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インタビュー 第一回  作者: 橋土井 紫
3/4

終末(体験版) 【その3】

---録音再開---


その後は暇さえあればやってました。ええ。


いやあ、本当に。すごい面白いんですよ。毎回終末の原因が違うんですよね。

大地震が起こったりとか、疫病が蔓延したりとか。あっ、あと核戦争もありましたね。

宇宙人が攻めてきたー、とか。ゾンビが沸いたー、みたいなファンタジーなのもありましたよ。

正直、大体はゲームオーバーになるんですけど時折うまくいくことがあって。そうですね。クリアですね。ゲームクリア。

疫病を治すワクチンが発見された、みたいな僕が関係ないところでクリアになったってのもあるんですけど、必死にサバイバルして生き残れたってのもありましたね。あの時は本当に興奮しましたよ。

あなたにもやってもらいたかったなあ。


ああ、そうそう。言い忘れてた。

ゲーム内で何日経ったとしても、現実世界で目が覚めると大体5,6分くらいしか経ってないんです。

お陰様でほんの空いた隙間で楽しめるんで、最高でしたよ。学校の休み時間にもやってましたね。

そうそう、学校でやった時凄かったんですよ。僕のクラスだと窓から校門が見えるんですけど・・・


---一部省略---


ん、ああ。ごめんなさい話が反れましたよね。すいません。

えっと、で。ある日偶然ゲーム屋のオジサンと商店街で会ったんですよ。はい。

オジサンの方から話しかけてきて。

「お兄さん久しぶり。最近顔出さないじゃないか」って感じでしたね。

で、僕も「はい、すいません。あの終末ってゲームが楽しくって」って返したんですよね。

そしたらオジサンが「どこまでやった?」って聞くんですよ。はい。

多分残りプレイ回数のことを言ってんじゃないかなと思ったんですけど、正直残り何回かあまり覚えてなかったんで、

「えーっと、覚えてないですけど、あと一桁なのは覚えてますよ」って。言ったんです。


そしたらオジサン、いつものニコニコ笑ってる顔が更にいい笑顔になって。こう言ったんですよ。

「ちょっと店まで来てもらえるかな?」って。

僕も「ん?何で?」って思ったんですけど、まあ予定も無いし、オジサンについていったんです。


店に着いたんですけど、オジサンは別にレジに座るわけでもなく、そのまま事務所・・・というか自宅に繋がってるドア開けて、そのまま小さい和室に案内されたんですよ。ええ。多分自室とかじゃないかな。

あ、はい。そうですね。「変だな」とは思いましたけど。「もしかして終末の新しいカセットもらえたりするのかな」とか、そんなこと考えてました。


で、言われるままに座布団に座って。ちょうど僕とあなたみたいな感じで対面に座った感じになったんですね。はい。そしたらオジサンが突然、

「お兄さんはパラレルワールドって知ってるかい?」

って。そう言ったんです。ええ。本当に突然でした。はい。顔は相変わらずニコニコしてました。


---録音一時停止---

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