第1章
今回、主人公のエドワードの話しが少し出てきますが、依然、眠ったままです。
中には、既に気付いた方が居るかもしれませんが、所々に、過去の競走馬の名前を付けたキャラクターが、登場しています。
(JRAさん 並びに、馬名を使用された馬主様、ごめんなさい。)
競走馬の名前、まだ出てくる予定です。
(JRAさん 並びに、馬名を使用された馬主様、赦して下さい。)
主人公がほぼ不在状態で物語は、進んでいますが、もうすぐ、主人公メインで話しを進めますので許して下さいね。
エルフの大工3兄弟
エドワードが産まれた日、ハイエルフのルイと、白龍のハクタイセイによって、王都の湖に連れて来られた5人のエルフの男女は、男性の3人が若いながら腕の良い大工の兄弟で、女性の2人は、医術、占術にすぐれた祈祷師である、里の長老の1人の孫で、こちらも姉妹だった。
先ず、エルフの大工達は、エルフ姉妹とエドワードが暮らす住処を建てるのに必要な木材を切り出す為、金龍のゴールディに、家を建てる場所、伐採してもいい場所や木の種類など、念入りに話し合った上で、長男のジョルジョが、建設予定地の木を風魔法で根元から薙ぎ倒していった。
次に、次男のセルジオは、残った切り株を、精霊魔法を使い撤去した後、土属性魔法で整地していった。
エルフは、通常、精霊と契約している者が多く殆んどのエルフが、何らかの精霊魔法を使えるのだが、人の使用する通常魔法を使える者は、以外と少ない、今回、ルイ達が連れて来た5人の男女のエルフは、数少ない精霊魔法と通常魔法を使える者達であり、その上、男性のエルフは、戦士、狩人、大工として、女性のエルフは、薬師、占術師に、姉の方は、錬金術師に狩人、妹の方は、戦士に医呪師と里の中でも、特に有能で将来、里の中心人物と成るだろうと、誰もが認めている程の若者達だった。
伐採と整地が終わった建設予定地の横では、三男のオーラスが、切り倒された木材の枝を払い精霊魔法で、木材を乾燥させながら、木の皮を剥がす作業をしている。
三男のオーラスの作業が、粗方片付き製材出来る様になった頃には、太陽も傾きはじめ、森の木々の影がかなり伸びはじめ、その日の作業を終わらせた。
3人は、作業の報告をするために、金龍がいる、世界樹の下へとやってきたが、金龍の姿は、何処にもなく、エルフの姉妹と、ハイエルフのルイが、用意したであろう3つのテントの前で、夕食の準備をしていた。
大工3人の姿に気付いたルイ達は、1日の里を労い先ずは、三つ並んだテントの中で真ん中にある一番大きなテントに招き中の説明をした。
テントに入るとまず、右手の方には、4人掛けの丸いテーブルと椅子のセットが4組、ここは、食堂にあたる場所で、左手の方には4人掛けのソファーが対面に置かれその真ん中にはテーブルそして、上座には、1人掛けのソファーと、下座には、3人掛けのソファーが置かれていた。
ここは、話し合いや、自由に使える会議室兼娯楽室的なスペースらしい。
そして、テントの奥、三分の一位から間仕切られた先には、脱衣所、風呂、洗面にトイレがあるらしい。
半日も掛からずこれだけの物を組み上げたのを見て、大工の3兄弟は、感嘆の声をあげた。
「もしかして、家とか建てずに、テントでよくない?」
三男のオーラスが言うと、ハイエルフのルイが。
「先に教えてなかったけれど、この場所は、後々エルフの移住地に考えられているので、一応、しっかりとした物を建てて貰いたい、それにエドワードは、間違いなく、成人まで、ここに暮らす事になるから、その点も考慮して建てて貰いたいのと、2人の姉妹の作業場も込みの家を建てて欲しいので その辺りは、後々、彼女らと話し合って決めて欲しい。
何かと注文が、多くなると思うけど、なるべく彼女達の意に添う物を作ってほしい。
一応、教えておくが、彼女達は、アレイシャ様の孫たからね。」
「「「魔女アレイシャ様の孫?」」」
3人は、声を上げて驚いた。
魔女アレイシャ、魔女と呼ばれているが、本当に魔女という訳ではなく、星読みや、占術によって過去何度も、里を救い、多くの民の命を医呪(回復系の呪文や魔法の総称)により助け、見目麗しく、長老と呼ばれる年齢にもかかわらず、その見た目は、乙女と呼んでも過言ではないほど若々しく、神々の秘術により、年を取らなくなったと言われる程である。
何より、その行動の全てに最良の結果を残し。
里では、誰もが尊敬と、憧れの視線を向け、エルフの上位種であるハイエルフの長老達ですら彼女に お伺いを立てに来る程の、最も若く美しい長老の孫と言われれば、里では、里を守る戦士としても、糧をもたらす狩人としても、大工としても、里の若手では、トップクラスの3兄弟ですら、アレイシャの孫と聞けば、一目も二目も置かなければならない存在である。
「これは、厳しい仕事になりそうだ。」
長男のジョルジョが、言えば、弟達2人は、そうだとばかりに、首を縦にふる。
「夕食の準備が整いました。」
とアレイシャの孫の2人に声を掛けられ、ソファーに腰掛けていた大工の3兄弟とルイは、食堂の
テーブルに移動して、皆で食事を取る事にした。
「エドワードは?」
ルイが、聞くと
「はーい!今、連れて行きまーす!」
テントの外から、声がした瞬間、大工3兄弟は顔を見合せ、まだ誰か居たっけ?
