#014:夜風の音は物寂しい
睡眠時間が四時間切りました。
某廃墟内(ナレ:作)
暗い廊下を進んでいく。
(鬼)「やけに何もいないなあ。」
(井)「ホントに誰もいない。」
すると、登が叫んだ。
(登)「そこだ!!」
足下に落ちていた石を拾い暗闇の中に投げた。するとばさりという音がした。
(鬼)「見張りだな。」
落ちてきた見張りは意識を失っていた。
奥の広場へと進んだ。すると囲まれたらしい。
(?)「おいでなすったーー!」
(?)「これで人を殺せれる!!」
ざっと、十人武器を持つ悪人面がならでいた。
(鬼)「死ね。」
低く静で重い声で言った。
「バキューンバキューン・・・・・」
鬼帝はマガジンを取り替える事無く、つまり一発も外さずに全員をやったのであった。
増悪の念のこもったその顔は不動明王のごとく怒りに満ちていた。
廊下を進むに連れて、待ち伏せていたのが出てくるが虫のごとく消していった。
(鬼)「本的は暁星に任せる。」
(登)「だから他をやらせろでしょ?」
(鬼)「ああ。」
佐藤と井練はただ後ろをついて行くのみ。
(佐)「やすみなよ。体が重そう。」
まだ、二人ともダメージが残っていた。しかしそんなことを言っている暇はない。
(鬼)「時間がない。」
そう言い、鬼帝と登は先を歩く。
(鬼)「言い忘れてたが、由井も佐藤も俺らの顔を見ない方が良い。」
(登)「ひどい顔だから。」
広場の先を進むと、目の前には扉があった。
我慢しきれずに登が蹴り開けた。
「バコーン」
奥にはいつもの美しい藍ではなく、衰弱した藍がいた。四人とも駆け寄る。
(登)「生きてるか?返事しろ!!」
目をつぶっていた藍が目を覚ます。
(藍)「ドンちゃん・・・。これ・・・罠・・・。」
そう言い、また眠りの中へ藍は入っていった。
登の目つきが変わる。いつもの優しい糸目から、目を見開き、鉄のように冷たい機械のような瞳をあらわにした。
(登)「戊流、やっぱりあれ使うよ。」
(鬼)「そこに隠れているやつにやってやれ。」
入ってきた扉とは別の扉から、男が出てきた。
(カ)「君らが何が出来る?」
(鬼)「ハーディーの雇い主か!!」
(登)「あいつは金があればどちらにも付くからなぁ。」
(カ)「さて、賞金首が三人。笑いが止まらんわ。」
(佐)「この人って、メキシカンマフィアのセカンド。」
(鬼)「その通りだ。カゴン・メシア。国際手配を受けている賞金8000万ドルの男だ。」
(登)「CIAもFBIも手を焼いてる。」
(カ)「まあ、どのみちお前らは死ぬのだからな!!」
カゴンが銃を手に取る。すかさず、鬼帝は佐藤と井練を登は藍を抱えて壁に隠れる。
「バキューン」
(カ)「隠れても無駄だ。」
壁のところで鬼帝と登は話す。
(登)「シャンを頼む。」
(鬼)「銃だけを弾く。あとは任せる。」
鬼帝は左手の銃でカゴンの銃を狙った。
「バキューン」
(カ)「くそーー!!あいつらめ。」
壁の中から、登が出る。
(登)「カゴン。今から死ぬ人のみ見られる物を見せてやる。」
(カ)「貴様の師、莉撰帝はわしが素手でやったのだから貴様が勝てるはず無かろう。」
壁の影で鬼帝らはその会話を見ていた。
(井)「登さんの蹴りが上手いのは藍さんから教わったからでしょ。でも殴った方が強そうだけどなぁ。何で殴らないの?」
(鬼)「正確には藍は登に教わった。そして、殴らないんじゃあない。腕を使いたくないんだ。」
(佐)「どういう事?」
(鬼)「それはあいつが今からすることを見れば解る。そして、鋼鉄の異名も。」
再び、登とカゴンの会話。
(登)「あんたは完全に二つ勘違いしている。一つは、我が師は病気で弱っていたこと。もう一つは、今からするのは蹴りではない。」
(カ)「貴様まさか!!」
(登)「そうさ。禁拳・・・八卦急所拳はもう習得した。」
(カ)「貴様、わしが探していた物を!!」
(登)「先には見つけていない。第一、莉撰帝の拳法書は存在しない。我が師の拳法は自然の導きから出来る物だ!!」
(カ)「知るかーーー!!」
カゴンが動いた。殴りにかかる。
それを見るやいなや、登は両手を前後に出し太極図を足のつま先で書いた。
(カ)「くだらん事が命取りだと言うことも知らんのか!!」
あたりそうになった瞬間、登はカゴンの突き出した拳の方向を前に出した右手でそらし、左手でみぞおちを突いた。
(カ)「ぐは!!」
一度、後ろへカゴンは下がる。
(登)「八卦急所拳は己の腕、指先を鋼のように固くすることから修行が始まる。」
(カ)「わしの前では意味をなさん!!」
(登)「今突いたのは、内蔵に最も負荷のかかる場所だ。そしてこの腕は人体なら貫通する。」
(カ)「でたらめを!!」
(登)「あんたは運が良い。銃の弾でなく、この技で死ねるのだから。」
カゴンはしゃべりかけるが、もう関係なかった。人体の各急所点を確実に登は突く。
(カ)「うわぁぁぁあっぁあぁぁあぁ!!!!」
体の至る所から出血していた。
壁の影で鬼帝がしゃべっていた。
(鬼)「あいつは、昔あの技で多くの人を死なせたことから、あの技を封印した。」
(井)「まるで鋼の刃・・・。」
(佐)「あの細い身で・・・。」
(鬼)「そして、あいつの痛点はほとんど人体実験で消された。だからあんな事が出来る。」
その時、藍が意識を取り戻した。
(藍)「皆さん・・・・。」
(佐)「藍さん!!」
(井)「体大丈夫ですか!?」
それに気付き、登も元の糸目に戻って近寄り藍の横で膝を突き、寝ている藍に顔を近寄せる。。
(登)「昔の約束破ってしまった。あのとき助けられなかった。シャン、ごめん。」
すると、弱々しくも藍は戸の首に腕を回す。
(藍)「あなたが生きていてくれるだけで良い。約束なんて良い。これだけで十分。」
(登)「ホントにすまん・・・・。」
今聞こえるのは二人の泣き声と風邪の音のみ。
救出できました。登の見せ場が書けて良かったです。さて次回は藍さんを慰める登のお話。甘めです。