第二章(3)
今回で、世界樹の森の、人化した龍、エルフ、盗賊改め金龍とルイの剣術の弟子達等の人間のメインキャストの登場と紹介が終わります。
ニッキーの受難
ハクタイセイに促されて、エルフの里の者の自己紹介が終わり、ハクタイセイが、何か言い掛けた時、それよりも早く、エルフ姉妹の姉シェーラが、
「ゴールディ様の昔の話しも聞いてみたいです。」
不意に放たれた言葉に、皆は、期待を込めた視線をゴールディに向けると、
「そんなに期待されては、仕方がない。
じゃが、儂の話しは、簡単で面白くもないぞ。」
と言いながら、周りを見回しながら、何時もより軽い口調で話し始めた。
「まぁ、儂もハクと同じように一柱の若く悪戯好きの神じゃった、その当時、地上には、悪しきドラゴンが多く居て人々の暮らしを、脅かしていたのだ。
見るに見かねた儂は、ただの悪戯好きではないところを見せようと、単身、地上に降りて、悪しきドラゴンの中でも最強と黙される12体のドラゴンを殲滅して、悪しきドラゴンが蔓延らない様に、自らドラゴン達の皇となったのだ。」
「兄様、見事な位、簡単にはしょりましたね。」
「まぁ、儂のカビ臭い話しなど、真面目に聞いてもあまり、面白いものでもないしな。
それよりも、若くて可愛い女の子の話しの方が善いだろう。
レジーナよそなたも皆に自己紹介してはどうかな?」
エドワードを抱き抱えたハクタイセイの後ろから姿を現したレジーナを見て。
「レジーナ来てたんだ。」
エルフ姉妹が驚いて声を上げると
「はい!今日は大工さん達、白目剥いてないんですね。」
年頃の女の子らしく、屈託のない笑顔でレジーナが言うと、ルイも笑いながら、
「レジーナさん、この3兄弟は、幽霊が怖くて、君を見る度、気絶していたんだ、悪く思わないでやってくれ。」
「いいですよ、気にしてませんから。
それよりも、大工さん達の、白目を剥いた面白い顔が見れないのが少し残念です。」
と笑うレジーナと苦虫を噛み潰したような、3兄弟を見てクスクス笑うエルフの姉妹を見ながら、極めて冷静にルイが、レジーナに自己紹介を促すと、少し笑いを堪えながら。
「私は、レジーナ・フォルテス、300年位前にフォルテス騎士爵家の三女として生まれて、色々あって、今、私の身体は、この湖の畔の大きな樹の中で眠りに就いています。
今は、精神だけが思念体として、この辺りでブラブラ出来るので、フレンドリーで、無害な地縛霊とでも思って仲良くして頂けたら良いなと思っています。
皆さん仲良くして下さいね。」
レジーナの緩い自己紹介が終わると、ハクタイセイが、一歩前に出て
「最後に、この子はエドワード。
レジーナの封印を解き彼女を救う為に天上の神によって選定された、未来の聖者です。
皆さんも、出来る限りでいいので、この子の成長と行く末を見守っていただけるとうれしいです。」
「頑張って私好みの男の子にそだてるんだから。」
笑いながら、レジーナが言えば、ニッキーが
「おいらの可愛い弟分にしたい。」
と、言ったら、ハクタイセイが笑顔で
「ニッキー、貴女は、もう少し女性らしい仕草、言葉使いと立ち振舞いを覚えた方がいいようですね。
先ずは、今夜から、女性用のテントに寝泊まりして下さい、私が貴方に、女性らしさを徹底的に指導してあげましょう。
兄様にルイ、良いですね。」
「ゴールディ様ハクタイセイ様が凄い笑顔してます。」
と、ルイが言えば
「ああなっては、儂にも止められん。」
ゴールディの台詞を聞いたニッキーが、
「剣術の修行の他に、そんな事まで、おいらやりたくないよ。」
と言えばハクタイセイは、微笑みながら、こめかみに青筋、俗に言う怒筋を浮かびあがらせ、丁寧な言葉使いで、
「ニッキーさん、貴女は、先ず自分の事を、おいらと呼称するのを止める事から始めていきましょうね。」
と、凄みを効かせながら、優しくニッキーに言い聞かせた。
ニッキーの受難は、始まったばかりである。
今回も、ここまで詠んでいただきまして、ありがとうございます。
この後は、世界樹の森の、日常や現在の登場人物の修行風景等の後、何年か時が過ぎて行く予定でさが、あくまで予定です。
プロローグから第一章丸ごとと、二章の途中までかけた長い前振りでしたが、これから、ゆっくり物語は進んで行く予定です。
宜しければ、また読んで下さいね。




