第二章(8)
今回で戴冠式が終わります!
最後にEX1で登場した狐も少しですがあらわれます。
誤字脱字、気を付けてはいますが、多分あります。
見付けた方、教えて頂ければ幸いです。
戴冠式(2)
マリウスの戴冠式は、少しの時間遅れで始まったものの、滞りなく式典は、進んで行った。
やがて、式も終わりに近付いた頃控室の中では、ゴールディが、悪戯っぽく
「ハクよ、儂等も少し祝福してやろうではないか。」
と言ってきた、怪訝な表情をしながら、
「兄様、今度は、何を思い付いたのですか?」
ゴールディは、ハクタイセイに何やら、耳打ちすると
「本気で私に、そんな事させるつもりですか?」
険しい表情でハクタイセイが尋ねると
「当たり前ではないか新たに王となるマリウスと国民の為に一肌脱いでくれ。」
「仕方ないですね、今回全ての件で兄様には、10個ぐらいの貸しですからね。」
そう言うとハクタイセイは、背中から純白の翼を出し、純白のドレスに身を包んだエンジェルフォームになり忽然と姿を消した。
戴冠式のの式場では、マリウスの宣誓が終わりを迎え参列者の拍手が起こり始めた時
マリウスの頭上に淡い光が現れ徐々に広がる光の中から、純白のドレスに身を包み3対6枚の七色に輝く純白の翼の女神が現れ、
「マリウスよ、マークが築き上げた礎を壊す事なく、更に高く積み上げ、この国の全ての民が均しく平和に暮らせる国を作り上げて下さい。
私達、神々も、空の上から、そう願っています。」
そう言ってマリウスの手に白い羽を渡すと、光が拡散する様に消えていった。
場内は、水を打った様に静かだったが、マリウスが女神に手渡された白い羽を民衆に見せると、場内は、割れんばかりの拍手の渦に包まれて戴冠式の式典は、無事に終了した。
控室では、ハクタイセイが「あー恥ずかしかった。」と言いながら、ゴールディの鳩尾辺りを殴っていた。
「ナイスだった。」
と言い残して崩れ落ちる様に眠りに就いたゴールディを見たその場にいた者達は、ハクタイセイ様だけは、怒らしてはいけない。
そう、固く心に誓うのだった。
元国王マークの計らいで、晩餐会から、出席する事になった一行は、マリウスのパレードの後ろに続く馬車に乗り込み、大聖堂から王城へと向かっていた。
式典が始まってからエドワードは、アレックス夫婦に預けられ、一時の親子水入らずの時間を過ごした。
夫婦は、一足先に産まれた姉のセリーヌとエドワードを並べて身体の大きさの違いなど比較して瞳をうるうるさせて、大事に育てて貰っているんだな、と安心しては、抱き抱え、頬擦りしたりと、まるで、お人形の様に扱われていたけど、愚ずる事もなく始終にこやかにしていた。
晩餐会では、豪華な料理に、剣士達は、大喜びで、エルフ姉妹は、シェフを呼び出し、あれやこれやと聞き出した挙げ句、レシピ帳まで持って来させていた。
このレシピ帳が後にエドワードの心を掴む事になるのは、ずっと後の事。
マリウスは、食事も摂らずハクタイセイに見とれていたが、ゴールディが、話し掛けて、やっと正気に戻った。ルイと大工3兄弟は、意外にも、落ち着いていて、完璧なテーブルマナーを披露して皆を驚かせていた。
やがて、晩餐会も終わり、ラウンジへと、移動し、お酒の時間となり、ゴールディが
「マークよ儂の考えた、演出どうであった?」(ゴ)
「流石に、ビックリしましたが、国民は、大喜びでした。
流石は、ゴールディ様。」(マーク)
「私は、恥ずかしかったです(怒)」(ハク)
「まぁそう言うなよハク、国民が未来に対して希望を持って暮らしていけると、心から喜んでいたのだから。」(ゴ)
「それは、そうですが、私ではなく兄様が出れば良かったのに。」(ハク)
「あの~ハクタイセイ様、式典の時に頂いたこの羽は、ハクタイセイ様の物でしようか?」(マリウス)
「ああその羽は、フェニックスからむしり取った羽です。
もっていると多分、病気になりにくいとか、疲れ難くなるとか、体調面で御利益があるから、大切にするといいですよ。」(ハク)
何か、こいつ、しれっとフェニックスからむしり取ったとか、言ってたけど……
ゴールディは、自分の妹分が、どれ程凶暴なんだと思い、これからは、あまり怒らせてはいけない、と今頃、思っていた。
