表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/102

第1章 目覚め

今回、エドワードが、やっと目覚めますが、目覚めるだけです。第一章は、今回のエドワードの目覚めで終わりになります。

       エドワード目覚める

 大工3兄弟達が、テーブルと椅子や舟等を作り始めた頃。

 王都近郊の農村で金龍は、家畜の購入の契約を済ませていた。

 エドワードが目覚める前に、乳の出る家畜をと思い、農村を周り、家畜を飼っている農家一軒一軒回り地道に交渉を続け、村外れの、若い夫婦から、雄2匹、雌2匹、合わせて4匹の山羊の購入の話しを纏めた後、相場よりも、かなり高い金額での購入となり、喜んだ農家の夫婦から、大量の野菜を土産に貰い、購入した山羊のうち、2頭の背中に土産の野菜を括り着けて、湖を目指しのんびりと歩を進めた。


 やがて、太陽が沈み始める頃、湖の畔の林道に差し掛かった時、茂みの中から、抜き身の剣を手に持った4人組の男達か、人化した金龍と4匹の山羊達の行く手を阻む様 前に並んだ。

 人化した金龍は、男達をみるなり。


「お前達は、素人か?

 見たところ、隠れてる者もおらず、4人だけで、盗賊紛いの事をするなら、もっと頭を使わなければ仕事にならんぞ!」(人化した金龍以下ゴ)


 と、いきなり怒鳴りつげた。

 4人は、いきなりの事に面食らったが、リーダー格の男が剣を振り上げ威嚇しながら。


「うるせい!こちとら、これで飯食ってるんだ!

 命が欲しけりゃ、有り金と、その山羊を置いて、とっと失せやかれ!」(盗賊リーダー以下リ)


「おい、素人!お前ら全員で、儂の前に出てきただろ、もし、儂と羊達が、お前らより足が速ければ、回れ右して、全力で逃げると、お前達は、飯にあり付けない事になる。

 解るか? だから、4人で組むなら、前から1人飛び出し、足を止めさせたら、道の両側から1人づつ、そして、後ろから逃げ道を塞ぐ様に現れて、前後左右を塞ぎ退路を断つのじゃ!

 解ったか! 解ったなら返事をせい!」(ゴ)


「「「「へい!分かりやした!」」」」


 何故か素直な盗賊に、御満悦の金龍は、4人に小金貨5枚を渡し


「精進せよ!」


 と、言い残し、その場を去ろうとする


「あんた、いや、貴方様は、きっと名の有る盗賊に違いない、あっしらの頭になって下さい。」(リ)


「いやいやいや、儂は、盗賊ではない。」


 金龍がリーダーの申し出を断ると


「なら、あっしらが一端の盗賊になれる様に、修行着けちゃぁもらえませんか?」(リ)


 金龍は、少し悩んで


「修行と言うなら、剣の修行ぐらいなら着けてもよいぞ、今日は、遅いので渡した金で宿にでも泊まって、明日の朝にでも、この湖の森の一際大きな樹の元まで来るがよい。」


 金龍は、そう言い残して、真っ暗になった林道を世界樹の方へと去って行った。

 残された4人の盗賊達は、拳を強く握り締め


「俺達の未来は明るい。」


 およそ盗賊らしからぬ台詞を吐きながら、力強い足取りで街へと向かった。




 翌朝、金龍は、世界樹の根本で目を覚ました。

 回りには、4匹の山羊達が、金龍を取り囲む様に眠っているのが見え、山羊達を、起こさぬ様にエルフ達のテントへと向かった。

 真ん中のテントでは、エルフの姉妹、シェーラとシーナが、朝食の支度をしていたので、昨日、農家の夫婦から、持たされた土産の野菜を姉妹に渡し、山羊を4匹、購入した事を告げると、その足で、男性用テントで、

