んでいるらしい。

 その夜は、大工3兄弟と剣士達が皆を誘っての飲み会になった。

 皆で、テントの中で騒いでいると、いつもは、家の近くにいる狐がテントの中にやって来て、エドワードの周りを回っていた、狐の様子がおかしい事に気付いたシェーラが、エドワードを抱き抱えると、狐の中から、白い靄の様な物が浮き上がり、人の形になった。


「皆さ~ん、久しぶりに、姿を見せま~す。」


 皆の緊張をよそに、現れたのはレジーナだった。


「暫く見ないと思ったら、どうしたの?

 狐の中から出てきて、」(シーナ以後妹)


「実は、この狐さん、私が眠ってる樹の前で倒れてたの。

 で、気になって様子を見てたら、この子の身体の中に吸い込まれて、私の力を、ゴッソリ奪われて、この子の中でずっと、うとうとしてて、さっきやっと目が醒めたの。」(レジーナ以後レ)


「なるほど、多分、この多尾狐は、魔力、生命力、等が、枯渇していたので、世界樹の神気を浴びて生命力を繋ごうとやって来たのであろう。

 そこに思念体のレジーナが、やって来たので力を取り込む為に、お主を強制的に憑依させたのであろう。」(ゴ)


「狐さんに、そんな事出来るんですか?」(レ)


「この狐は、多尾狐と言う、一種の神獣たから、魔法も使えるぞ。

 それに、ほれ、お主の馬鹿げた力は、神の加護であろう、だから、お主の思念体を通して本体の方から力を貰っていたのであろう。」(ゴ)


「ふぅ~ぅん、何か良く分からないけど、私のお陰でこの狐さん、元気になったんだね。

 良かったね、狐さん!」(レ)


「ありがとう、お嬢ちゃん。」(多尾狐以後狐)


「「「「「「ん!」」」」」」


「狐さんが、喋ったの?お利口さんだね。」


 その場の男性陣が、驚く中、シェーラに抱えられたエドワードが、嬉しそうに言うと、


「おお!坊やの近くは、気持ち良い空気に満ちていたよ、お陰で早く回復出来た。

 世界樹の下で身体を横たえているだけなら、回復に10年や20年掛かっていたかも知れないが、2人のお陰で早く回復出来たよ。」(狐)


「多尾狐よ、お主は、どうして、弱っておったのじゃ?」(ゴ)


「おお、貴方は、神龍か、我は、この森の北の山裾の森の龍脈(地脈の事)に繋がっていたのだ。

 その頃は、我の尻尾も七つ有ったのだ、だがある時、龍脈が途絶えてしまって、まぁ、どこかの地殻が動き少し経てばまた元に戻ると思っていたのだ。

 過去にそんな事が幾度もあったからな。

 ところが、我の尻尾が三本になっても龍脈が元に戻らないので、原因を調べると、ダンジョンが出来ておってダンジョンのせいで、龍脈が寸断されていたのだ。

 そして、我は、ダンジョンに潜りダンジョンコアを喰ろうてやろうと粋込んで行ったのだが、恥ずかしながら、返り討ちに会い、命からがらここまで逃げてきたのだ。」(狐)


「それでお主は、これからどうするつもりじゃ?」(ゴ)


「神龍殿さえ良ければ、もう暫く、この場にて、英気を養いたいのだが、宜しいかな?」(狐)


「狐さん、ずっと居てもいいんだよ。」


 エドワードが返事をした。


「エドワードが、良いと言うなら、ここでは誰も反対は出来んなぁ。

 と言う訳じゃいつまでも、ここに居るが良い。」


 ゴールディがエドワードに続けて言う。


 「それは、誠にありがたい、お願い序でにもう一つ、我はまだ名を持たぬので、名前を付けてくれぬか?」(狐)


「それなら、皆で良い名前を考えよう、良い名前が決まれば、儂の口から授けよう。」(ゴ)


