#017:睡魔退治にはコーヒーが最適
今月から毎週土曜日更新です。
やっと軌道に乗りました。
長かったなぁ。
鬼帝宅(ナレ:鬼)
引き続き臨時休業中。本日は俺の家に由井が来ている。由井の提案により買い物に出かける予定であったが、あいにくの雨。コールはじいちゃんとゴルフに行って今日は帰ってこない。今日は何もないから帰ったらと言った。すると、由井は何が何でも俺と離れたくないらしく、かなり手を焼いた。そこで、本日泊まらせてあげることにより合意したのだった。なぜだろう、嫌な予感しかない。
そして今、二人でお昼時のニュースを見ている。
(鬼)「いつまで、首に巻き付いているのだ?」
(井)「私の夫になるまで。」
(鬼)「シャンの一途な所がうつったのか?」
(井)「もう、一人の夜は寂しい。」
こんな事を言っているから、確実に今夜は帰らないだろう。
すると、インターホンが鳴った。
「ピーンポーン」
(鬼)「とりあえず、出たいから、離れて?」
(井)「嫌。」
しょうがなく、首に巻き付けたまま(正確には巻き付かれたまま)玄関に行った。
「ガチャ」
(鬼)「どなたですかー。」
そこには、双子と思われるきれいな二十代ぐらいの女性が二人いた。
おれの顔の後ろから、由井が顔を「ひょこっ」とだしたとたん、由井が叫んだ。
(井)「あーーー!!由来お姉ちゃん!!由里お姉ちゃん!!」
(里)「久しぶり!!」
(来)「鬼帝さん・・・初めまして。」
(鬼)「とりあえず、中へ。」
(里)「あっ!この子が彼氏!?なかなかじゃん!!仲も良いみたいだし。私も由井の首に!!」
(来)「私も。」
何だろう。端から見れば、曲芸だよ。べつに俺はいろいろと昔、訓練したから首が強いのは良いとして、由井はどこからそんな力が出るのだろうか。
そして今日は熱があるのだろうか、ナレーションの調子が悪いなぁ。柄でもないことを言っているような気がする。
その状態でリビングまで行き、ソファーへ四人は座った。
(鬼)「とりあえず聞くが、あの人達、誰?姉妹?」
(井)「正確にはいとこ。昔っからよく遊んでいたから、姉妹どうぜんなの。」
何となく先が読めた。この後、大変なことになるなぁ。
(里)「初めまして。井練由里と言います。よろしく。」
第一印象は明るい元気な人、と言っておこう。
(来)「初めまして。井練由来と言います。あのー、よろしく、お願いします。」
第一印象はおしとやかで礼儀正しい人、と言っておこう。
外見についてはしっかり語っておかないと。
(井)「今日は何でここに?」
(里)「由井を引き取りに来たの。大学を今年の春に卒業して、これから働くの。で、今まで寂しい思いをしてきた由井を今からでも一緒に暮らして家族であることの喜びを思い出してほしいの。あの家も売って、私たちと一緒に暮らさない?」
ここで、皆さん考えただろう。なぜこの二人はこの家に由井がいると解ったのか。
(鬼)「ちょっと、取り込み中失礼ですけど、どうしてここに由井がいると?」
(里)「由井の家に行ったら、誰もいなくて、街を歩いていたら、佐藤さんにあって。それで聞いたらここだって。」
(鬼)「なるほどね。」
(里)「どう?」
(井)「あの家には悲しい思い出しかないから、売ることには賛成。これで悲しい過去ともおさらば。でも、私は鬼帝と一緒に暮らします!!」
なんとも、やっかいなことを言う。俺らまだ中二なのに・・・
すると、物静かに聞いていた由里さんが話し出した。
(来)「それは、良くないと思う。鬼帝さんに迷惑かかるし。まだ、同居は早いと思う。」
恋人として、言って良いのか解らないが、この年で同居はまずい。(一部、中国から来たお二方を除く)
(鬼)「由井。お姉さん達の言う通りにしたら?別にあえなくなる訳じゃない。」
(井)「う~~ん・・・」
(来)「しかも家が近くなりますし。」
うん?何か変なことが聞こえたような。家が近い?ちょっとまて。ここら辺に井練と書いてある家は見たこと無いぞ。
(里)「そうだよ。隣だよ、隣!!」