やがて、話しは、エドワードの話題になり、昨日、立ち上がったと言うと、アレックスが、驚いて
「何故そんなに早く、立てるのですか?」
と聞いてきた
「エドワードにも、フェニックスの羽持たせてますからね。
そうだ、フェニックスの羽沢山あるから、欲しい方に差し上げますよ。
先ずアレックスには、家族の分で3枚ね。」
等とハクタイセイは、笑顔で希望者にフェニックスの羽を配っている。
ゴールディは、心の中で、フェニックスお前ハクに何したんだよ!どんだけ羽むしられてるんだよ。
と少しフェニックスが可哀想になった。
「シェーラ、オムツです!」
ハクタイセイの声が響くとエルフの姉妹はエドワードの方へと走り、オムツの交換を済ませ、エドワードを抱いて戻って来た。
「起きちゃいましたねエドワード」(シェーラ以後姉)
「そう言えば、エドワードって全然泣いたり愚ずったりしませんよね。」
アレックスが不思議そうに聞いてくる。
「それは、私がいつも念話で繋がっているから、常に状況が把握出来ているのです。
オムツが汚れた時も、お腹が空いた時、起きた時眠った時、24時間情報が入って来ますから、愚ずりそうな時は、私が念話で子守り唄を聴かせたり、アレックスとマーガレットの大切な子供ですからね。」(ハク)
「そうですか、そこまで大切に育てて貰っているんですね。」
アレックスが、しんみり話すと
「でも、それは、赤ちゃんのうちだけです。
物心が着く頃からは、自然の中で身体と心と魔力の制御を覚えて貰うための修行が始まります。
まぁ危険な修行では、ないのですけど、普通の子供とは、少し違う生活になるでしょうね。」(ハク)
「修行と言っても、子供達が森に入り昆虫の捕まえ方を覚えたり、蜂や毛虫に刺されると痛い事を覚える程度の事、それから、成人する頃には、騎士に成れる位の修行に成るくらいだから、普通の貴族の子供と大して変わらない位じゃ、ただ見る教科書が、少し違うだけの事じゃ。」(ゴ)
「それならば、安心です。」(アレックス)
「納得して頂けたのなら、安心して、こちらに任せて頂きます。
私達はこの後、宿に戻り、明日の朝、世界樹の森へ戻ります。
それまで、エドワードは、アレックス夫妻の元で、一緒に過ごして下さい。
私達が帰る時に迎えに来ます。」(ハク)
「イヤイヤ、今夜は皆様泊まっていって下さい。
それに、夜は、まだまだこれからです。」(マーク)
宴会は、この後ますます盛り上がり、気が付けばいつの間にか、剣士の男達3人とマーク、マリウスの親子とが仲良く酒を酌み交わしていた、最初、一番ビビっていたのに、トミーとマリウスが肩を組んで盛り上がっているのを見て、殆ど酒を飲んでいないニッキーが青ざめていたり。
エルフの姉妹と仲良く子育て談義をしていたマーガレットが、エルフの姉妹にハクタイセイの化粧の腕前を聞かされ、ハクタイセイにメークをせがみ、鏡を見た瞬間、ハクタイセイの前に膝間付き、先生!師匠!と連呼して、無理矢理弟子入りしている姿にアレックスか涙を流しながら大笑いしていた、アレックスは、酒が入ると良く笑う事が判ったが、とりあえず、よく涙を流す奴だった。
大工3兄弟は、テーブルマナーに引き続き、酒の席のマナーも素晴らしかった、大工をしている位だから、もっと豪快に酒を呑むと思っていたが、一番紳士的な飲み方で、好感が持てた。
そして、ゴールディは、いつの間にかエドワードを膝に乗せて1人楽しそうに周りを見回しなから、手酌で酒を呑みながら、
「エドワードよ、ここに居る全てが、お前の家族じゃ、そのうちお前も皆と酒を酌み交わす日が来るじゃろう、早くそんな日が来ると良いな。」
と優しくエドワードの頭を撫でていた。
その頃、昨夜の狐は、世界樹の森の食堂テントの前で、昨夜、ご馳走を与えてくれた人を待っていた。
今回も最後まで読んで頂きまして、ありがとうございます。
狐さんが最後に出て来ましたが、次回は、最初から登場します。
ちなみに次回の途中で、ポンポンと1年、2年とワープしながら、エドワードの成長を追っていく予定ですが、あくまで予定は予定、予定通り行かなかった時は、御免なさい。