「それは、ありがたい。」(狐)


「まぁ、直ぐには、決められんで、暫く待っておるが良い何日かすれば、天界より儂の妹も帰って来ようそれから、皆で考えるからな!」


「分かりました。

 気長に待ちます故、存分に考えて、良い名前を付けて下さい。」


 ゴールディは、ハクタイセイが、戻ったら皆で名前を考えるので、各々良い名前を考えておくように伝えてその日は、お開きになった。


 翌朝、皆で朝食を摂っていると、白い羽を両手に携えて、ハクタイセイが、空間転移で戻って来た。

 戻ってくるなり、妙に高いテンションで、開口一番。


「皆さん、おはようございます。

 昨日は、野暮用で少し天界に戻っておりましたが、無事に用事も終わり戻って来る事が出来ました。

 それから、スカーレット、貴女は、私が上に戻るまで地上に残りなさい。上の仕事は、あほ(青)に丸投げしてきたので、貴女は、暫く自由ですので、私とここに暮らすのです。

 それから、皆さん、フェニックスの羽、沢山貰って来た(むしり取った)ので配りますね。」


 そう言って皆に羽を配っていると、剣士のトミーが、


「ハクタイセイ様、この羽、根元の方が何か焦げているのですが。」


「ああ、たまにむしり取った時に、肉が少しくっついてきて、少し燃えちゃったのがあるの、」


「今、何か聞きたくなかった言葉が聞こえたのですが、私の父上とフェニックス様は、どうなったのでしょうか?」(ス)


 ハクタイセイは、笑顔でスカーレットを見つめたのだか、こめかみに怒筋が立っていた。


「いいわ、教えて上げましよう。

 まず昨日、上に行って、青と黄色の喧嘩止めに行ったの、止めに入っても収拾が着かなかったから、二匹とも、レインボーブレス(七属性のブレス)喰らわしてやったわ。

 殺さない程度にね。

 黄色は、意識飛ばして虫の息で、青は、辛うじて意識があったから、貴女の仕事押し付けて来たの。

 そんで、あんたん家行ったの、先ず逃げられない様に、重力魔法で家ごと押さえ付けて(フェニックス)絞めに行ったら、あんたのパパ邪魔するからアブソリュートプリズン(氷の牢獄)で凍らして、鶏の羽をむしってたら、少しやり過ぎちゃって燃えだしたのよ、

そしたら、火の中から復活して新しい鶏が出て来たから、そいつの羽も、むしり取って、脚の骨へし折って帰って来たの。

 何かスッキリしたわ。

 それから、あんたのパパは、チャンと助けてあるから心配しないでいいわよ、今頃は、多分、病院で黄色と仲良くベッドの上にいるわ。

 アタシ全然寝てないから、少し眠ってくるわね。」


そう言ってフラフラとテントから出て行った。


 残された者達は、皆青ざめていた。

 シーナは、ヤッパ半端ネェー。

 ニッキーは、流石御師匠様です。

 シェーラは、どんだけ強いのよー。

 大工3兄弟と剣士達、………………………

 ルイは、途中で意識をとばしていた、

 ゴールディは、フェニックス一体ハクに何すれば、そこまで嫌われるんた?

 やっぱり、ハクを怒らせてはいかん。

 と考えていた、スカーレットは、ぽつりと


「御父様。」とだけ呟いた。

 今回も、最後まで読んで頂きまして、ありがとうございます。

 残酷シーンはあまり入れたくないのですが、ハクタイセイのエピソードは、結構乗りで考えていたら、今回の様な事になりました。

 残酷シーンが苦手な方申し訳ありませんでした。

 次回の話しは、橋の竣工式とマリウスの子供の話しで、エドワードの3歳編の終わりになります。

 その後は、5歳に飛ぶ予定です。


それから、私事ですが、狐さんの名前まだ考えてませんでした。

 ああ、良い名前画うかばない。


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