#023:糖度15%
いやー、やっぱり有言不実行。
しかも、忙しすぎていつもより少なめ。
ビーチ(ナレ:作)
次に鬼帝が目を覚ましたのは、夕方の五時を過ぎていた。
うすら、目を開けた鬼帝は、海に反射されたオレンジ色の夕日の光に目を眩ませていた。
(鬼)「・・・・・・ッ。もう・・・・・・夕方か・・・・・・。」
鬼帝の頭の中では、そろそろ帰宅する準備をしなければならないという、算段を始めようとしていた。
そこで気づく。
何か忘れている。
鬼帝にとって、いつもならこんなに寝ることなんて無いはずだった。しかし、何故か安眠しすぎていた。そのため、頭が回らない。
(鬼)『思い出せ。今日何があった・・・・・・。』
鬼帝は寝起きの鈍速な脳みそを無理矢理高回転させ、一つずつ今日の出来事を、記憶の海から引っ張り出し、つないでいく。
少しずつ思い出していくと同時に、自分の置かれている現状という物に気づく。
(鬼)『頭の位置が地面の上では無いな・・・・・・。何かのクッションの上?・・・・・・。しかも、ほどよい柔らかさ・・・・・・。』
頭の記憶が全部つながりかけたとき、うっすら開いていた自分の目の視界にある人物の顔が入ってくる。
(鬼)「由来・・・・・・さん?」
おそるおそる、出した声に彼女が反応する。
(来)「起こしちゃった・・・・・・?由里のあと、戊流クン全然起きなかったから、膝枕していたんだけど・・・・・・ダメだった・・・・・・?」
由来の顔は夕日の為か、はたまた照れているのか顔が紅潮していた。いつもの由来なら、たいていの場合顔色変えずに何でもこなす。故に、指から血が出ながらでも料理が作れる。(だから、由里や由井に止められる。)しかし、最近の由来には変化があった。毎日毎日、夜になれば、鬼帝のことを思ってしまい、叶わぬ恋と言い聞かせ切ない夜を過ごしていた。それと同時に、自分に自信がないものの、本日の海に行く話は保護者としてと言う形でも同行できるようになったことには心から飛び跳ねるうれしさでいっぱいだった。
(鬼)「いえ、いつも安眠しないのですが、つい深く眠ってしまったようで、最近の体調から考えると良かったです。」
こんな時ですら、いまいち乙女心の解っていない鬼帝であった。
だが、世の中に『恋は盲目』と言う言葉があるように、由来には頭の中で変換されて、「膝枕、気持ちよかった。」と言う言葉になっていた。
こういう状態になってしまうと、由来はもう顔が真っ赤っかになってしまい。うまく話せなくなる。
しかし、彼女には伝えたい事があった。
いつも、内気な由来にとって今までの中で一番、現在緊張している。
勇気を出さなければ伝わらないこともある。
言葉で無ければ伝わらないことがある。
自分に言い聞かせている言葉は今までに何度も大事なところで言い聞かせてきた言葉だ。
失敗なんか無い。
体を起こした鬼帝と目を合わせて、由来は話し出す。
(来)「戊流クン・・・・・・!こ・・・・・・今度・・・・・・!買い物に付き合ってください!!!」
勇気を出していった言葉は強く大きな力で鬼帝には伝わった。
(鬼)「はい。」
鬼帝はまだ、これがデートの誘いであるとは気づいていない。だが、そうであろうと知りつつも、由来は幸せにふけっていた。
次回、鬼帝と由来のお買い物!!
の、はずです。