#028:不死による密談
日付変更30分前に終わらせました。
対策室(ナレ:作)
ここで、鬼帝らに対する対策について、政府重役多数が話し合っていた。なかなかの面々がそろっている。法庁や警庁の幹部から政府組織の大臣まで総勢10人といったところだ。その中に、キラーズⅣ。不死の4番。キメジ・ハーディーの姿もあった。しかも、スーツ姿でだ。ハーディーは基本スーツは着ない。それは自分が仕事をするのに不必要だからだ。コイツがこの姿をとる理由はただ一つ、交渉により血にありつけるときである。
(ハーディー)「皆さん勢揃いで。」
元キラーズメンバーであるから、暗殺が得意なのは周知の事実であるが、コイツに関しては別である。キラーズ時代より、血のためであれば、暗殺対象者以外も手にかけていた。本部の命令無視も日常茶飯事であった。血に染まることによって自分の価値を見いだすのがコイツの行動原理であると言っても過言ではない。そのため、血に染まるために、人を手にかけるために何をすれば良いかと考えることに関してはキラーズメンバーの中でも随一であった。
(警庁)「貴様、そんな態度で良いのか?我々にかかれば国際手配犯のお前ごとき簡単に捕まえられると言うことを知ってての口の利き方か?」
ハーディーの言葉に食らいついたのは警庁の長官だった。顎は二重顎。おなかはメタボリック腹。10人の医師がみれば10人の医師が生活改善を進めるような姿だ。
(ハ)「警庁の方でしたっけ?これはこれは。公安の方にはこの間もお世話させていただきました。この間来た二人は余り良い感じではありませんでしたね。自分たちが警察であるということを鼻にかけているようで。命の危険が及んでいるというのに、お偉く演説してらっしゃいましたよ。「私は・・・の息子だ。私を殺せばどうなるか解っているんだろうな!」だったかな。ホントにブーブーうるさい子豚でしたよ。」
すました顔でそう答えたハーディーだったが、警庁の方は顔が真っ赤っかになっていた。
(警)「貴様!絶対に牢屋へぶち込んでやるからな!アメリカから手を出すなと言われているが関係ない!手柄は私たちがとってやるからな!」
一息で、つばを飛ばし、警庁の長官はそういった。しかし、ハーディーの方は顔色一つ変えていない。まるで、その姿をあざ笑うかのような雰囲気を出していた。
(ハ)「あなたこそ、私にそのような高圧的態度をとって良いのですか?いくら此処が厳重体勢で囲われている場所だからと言って、この部屋の中にいるのは私とあなた方合わせて11人。私が捕まるより、あなたの体がハムになる方がよっぽど早いと思うのですが。一度試してみます?」
ハーディーの口から出た言葉に警庁の長官の顔色は真っ青になる。何か対抗する言葉を言おうと口をパクパクとするが、なかなか出てこない。
(法庁)「いい加減にしたまえ。それに、ハーディー君。この部屋に入る前に、ボディチェックはされただろう。危険物はすべて取り上げられているはずだがね。」
ハーディーと警庁長官の言い合いを止めたのは法庁の長官だった。こちらは、すらっとした体に白色化した髭を蓄えた初老のおじいさんだ。髪はオールバックにしてある。
警庁長官をもてあそんでいたのに水を差されたハーディーは今度は法庁長官へ遊び相手を変える。
(ハ)「銃やナイフがなくても人間なんて簡単に死にますよ。この地球上で知能だけさえて各の野性的能力を伸ばさなかったのが人間ですから。正確には退化したと考えるべきですかね。そうだ、今度体験してます?銃やナイフを使わずに人を殺す方法。当然、窒息なんて柔な物はしませんよ。しっかり、胴体に風穴明けて風邪通しをよくしますんで。」
法庁の長官は何を言っているのかさっぱり解らないと言ったような表情だった。
(国家大臣)「では、本題に移るぞ。」
区切りを見計らって話し出したのは国家大臣である。頭に毛が無い、中年のおっさんだ。
(国)「ハーディー君。君に来てもらったのは、とある人物達について情報を持っていると君が言うから此処に来てもらった。ズバリ、単刀直入に聞こう。二年前の赤鷹関係者連続殺害とこの間のカゴンの死、両方とも誰がやったのだ?」
一瞬だけ、ハーディーの顔が驚いたが、すぐに元に戻った。そして、近くにあった水を一口口に含むと、話した。
(ハ)「へぇー。よく気づきましたね。同一人物であると言うことを。さすが世界三大頭の良い人種の中に含まれるだけある。そうですよ。同一です。ただ、一人ではなく複数。おまけに・・・」
ハーディーに被せるように国家大臣は言った。
(国)「子供であろう。」
国家大臣は少し左の口角を上げ言った。その表情にはこんな事に時間も人員も割く必要は無いといった感じであった。
その姿を見てため息をついたのがハーディーだった。
(ハ)「子供だからって、油断すると一瞬で首と体が離ればなれになるか、体に大きな風穴作ることになりますよ。油断するほど相手に勝算を与える事はないですから。ちなみに、カゴンにもこれを言ったのですが、死んでしまいました。何ででしょうね?」
真剣な表情に国家大臣は変え、言う。
(国)「子犬ではないというのか?」
国家大臣の疑問に対し、ハーディーは頷いた。
(ハ)「ホッキョクグマにでも会う方がずいぶん楽ですよ。」
国家大臣はため息をついた。自分の考えているほど相手が子供とは言え、甘くはないと言うことを。
(国)「先手を打つ方法はないのか?」
その言葉を聞き、ハーディーはニヤリと笑った。
(ハ)「先手なんて打つ必要、ありません。むしろ、後手に回る・・・いいや、あなたたちはもうすでに後手です。だが、それで良い。どのみち、彼らはこっちに向かってくる。確実にね。そして、あなたたちが最も聞きたいであろう彼らの名前は・・・・・・。」
次回は鬼帝達が準備に入ると思います。
次回が三月なんで、それまでに二月の風物詩の話し一本書きたいです。(希望であり願望でない)