と、テントの入り口に目をやると、白く柔らかそうな布にくるまれた、赤ん坊がフワフワと宙を浮きながら、入ってきた。
大工3兄弟は、宙に浮くエドワードを見て固まり、続いて入って来た、白いシンプルなドレスを着た美しい女性を見て眼を見開いた 彼等の目を惹いたのは、美女揃いのエルフにも劣らない美しい顔立ちに、真っ白な絹の様なロングヘア、透き通る様な肌?
いや、身体全てが、透き通っている。
その女性を見て、声を発する事も出来ず口をパクパクさせている大工3兄弟に、ハイエルフのルイが、入り口が女性に向かい、右手を広げ、声高に。
「紹介しよう、彼女は、300年前に王都を潰滅状態に追い込み、この辺り一帯を吹き飛ばして、この湖を作った張本人の、白の魔王こと、レジーナ孃だ!」
ルイが、レジーナの紹介を終わらせ、振り返り、大工3兄弟の方を見ると。
3人は、白目を剥いて気絶していた。
「以外に、気の小さい連中だな。」
ルイが、腰の高さで両手を広げて呆れていると。
「人を、凶悪モンスターみたいに紹介しないで下さい!」
レジーナが、顔を真っ赤にして ルイに抗議すると、姉妹の姉が
「ルイさん、年頃の女の子の、紹介の仕方じゃありませんよ。
レジーナさんが可哀想です。」
「私、もう帰ります。
明日も 赤ちゃん見に来ます。」
そう言うと、念動で宙に浮かせていたエドワードを、エルフ姉妹の姉の胸の前に送るとエドワードを、キャッチした姉は、左手でエドワードを、抱き抱え、右手でバイバイと手を振った。
隣で妹もバイバイと手を振りながら、
「エドワード大人しいって謂うか、手が掛からないって言うより、全然、目を覚まさないんだけど。」
「それは、ハクタイセイ様の秘術が掛かっているからね、今、その子は、ハクタイセイ様の加護で穏やかな眠りの中で、慈愛の心と7系統の魔法の素養が生まれつつあるからね、魔法の素養が定着するまで、ハクタイセイ様がパスを繋いで魔力を送り成長を促しているから、目覚める迄、お世話は、お風呂に入れる位でいいけど、いつ目覚めてもいい様に、食事用のミルクや飲み物の準備は怠らない様に頼んだぞ。」
ルイは、ハクタイセイから聞かされた事を姉妹に伝えると 「何で、こうなった。」 と3兄弟に視線をおとした。
「これじゃ、今夜は、家の事、相談出来ないね。」
姉妹の姉は、そう言いながらエドワードを抱いて女性用のテントに戻って行った。
妹は、テーブルの上から、2人分の夕食を手に取ると
「3人が目を覚ましたら、ご飯食べさせてあげてね。
それから、家の打ち合わせは、明日、図面持って来るから、その時ね。」
そう言いながら、姉に続いて、女性用テントに戻って行った。
残された、ルイは、大工3兄弟を見つめながら、
「やれやれだぜ」
と呟きソファーに深く腰掛け、大丈夫なのだろうか?
と両手で頭を抱ながら、深くため息をついた。
今回も、ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
次回も、家の建設状況とエルフ姉妹、眠りに就いてる筈なのに、ちょくちょく出場してる 白の魔王こと、結構、お花畑的なところを見せているレジーナちゃんや、競走馬から名前を頂いた、ハイエルフのルイ・テイトさん辺りの話しになります。