#029:残る者と始まり
二月の例の奴、いつ書こう。
そうだ!三月の時にまとめて書こう!
(毎回行う、たらい回しの法則)
由井の部屋(ナレ:由井)
拝啓
天国のお父さんとお母さん。私は元気にすごしています。中学二年生になって、もう半年が経ちます。毎日がめまぐるしい早さで過ぎていき、毎日を楽しむことで一杯です。特に、今年度は一番ハラハラドキドキしています。
今回、手紙を書くに至った訳は、もう知っているかもしれないけれど、とうとう彼氏ができました。名前は、鬼帝戊流君。好きになった理由はいろいろあるけど・・・・・・やっぱりお父さんとお母さんの敵をとってくれたことです。きっとお父さんもお母さんも気に入ってくれると思います。
ただ、最近彼とは会えていません。最後に会ったのは先週で、ウチに来ていたときでした。それ以来、学校にも来ていません。不安でいっぱいです。もし、彼が死ぬようなことがあったら次は私が死んでしまいそうで怖いです。もう、大切な人を失いたくないのに、自分は何もすることができず、ただ無事を祈るだけです。
敬具
私も、こんな風に天国のお父さんとお母さんに手紙を書いてみたのは初めてだ。でも、どうしても書かずにはいられなかった。心の中に少しずつたまっていく彼に対する不安は、現在の段階でかなり一杯になっていた。書くことによって少しでもその不安を外に出そうと思ってやったのかもしれない。
(井練由里)「由井~!ご飯だよ~!あと、由来も呼んで~!」
下から、由里お姉ちゃんの声がした。
彼がいなくなるまでは、夕飯の時、彼を呼んで楽しくご飯が食べられていたけど、今はそんな風に楽しく食べることができなくなってしまっていた。
(井練由井)「解った~!今、降りる~!」
ともあれ、暗いことばかり考えていても何も始まらない。
ちなみに、現在私は少し化かし気落ちしている状態。由里お姉ちゃんは普通を装っているけど内心は戊流が急にいなくなって結構ショックだったみたい。
で、一番問題なのが由来お姉ちゃん。
彼がいなくなって現在、自室にてふさぎ込み中。由来お姉ちゃんがこの状態であるために、お店は昼間由里お姉ちゃんだけがやっていて、夕方からは私と由里お姉ちゃんという体勢。
部屋を出て、由来お姉ちゃんの部屋に行く。
「コンコン・・・・・・」
反応がいまいち無い。
(井)「由来お姉ちゃん、由井だけど。由里お姉ちゃんがご飯できたって・・・・・・」
私がそう言うと、少しの間が空いてから、由来お姉ちゃんは部屋から出てきた。
(来)「解った・・・・・・降りる・・・・・・。」
出てきた、由来お姉ちゃんの顔には幾筋もの涙の後があった。
鼻も赤くなり、いつもの顔がグシャグシャになるまで泣いていたみたいだ。
そんな由来お姉ちゃんにすぐに言葉をかけられなかった。
それ以上に由来お姉ちゃんから質問された方が速かったかもしれない。
(井練由来)「由井は・・・・・・寂しくないの・・・・・・」
この一言は私にとって重い一言だった。それは、知らず知らずのうちに不安をかき消しきれないが故にため込んできた物と一緒に目から一緒に流れていた。
(井)「そんなわけ、ない!寂しいし!心配だし!・・・・・・」
お互いに不安がぶつかり合い、どんどん増加していく。
その時、私は由来お姉ちゃんに抱きついた。互いの不安をかき消すために。お互いに泣きながら。
(里)「私も混ぜてもらって良い?」
急にかけられた声に、私と由来お姉ちゃんは声のする方へ振り向いた。そこには、うっすら、涙をうかべていた由里お姉ちゃんがいた。
(里)「私だって、結構たまっているんだからさ。」
その後、私たち3人お互いに励まし合いながら、泣き合った。
そして、私たちが今できることは、彼が無事に帰ってくると言うことを祈ることだけだという、無力さも改めて知った。
でも、できることがあるのだから私は全力で祈る。
戊流・・・・・・お願いだから・・・・・・速く帰ってきて。
政府タワー付近(ナレ:作)
鬼帝達は政府タワーと呼ばれる、この国の政府機関や警察といった物の大本部の集まる施設の近くへ来ていた。
今は潜入前の最終チェックを行っている。
(鬼帝戊流)「坂本さん、ありがとうございます。」
鬼帝の口からは不思議とそのような言葉が出ていた。
意外な鬼帝の一言を聞いて、坂本は少しにやけながら言った。
(坂本麺)「あんまりそんなことを口にしない方が良い。最後の別れみたいになってしまう。由井ちゃんが待っているんだろ?」
鬼帝は坂本に言われた「由井」と言う言葉に、罪悪感を思い出す。
何も言わずに来てしまったことが心に深く残っている。
そのことを察知したのか坂本が鬼帝の肩に手を置いて言った。
(坂)「もし、由井ちゃん達に何もいってこなかったことを悔やんでいるのなら、それは間違いだよ。彼女たちは、君が急にいなくなったことに対して、幾分かの不満があるかもしれないが、必ず戻ってくると信じて残っているはずだ。だから、君はそれに答えなければならないし、今回、死ぬという逃げ方は俺がとらさないから。君や登や藍は必ず生きて返してやる。これが、大人の俺ができるせめてもの罪滅ぼしだ。」
鬼帝はただ頷くだけだった。
(坂)「鬼帝、登、藍、準備は良いか?」
坂本の声に三人が続く。
(登暁星)「うん。問題ない。」
(藍香)「準備万端。」
(鬼)「ああ、完璧だ。」
そして、四人は政府タワーの裏側へ行った。
次回、いよいよ進入です。
それ以外決まっていません!
(オイ!ダイジョウブカ?)