 先ずは、大工の3兄弟には、山羊を調達して来たので、暇を見付けて、家畜用の柵を頼むと、既に、今日の仕事が無いらしく、快く引き受けてくれた。

 続いてハイエルフのルイに、「話しが有る。」

 と、真ん中のテントで2人は話しをはじめた。

 ルイから、昨日の様子を説明聞き終わった頃に、朝食の出来たと聞かされ、2人で朝食を食べながら、山羊を購入した経緯などを話し、朝食の後、剣の練習に付き合ってくれと頼み快諾された。




 2人が剣を手に世界樹の元に来た時には、昨夜の盗賊4人組は既に来ており、山羊達を撫でながら待っていた。

 リーダー格の男が、金龍を見付けると、皆一斉に。


「「「「お頭、おはようございます!」」」」


 と、元気な挨拶をした。


 ルイは、思わず金龍に 「お頭?」 と、尋ねてみた。


「そんな目で見るな。

 これには、退っ引きならねぇ訳がある。」


 金龍が額に怪しい汗を流しながら弁解すると。


「ゴールディ様、その退っ引きならねぇ訳ってやつは、後でゆっくり教えて貰いますからね。

 いつの間に、盗賊のお頭になったのかも。」(ルイ以下ル)


 「お頭の お名前は、ゴールディと仰るのですか?」(リ)


「あぁ、ゴールディと、呼んでいいから、そのお頭と呼ぶのはやめてくれないか、お願いだから。」


 額の汗を拭いながら金龍は、盗賊達に、呼び方を代える様に頼んだ。

 そして、盗賊達をその場に座らせ、先ずは少し質問が有ると


「先ずは、修行の前に少し質問があるのだが、よいか?」(ゴ)


「はい、おか……いや、ゴールディ様、何なりと」(リ)


「お前達は、まだ若く、なかなか素直な性根をしているのに、なぜ、盗賊の真似事をしているのだ?」(ゴ)


「いや~俺達、最初は、6人で同じ辺境の閑村から出てきて、冒険者になろうって、頑張ってたんスよ。

 最初のうちは、なかなか順調だったんスけど、ある時、依頼で運んでた荷を盗賊に奪われ、仲間の中でも、一番強い奴と、その時、俺達のリーダーしてた2人が盗賊に殺され、

 逃げ帰って来た俺達は、違約金の他に、奪われた荷の代金まで請求されて、その金が払えないから、いっそのこと、俺達も盗賊やって、高飛びする金を貯めようって………」


 リーダー格の男は、そこまで話すと、声を詰まらせた。


「よし、理由は解った、儂に任せろ。

 お前達が、もう一度、真っ当に冒険者として、大成出来る様に、儂達が鍛え直してやる。」(ゴ)


「儂達?」


 ルイは、怪訝な表情で金龍を睨むが、金龍は、目を合わせようとしない。


「しかし、冒険者やるにしても、俺達、ギルドに顔出したら、莫大な金を請求されるから、冒険者には……」


「それを、踏まえた上で任せておけ、と、言っておるのじゃ、よいな。」(ゴ)


「なるほど、ゴールディ様は、この4人の若者を、立ち直らせようと。」(ル)


「そう言う訳で、先ずは、ルイよ、この4人に基本の素振りの仕方を教えて、素振りを千回程やらせてくれ。

 最後まで、基本の形が崩れない様にしっかりと、指導するのじゃ。

 儂は、修行の邪魔になりそうなので、山羊を、シェーラとシーナに預けたついでに、こやつ等の分の飯を頼んでから戻ってくるから。」(ゴ)


「ハメられた!」(ル)


