#001:どんな急展開でも冷静が大事!!!
(ナレ:佐藤 彩)
私は、この国は平和な国だと思っていた。何も変わらない日常。淡々と過ごす毎日。自分が生きているかどうかさえ、判らなくなってくる。いつもの日常に、私は退屈していたのだ。あいつが来るまでは。
(ナレ:作者)
春。桜が舞い、人々が浮かれ出す季節。そんな、平凡な日常に突如現れたイレギュラー。
背丈は普通。太っても痩せてもいない。東洋人型。日本人のもっともオーソドックスな見た目である。だが、その男の半径50cm以内に誰も近づこうとはしない。どんなに、地下鉄が混んでいて押し詰め状態でも、必ずその男の周りは空間ができており、誰も近づこうとはしない。いや、本能的に回避しているのだ。近づけば、コロサレルから。
∞ルーム
(男)「作者~。おい、作者~。かっこつけているのはいいが、このお話は、そこまでハードな内容ではないだろ。」
(作者)「急に作者に話しかけてきたこの男こそがこのお話の中心人物、その名は・・・・・・なんだったっけ?」
(男)「作者。人の話を聞かないのは、百歩譲って許すとして、自分の書いている主人公の名前を忘れるとは、どういうこと?」
(作)「まあ、まあ。」
(男)「はぁ。俺は鬼帝戊流。中学二年生。あとは、作者の設定を聞いてくれ。」
(作)「おいおいすねちゃって。」
(鬼帝戊流)「・・・勝手に言ってろ。」
(作)「・・・えーっと、タイから転勤してきて、その前は、ロシアにいた。ちなみに最初の言葉はあとで登場してくる、佐藤彩の声である。」
(鬼)「いいから先に話を進めて!!」
(作)「お前が説明せい言うたんやろ!だいたい何で作者が出てくんねん、話に!まったく、世話が焼ける。ちなみに、大概私が出てきたときはこの∞ルームという、畳換算六畳、全面白のキッチンなし、風呂なし、トイレなし、家賃4500円の部屋に強制的に登場人物は入れられるので、会話だけになりますがご了承ください。ではでは、本編へ。」
新学年 教室 (ナレ:佐藤)
「キーンコーンカーンコーン」
「ガラガラガラ」
勢いよく扉が開き、のそのそと入ってきたのは我がクラス担任、富士剛田だ。
(富)「はやく、席付け!わしみたいに、のっそりしてたらダメやで。」
先生、登場早々それは無いでしょう。
そんな富士先生の話は、はじめしか聞いておらず、私は外を眺めていた。桜の花びらがグランドを舞っている。学年があがったからと言って、何も変わることは無いし、普通で平凡な暮らしをしていた。一時そんな自分を変えたくて、小六の時、伸ばした髪をばっさり切り落としてみたが、効果はいまいちだった。ただ一つ、解ったことはあった。ショートヘヤーの方がシャンプーの減りは明らかに軽減できる。
世間ではこんな気持ちになることを中二病というらしいが、実際、この世界は退屈なものである。しかし、この数秒後、なぜか転校生受け入れ優先順位が八番目のこのクラスに転校してきたあいつのおかげで私の人生は大きく変わった。
∞ルーム
(佐藤彩)「これだけ言っておけばいい?作者!」
(作)「おめーもかよ。第一、何で呼ぶの?作者を!普通無いよ、こんな光景。」
(佐)「そんなこと言ってないで、手を動かす!」
(作)「お前は編集長か!もう呼ぶなよ!自分の出たいときに出るから。」
少し出たがりの作者を置いておいて話は進む。
教室
このクラスのみんなは基本富士先生の話をあまり聞いていない。だから、隣同士話しているのは当たり前の状態なのだが、そのみんなの話し声が止まった。
(富)「今日は、転校生がいます。入ってきて。」
入り口から、一人の男子が入ってきた。そいつがあいつだった。
(鬼)「鬼帝戊流といいます。これからよろしくお願いします。」
至って普通の外見。唯一普通じゃ無いと思ったところは、軍人のように敬礼したことである。私の中で転校生と言えば、頭脳明晰またはイケメンで、3対7でイケメン有利と相場が決まっていた。だが、案外転入生の市場はそんなに簡単なものでは無いらしい。
ここで皆さん、変だと思いませんか。文章が駄文で変だって?それは、許してやってください。それはともかく、進級したらクラス替えがあって、その時転入生がいても前で話したりはしませんよね。しかし、我が道央中学校のクラス編成の先生は面倒なことが嫌いなため、クラス替えがないのです。ただの職務怠慢です。他校がうらやましい。
(佐)「じゃあ、佐藤の席の隣に座って。」
・・・・・・。突然のことにナレーションをすることを忘れていました。
さっきはあんな事を言いましたが、富士先生のこの言葉はうれしかった。なぜなら、生まれて今まで、転校生が隣になったことが無かったためである。席替えしてもよく知る五人ぐらいが順番で隣になっていたなぁ。私って結構、くじ運良いかも?
