第二章(2)
第二章になってから、人化中の金龍は、ゴールディ、と表記します。
白帝聖
「兄様にルイ、ニッキーが、女の子って分からなかったのですか?」(ハクタイセイ以後ハク)
「いや、確かに1人若くて可愛らしいのがいるとは思っていたが、4人組の盗賊だから、年端のいかない使い走りと思っていた。」(ゴールディ以後ゴ)
「ルイ貴方は、紹介を受けていたのではありませんか?」(ハク)
「いえ、私は、名前しか聞いておりませんでしたので……」(ルイ以後ル)
「そう言うハクよ、聞くところによると、御主もフォルトゥナに男と間違えられていたのではないか?」(ゴ)
「いえ、あれは私が、少々、男っぽい格好をしていたので………」
歯切れ悪く口ごもるハクタイセイを見ながら
「なんと、恐ろしい間違えを、あの女神よく無事に生きていますね。」(ル)
「あの時ハクは、フォルトゥナの持っていた、バッカスの神酒に目が眩んでナアナアになったのじゃ。」(ゴ)
「私は、兄様の様な年中酔っ払いの飲んべえ女じゃありませんよ。」(ハク)
ハクタイセイは頬を膨らませながら、ゴールディに反論する。
「儂をそこらの、酔っ払いと一緒にするでない。」
(ゴ)
「しかし、天が銀色に染まらなくて良かったですね。」(ル)
「「!」」(ゴ)(ハク)
ゴールディとハクタイセイは、ルイの言葉に驚きを隠せなかった。
「何故それを知っているのですか?」(ハク)
「実は、少し前まで、東方のサムライと言う騎士の住まう島国を旅して参りました。
目的は、サムライの剣術とサムライの使うカタナと言う剣の製法を知るためです。
そこで月山の鍛冶師に師事しカタナの製法を学び、神明流と言う流派の剣術と体術を修めてきました。」(ル)
「そうでしたか。
月山と神明流ですか、納得しました。
そこで、私の事を知ったのですね。
ルイ、貴方が、どこまで知ってしまってのかは知りませんが、隠す程の事ではありませんから、この際、皆にも昔話に付き合って貰いましょう。」(ハク)
「ハクよ、善いのか?」(ゴ)
心配そうに尋ねるゴールディに笑顔で応えハクタイセイは、語りだした。
「私は、元々、東方の島国で、地上に住まう最古の神の一番下の娘として、白帝聖と言う名前を生まれた時に授かりました。
意味は、何物にも染まらず、聖なる者の頂きに鎮座する一柱になる様に願いを込めて与えられたと聞いています。
その国は、数多の神が地上で暮らしており、齢を経た物などが精霊化しやすい風土でした。
また、精霊化した物の中にも、更に齢を経て神格を得る物まで現れたりしましたが、大体の物は、神格を得て御神体として大切に祀られる事が多く、その多くは、心地良く悠久の時を祀られた処で永い眠りの様な微睡みの中で過ごす事になるのですが。
ある時、古い岩屋に奉じられていた月山の古い戦刀が、人知れず神格を得て、神明流の若い侍に憑いてしまったのです。
神明流では、剣術、槍術、弓術、杖術、馬術、格闘術など、戦う為の有りとあらゆる技を研鑽する流派で、神格を得た刀に取り憑かれた、若い侍は、数多の人の命を奪い、人の力では、解決出来ないと悟った神達は、軍神に事を当たらせたのです。
軍神も、若い侍と刀を一度は退けたのですが、討伐までには至らず、鳴りを潜めた様に思われた若い侍と刀は、密かに多くの命を取り込み、更に力を付けて、神々に挑んで来たのです。
若い侍は、鬼神と化し、最初に軍神を滅ぼし、次に、戦女神の血を啜った時には、他の神々では、到底、力が及ばず千柱近くいた神々も、僅か百柱足らずまで数を減らしました。
そして、神々を滅ぼし、更に力を付けた鬼神と戦刀に、事の重さに心を傷めた、私の父なる最古の神は、私に全ての力を託し光の中にその存在を無と同化させたのです。
父なる神が、私に与えた権能は、神が人に与えた戦の技、そう神明流の全ての技と、あらゆる属性の力の顕現、そして神すら輪廻の輪から消滅させる事ができる聖銀の耀きなのです。
そして、私は、鬼神と化した若い侍と刀に対して、父が鍛え上げた神刀を携えて、戦いに挑み辛うじて勝利しましたが、
鬼神と化した物や、数多の人と神の血を啜った刀など、輪廻の輪に還してしまえば、次に生まれるとすれば、悪鬼や邪妖精にしかならないと思い、聖銀の耀きを以て輪廻の輪から無に還したのです。
ただ、聖銀の耀きを使う事によって、聖銀の鱗を持つ龍に成ってしまったのです。
それから、永い時を経て、銀色の鱗が白く染まった頃、もう一度、神格得て神の姿に戻れる様に成ったのです。
長々と、私の古い話しを聞いてくれて、ありがとうね。
皆さん、退屈じゃなかった?」
ハクタイセイは、微笑みを絶やさず最後まで話し終えると最後に
「よく考えたら、まだ、全員自己紹介 終わってないじゃないの。
後は、エルフの里の者達ね。」
そう言いながら、シェーラが抱き抱えていたエドワードをそっと抱き上げ
シェーラあんたからよ、と言わんばかりに、シェーラの背中をポンと叩き、エドワードをあやしていた。
今回も、読んでいただき、ありがとうございます。