 ルイは、身体の力が抜けるのを覚えたが、気を取り直し、盗賊達に、素振りの形を教えはじめた。


 先ずは最初に言われた素振り千回を終らせた時、以外にも、盗賊達は、肩で息をしていたものの、疲れが見え始めた時に、楽をしようと、形を崩す者がいなかった事に驚いた。

 これは、もしかすると、と思い4人に休憩を取らせて、男性用テントに戻り、素振り用に、剣よりも重量のある、鉄の棒を4本持って戻って来た。


「次は、この鉄の棒で二百回、先程と同じ打ち下ろしの形をやって貰う。

 始めっ!」


 勢いよく、号令をかける、今回も最後まで形を崩す者が、いなかった。


 何故かルイは、最初の気持ちとは、裏腹に盗賊達に、剣を教える事が楽しく成りつつあった。


そんな時、テントの方からよい香りが漂ってきたので、4人を連れてテントに昼食を摂りに向かった。


4人に昼食を摂らせる間に、シェーラに金龍の事を尋ねると、山羊達を連れて、大工3兄弟の所に向かったらしい。


 シーナに、 「師範役、楽しそうね。」 と言われて、我に返り


「何でこうなった?」


 と自問しながら、頭を抱えた。


 そして、午後もルイは、盗賊達の師範として、素振りをさせるのだった。



 夕方になり、盗賊達の修行が終わる頃、金龍が

ルイの前に顔を出して、


「お前達の為にテントを用意したので、今夜から、ここに住んで修行を続けるがいい。

 それから、ちゃんと飯は、三食食わせるから、心配しなくてよいぞ。」


 と言いながら、ルイと4人を連れて、新しく用意されたテントへと向かって行った。

 そして、テントの中には、既に夕食と酒が用意されていたので、その夜は宴会となったのは、言うまでもない。



 翌朝、シーナが、金龍達が泊まったテントに駆け込み


「ゴールディ様、エドワードが目覚めました。」


 と、報告しに来た。

 金龍と、ルイは、急いで、エドワードの居る、女性用の、テントへとかけこんだ。

 そこには、大人しく、シェーラの胸に抱かれて、眼を開いたエドワードがこちらを向いていた。


 金龍とルイが、エドワードを見詰め、眼を見開いた刹那、シェーラの後に爆発的な閃光を発し、三対六枚の純白の翼を背にしたエンジェルフォームのハクタイセイが現れ。


「エドワードの目覚めを感じたので、急いで転移して来ました。」


「「め、目がぁぁ………」」(ゴ)(ル)


 あまりの眩しさに、金龍とルイが、のたうち回っているのを見て。


「兄様にルイ、何で地べたに転がっているのですか?」


 ハクタイセイが、輝く背中の翼をたたみながら、不思議そうに、尋ねる。


「ハクよ、いつも言っておるだろう、転移する時は、ゆっくり現れる様にしろと!

 お前は、現れ速度で輝き方が違うのだから。」


「あぁ!そうでした。

 エドワードの目覚めを感じたもので、つい。」


 完全に人化し終わった、ハクタイセイは、エドワードの小さな手に、赤の羽と白の羽を1本づつ握らせて。


「エドワードよ、これが、迷惑なくらい、大きな声で鳴きながら天界を飛び回る、大きな鶏さんからの、プレゼントですよ。」


 と言いながら、フェニックスの羽をエドワードに握らせた。

 もしかしたら、ハクタイセイを、フェニックスが嫌いなのか?

 あやつ、フェニックスの事を鶏と言いおった!そう思いながら、金龍は、立ち上がりながら。


「ハクよ、今回はどの位こちらに滞在できるのだ?」(ゴ)


「さぁ? 仕事を丸投げした部下が、根をあげるまで居ますよ。

 10年になるか、20年になるか、まだ判りませんが。」


 金龍は、不意にハクタイセイを見詰め、こやつ、色んな二つ名を持っている中に、慈龍と言うのがあるけど、出現の仕方に慈しみは無いな等と、思い薄い笑いを浮かべた。 

今回も、ここまで読んでいただき、ありがとうございます。前書きでもかきましたが、第一章は、今回で終了します。一気に5歳ぐらいまで飛ばして、物語を進めたいところですが、もう少し、赤ちゃんのエドワードとお付き合い願います。

 第二章の序盤戦は、ルイ達エルフと、盗賊の4人に少しスポットライトが当たります。

 では、第二章も宜しくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