そんなことを考えていたら、鬼帝がこっちにゆっくり歩いて来ました。少しわくわく。
でも、横に座った瞬間、寒気というか、何というか、こいつには体温がないのかと思うぐらい、寒さを感じた。それは、悲しく寂しいものだった。パッと彼を見上げると、彼の目には人間が本来持っているはずの暖かみが無かった。冷たい目だった。
休み時間
教室(ナレ:鬼)
休み時間というものはどうも落ち着かない。人のざわめき声が非常に気になる。第一、この国は平和過ぎる。俺には不釣り合いなぐらい、平和だ。
そんなことを考えていると、隣の席の佐藤と先生が呼んでいた女から話しかけられた。
(佐)「鬼帝は、前どこにいたの?」
この国の若者は最近、殺意などの敵から受ける意識を感じる感覚が非常に疎くなっているという。そして、相手が敵かどうか判断せずに話しかけるという。なれなれしい。だが、そんなことをこの国の人間に言ったって、どうすることもできない。ならば、相手に合わしてあげるだけである。
(鬼)「タイだ。」
俺の一言で佐藤の目が期待の目に変わってしまった。
(佐)「引っ越し家庭?」
そんなに目を輝かせないでほしい。
(鬼)「まぁ。」
こういう人間は嫌いでは無いが話すのは疲れる。言葉がついつい単語単語となってしまう。
(佐)「分からないことがあったら、聞いてね。」
長引くことを覚悟していたが、その心配は杞憂に終わったようだ。それはそれで良い。
(富)「おや、お二人さん仲がいいねえ。」
めんどうくさい話になりそうな人間がもう一人、割り込んできた。この男も目が輝いている。そんな目で見ても、何も出ないというのに。
(富)「二人に相談がある。明日の生徒会選挙に出てほしい。」
なぜか、この学校は新学期の始まった次の日に選挙を即日募り、即日開票するらしい。このことは、この学校に来る前から、この学校のパンフレット等で知っていた。そう、知っていたのだが、まさかその話が自分に来るとは・・・・・・。
(佐)「富士先生、私はいいですけど、鬼帝は今日来たばっかりですよ。」
彼女の意見はもっともである。生徒会とは、学校を熟知した人間がやるもの。今し方ここに来た人間にやらすのはどうかと思う。
(富)「すべては慣れだから心配ない。私のメンツのために。」
先生が頭を下げていることはさておき、今後の自分について少し考えた。特に、なぜ俺が、この土地に来たのかについてだ。
そして、考えがまとまった。
(鬼)「分かりました。出させていただきます。」
(佐)「えッ・・・!!」
佐藤は不意を突かれたような顔だった。
翌日(ナレ:鬼)
俺と佐藤は、出馬することになった。出馬すると言っても、特別何かをするわけでも無く、ただ体育館のステージ上のいすに座っているだけだった。八人出馬していた。結果は、二年三組、武田弘が会長。二年四組、浜本義男が副会長。一年八組、久保田淋が副会長。残り、俺と佐藤と二年七組、越智田太郎一年五組、岡田千治が実行委員としてえらばれた。何となく作者に「もっと濃く書け!!」と言ってやりたいぐらいだった。でも、又怒られるのもいやだから、やめておく。だが、まだここの奴らは俺の裏の顔を知らない。悲劇の日々になるとうすうす感じていた。
こりゃ、疲れる話を書いてしまったと思います。
処女作の「ガン・トライアル」(連載中)と平行に作ると疲れます。また、舞台が日本なので、人物名に手間取りました。これを読んでいるのは最後まで読んでくれた方々なので、読んでいただきありがとうございました。メール等下さい。さて次回は、生徒会に入った鬼帝と佐藤、妙なテンションの他の生徒会に巻き込まれていきます。#002:誰か一人滑るとあとも滑る。お楽しみに。