#024:甘さ控えめは砂糖入り
ショッピングモール(ナレ:作)
本日は、日曜日。前回、海辺の約束を果たすべく、鬼帝と由来は郊外にある、ショッピングモールへとやってきているのだ。
(来)「戊流クン・・・・・・お願いがあるんだけど・・・・・・。」
ショッピングモールの中へ入ったときの事であった。由来が突然鬼帝の服の袖を引っ張って言ってきたのである。
(鬼)「?」
鬼帝の頭にクエスチョンが上っているのも置いといて、由来は恥ずかしそうに鬼帝の足下を見ながら、言った。
(来)「今日一日・・・・・・手を・・・・・・つないで。・・・・・・お願い。」
先日から今日のことが気になってしょうが無く、由来は頭の中で本日の予定とシミュレーションを何回も行っていたのだ。
悪く言うなら、妄想全開で不眠だったのだ。
さて、このお願いを鬼帝もさすがに照れながら答えた。
(鬼)「もちろん。」
さてさて、手もつないだところで手始めに由来は鬼帝を大型衣類量販店にやってきた。
(来)「いつもは・・・・・・何着ているの?」
まだ、由来の照れは治っていなかったが、現在はうっすら頬を赤く染めるぐらいだった。でも、いつもあまり鬼帝と話せていない由来にとっては現在心臓がレットゾーン手前までまわっているのだった。
だが、そのドキドキも鬼帝の答えによって一気に低回転になる。
(鬼)「ジャージです。」
今度は、由来頭にクエスチョンマークができていた。
(来)「洋服とかは・・・・・・着ないの?」
一瞬、由来の頭には嫌な感覚がよぎっていた。『そもそも、鬼帝は今までどんな生活をしていたか。』これについて由来の頭の中では必死に議論が巻き起こっていた。そして、次々に浮かび上がる手がかりになる今までの鬼帝が話したワード。
(来)『暗殺組織・・・・・・』
そして、その由来の嫌な予感は的中するのであった。
(鬼)「制服上下、体操服上下、ジャージ上下、外出用上下、部隊服上下、あとは下着と海パン二種類ですね。」
由来はとりあえず質問することにした。
(来)「何でそれだけ?」
(鬼)「必要以上の物を持つと自分の動きが悪くなる。なるべく最小限が一番良い。それに、これ以上持っていても使いませんから。血に染まるのは少ない方が服も喜ぶでしょう。」
ここまで聞いていた由来は・・・・・・泣いていた。
そして、このとき由来の中での一番の不幸の定義が変わった。『こころのよりどころがいない』や『親が殺された』『貧しい』等がいままでの定義だった。
だが、違う。
一番の不幸は、『自分が不幸であると認識できていない事である。』
そして、由来は頭の中でのデートプランを一気に変えた。
(来)「戊流クン・・・・・・隣の棟にあるホームセンターへ行くよ・・・・・・!」
ホームセンター
いきなり、由来に連れてこられて少し驚いている鬼帝。そんな彼に、由来は話し出した。
(来)「今・・・・・・お部屋の大きさどれくらい?」
(鬼)「元々旅館を改装した家で、たぶん個室だから八畳ぐらいだと思います。」
(来)「何・・・・・・置いてる?」
由来の目は真剣だった。その目は必ず鬼帝を不幸から助けようという目であり、一生一緒にいたいという気持ちのこもった目だった。
(鬼)「机、テレビ、PCぐらいですね。」
(来)「・・・・・・ベッドは?」
(鬼)「いつも畳の上に引いて寝ています。」
ここまで、聞き由来は頭の中で部屋のパース図を簡単に描き、そして一つ結論が出た。
そして、鬼帝をとある一角へ連れて行った。
(来)「戊流クン・・・・・・このロッカーを君に買ってあげる。・・・・・・そして、このロッカーがいっぱいになるまで・・・・・・今日は戊流クンの服を買う・・・・・・!」
次回、後編です。
最近、忙しくて余りPC触れていません。
ごめんなさい。