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プロローグ(1)

タイトルに調理師とありますが、グルメ要素は、ほとんどありません。

 プロローグ~誕生編~幼年期~少年期編~本編へと言う流れで進んで行きます。

 本職の合間に書いて?いますので、なかなか更新出来ないかも知れませんが、読者が居なくても 頑張って完結させる迄書こうと思っています。

        誕生前夜

      1 ポンコツ女神

「運命の女神よ、少し頼みたい事があるのだがよいか?」

主神に呼び出された女神フォルトゥーナは、

急ぎ、主神の下に駆けつけた。


 「創造神様、私に何の御用命でしようか?」

女神フォルトゥーナは、にっこりと微笑みながら主神に訊ねてみた。

※創造神とは主神のことです。


 主神は、静かに怒りを抑えた口調で、

 「用と言うのは、そなたが前にやらかした

失敗の後始末と、儂の留守の間の地上の事じゃ。」


 「私の失敗とは、一体なんでしようか?」


主神の怒りなど、意に介さない用に微笑みながら

聞き返してくると、流石に主神は、拳を握り締め

額に青筋をたてて、


 「貴様もう忘れおったのか?

あの白き魔王の事じゃ。」

 

 「ああ、レジーナちゃんの事ですか?」


それまで、常に微笑んでいたフォルトゥーナが

レジーナの名前を口にした途端、満面の笑みに変わった。


 「何がレジーナちゃんだ!

何をどうすれば、純情可憐な乙女を、

神の一柱が魔王にグレードアップさせるのじゃ?」


額の青筋をさらに増やし、握り締めた拳を、いや腕と云うより

全身震わせながら言った。


 「レジーナちゃん良い娘だから、少し加護を与え過ぎちゃって、

加護が過護になっちゃいました。」


流石の主神も、この糠に釘を打ち込む様な不毛な会話に

嫌気がさしたのか、少し落ち着きを取り戻して

静かに、切り出した。


「フォルトゥーナよ、そなたは、普通に人々の運命を

導き管理する通常のときは、完璧なのに、

加護や祝福など、ギフトを与えたり、通常以外のときは、

どうしてこれ程迄にポンコツなのだ?」


 フォルトゥーナは、こめかみの辺りに右手の人差し指をあてて

軽く首を捻り頭を左に傾け、少し悩み


「私は、どうやら人間の事が好き過ぎて

祝福や加護を与えるときに制限が効かなくなるみたいです。」


 と 可愛く言ってみた。

 呆れ果てた主神は、完全に落ち着きを取り戻して


 「まあよいか、では先ず、そなたが魔王にしたまま

300年も放置しているレジーナを、助けるなり

討伐するなりして、人の理の枠の中に戻すのじゃ

ただし、そなたが、直接神呪を行使するのではなく

人の子の力で行うのじゃ。

その為には、一人の聖者を生み、その者の側に

賢者を引き寄せる事と、五名の者の夢枕に立つ事を許そう。」


 こうして、フォルトゥーナから人間の手に委ねてしまえば、

この運命の女神が、やらかしてポンコツ振りを発揮する事は、

無いだろうと主神は、考えて命令を下すことにした。


 「では、今回は、失敗する訳にはいきませんので、天界に住む

万能の知恵を持つ 知り合いに相談してから その仕事に掛かろうかと思います。」


 以外にも今回は慎重な様子に安心しながら、

少し、気になった事を 聞いてみた。


 「ところで フォルトゥーナよ、万能の知恵を持つ者とは、

一体誰じゃ?」


 「それは 天界に住まう白き慈龍 ハクタイセイ様です。」


 主神は、神界より少し人間の世界の近くにある 天界に住まう 神格を持ち白い身体に虹の様な七色の光沢を纏った この世で一番美しいと言われる龍の名前が 女神の口から発せられるとは思いもしなかった。

 しかも、ハクタイセイと言う呼び名は、もう一柱の神格を持ちこの世の全ての龍簇に皇帝として崇められる 

兄の金色の神龍にしか許していないはずなのに

不思議に思い 訊ねてみた。


 「フォルトゥーナよ そなたは、何故 白龍殿をハイランドレインボー(天上界の虹龍)と呼ばず ハクタイセイと呼ぶのだ?

その呼び名は、兄である金龍殿にしか許されておらぬはずであるが?」


 すると、女神は、事も無げに こう言った。


 「あれは、300年前レジーナちゃんに与えた加護と祝福の力が強すぎて 人や建物 自然環境に悪影響を及ぼし魔王と呼ばれ始めた頃、

 私は、「時が解決してくれないかなぁ?」とか色々思い悩み

悩んだ挙げ句の果て、お酒でも呑んで気を紛らわそうと思い 

創造神様の酒蔵から 一番美味しそうな お酒を一樽失敬して

神界で飲めばバレるかも知れないので、天界に降り 見晴らしの良い処で呑んでいるとお酒の薫りに釣られた ハイランドレインボー様が あまりにも良い薫りの酒なので一口味見をさせて欲しいと やって来たのです。

「白龍様に味見されては 私の飲む分が無くなります!」と言ったら、

人化して、「これなら あまり飲めないから良いでしょう!」と言い一口呑み、

あまりの旨さに悦ばれ「地上の兄様にも飲ませたいから、兄に地上の旨い酒と肴を持って来てもらい一緒に酒盛りをしよう!」と言われ 金龍様を交えて

酒盛りをした時に 金龍様には ゴールディ、白龍様には ハクタイセイと呼ぶ事を許されました。」


 話しの途中から拳を握り締めていた主神は、フォルトゥーナが話し終わると同時に、女神の頭に拳骨を落としながら


 「儂の 取って置きを持ち出したのは、お前じゃったのか?

しかもカイゼルグランデ(地上の皇帝龍)殿まで名前を許されるとは、

罰として、酒神バッカスの処より五樽仕入れて参れ!

よいな!!」


 少し涙目になりながら拳骨を落とされた所ろを押さえていたフォルトゥーナは力なく「分かりました。」と答えると主神は、


 「そう それから儂は暫く 温泉を巡る旅に出るので 後の事は宜しく頼む。

ああバッカスの処から、五樽仕入れてきたら二樽は、儂の酒蔵に保管し 残りは、お前と 神龍殿達で一樽づつ分けなさい!」


 そう言うと主神の存在が 神殿の中から消えてしまった。

 後に残った、女神フォルトゥーナは、


「先ずは、お酒を仕入れて ゴールディ様とハクタイセイ様に良い知恵を借りて あわよくば300年前の様に丸投げ出来ないかしら。」


などと身勝手な事を考えながらバッカスの処に向かうのであった。


第一話、読んで頂いてありがとうございます。

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