キツネさん
それから、しばらくすると……
コンコン、コンコン、コンコン
風邪を引いているのではありません。タヌキさんのライバル、キツネさんです。
「今日は、くまさんのおうちに遊びにいきま~す、コンコン~」
キツネさんは、くまさんのおうちの玄関までくると、
ピンポーン、ピンポーン
「くまさん、遊びましょ」
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン
ところが、いくらインターホンを鳴らしても、返事がありません。
コンコン、コンコン、コンコン
ちなみに、これは、キツネさんが戸をたたいた音です。
「おかしいな。くまさん、いないのかな? でも、それにしては、ドアに鍵がかかっていないぞ」
キツネさんは、ハテと首をひねりつつ、今朝のニュースを思い出しました。
そのニュースとは、隣の町のマンションに強盗が入り、住人を皆殺しにするという、とても恐ろしいものでした。
「くまさん、いますか? 無事ですか?」
ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン
やっぱり返事はありません。キツネさんは、くまさんのことがとても心配になりました。
「くまさん、今、おうちに入りますよ。いいですか? いいですね」
キツネさんは、思い切って、くまさんのおうちのドアを開けてみました。すると……
「あっ、くまさん!」
おどろいたことに、くまさんは、うさぎちゃんたちといっしょに、お部屋の中でゴロンと横になっていました。そればかりではなく、
グーグーグー、スヤスヤスヤ、グーグーグー、スヤスヤスヤ
と、みんな気持ちよさそうに寝息を立てているではありませんか!
「よかった。くまさん、うさぎちゃんたちとお昼寝していたんだ。ということは、今日はみんなで『お昼寝会』に違いない。じゃ、キツネさんも、いっしょに寝よう」
キツネさんは、ライバルのタヌキさんの隣で横になりました。
「おやすみ~」
グーグーグー、スヤスヤスヤ
森の「お昼寝会」は、さらに続きます。