まて、まて、まて。隣は喫茶店だぞ。しかもいつもシャッターが閉まっている。
名前は確か・・・
(井)「あのお店復活させるの?なら・・・・乗った。人でもいるだろうし、新婚生活に向けて花嫁修業も出来るし。」
何か横で言ってるけど、それより名前は・・・
(来)「では、鬼帝さんというわけで、これから喫茶店RedMoonをよろしくお願いします。」
そうそう、RedMoon。そうか、確かあの場所の持ち主は、権利書地図で見たら・・・・・・・井練だ・・。
何で気づかなかったのだろう。不覚だ。
(井)「同居は、ちょっとだけ辛抱してね。その代わり、今夜は泊めて?」
さすがに、そこは譲らないのね。とにもかくにも、井練家のごた事が片づいて良かった。なぜ他人の家出、話し合うかについては目をつぶろう。
そこで思い出したのだが、やはりこの二人には俺が裏の世界へ由井を引き込んでしまったことについて伝えるべきであると思う。
(鬼)「お二人にお話があります。」
(里)「何?まさか、結婚させてください?」
人をからかうことが非常に上手いとこのとき思ってしまった。
(鬼)「いえ。そうではないのですが、実はある事件に由井を巻き込んでしまったのです。そして私は昔・・・・・・・暗殺組織にいた裏の人間なんです。」
これを機に由井は俺から離れて、大切な家族の時間を過ごしてほしいと思う。恋人として、最低なのかもしれない。しかし、幸せに暮らせるように努めるのは恋人の仕事だと思う。そこで決断したのだ。
すると、二人の顔が一気に青くなる。
(里)「ほんと?」
(井)「そうなの。でも、戊流は悪くない。私たちの仇をとってくれたし。」
二人は目を合わせ、一時的に驚いていた。
(来)「本当ですか?ダブルとか言う男を葬って下さったのはあなたなのですか?」
(鬼)「私が確かに葬りました。」
すると、由里さんと由来さんが同時に頭を下げた。下には涙のしずくが落ちていた。
(里)「ありがとうございます。本当にありがとうございます。」
(来)「実は、あの事件に私達の両親も巻き込まれて死にました。」
(鬼)「すみません。由井を巻き込んでしまって。」
(里)「そんなことを言わないでください。むしろ感謝してます。」
(来)「良かったね・・・由井。」
(井)「うん。」
(鬼)「しかし・・・」
(来)「では、次のようにしていただけませんか?」
(鬼)「と言いますと?」
(来)「私たち三人をこれからも守ってください。」
(里)「ナイスアイディア。」
本当にこれで良いのか解らない。これを機にと思っていたのだが。
すると、由井が雰囲気を変えるように話し出した。
(井)「お姉ちゃん達は弟がほしいだけでしょ。私たちがくっつけば弟になるんだから。」
さすが、由井と思いつつ、一方では三人は結構チームワークがすごいと思う。
(里)「弟かぁ。これからよろしく。戊流。」
(来)「よろしくお願いします。戊流。」
そう言って二人は首に抱きついてきた。この家系は首が好きなのか?
(井)「あー!!お姉ちゃん達ずるい!!私の場所を空けてよう!!」
こんなに家族って言うものが暖かい物なんだと、このとき初めて知った。いや、思い出せたのかもしれない。
そして、由来さんと由里さんは帰る用意をし、玄関に行った。
(里)「じゃあね。戊流クン、夜は遠慮するなよ。襲っちゃえ。」
(鬼)「水面下ぎりぎりの発言はやめてください。それに、襲いません。」
(井)「ちょっとショックだなぁ。」
完全にシャンの一途さがうつっている。
(来)「コーヒーでも飲みに来てください。」
(鬼)「ありがとうございます。」
そうして二人は帰っていった。
夜
由井には悪いが眠たくなる雰囲気を極限まで料理等で醸しだし、客間で寝てもらった。
自分は自室に鍵を掛けて寝た。
安心はしていないが、これで大丈夫だろう。シャンなら、扉を破ってくるって暁星は言っていたなぁ。
さて、なかなか美人さんがたくさん出てきていますが次回は喫茶店の開店日の話です。ウエーターをしているのははたして、誰なのか。
また、感想等待ってまーす。