表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
清隆学園の一学期  作者: 池田 和美
29/29

蛇足

 使用上の注意


 蛇足の使用に当たっては一度本編を読み終えてからの方が適切と考えられるので、まず本編をお読み下さい。

 なお蛇足の「行」は本編の該当行の目安で、(作者の数え間違いや書式変更などで)多少前後していても広い心で利用していただければ幸いです。

 そしてお知らせですが、この作品に登場する人物、団体、事件などは、実在の物とは関係がありません。また、たまに物理法則を無視する時もありますが、面白さ優先の法則で、これまた広い心で許していただければ幸いです。


 タイトル:『四月の出来事』

  この作品群は池田和美が学生時代という遥か昔に…、い、いや、ちょっと前に、相方の酩酊庵酔夢と一緒になって書きためたネタ帳が元になっていますので、エピソードの数だけはやたらあります。それなので時系列が判りやすいように最初の作品群を『清隆学園の一学期』としました。

  また個々のエピソードは整理に便利なようにタイトルは『〇の出来事』で統一していきます。どうしても原則から外れたいときは、副題をつけるようにしたいと思います。

 登場人物紹介:

  ここは『妖精作戦』へのオマージュなのです。和美が持っている各キャラクターのイメージは次のとおり。(勝手ながら人物の敬称略)

  ・藤原由美子 …165センチを超えるくらい。中肉。声のイメージは昔のメモでミライ・ヤシマ(白石冬美)とある。最近の声優さんならM・A・Oかな?

  ・郷見弘志  …175センチを超える。痩せ形。声は酩酊庵が石田彰を推薦

  ・不破空楽  …170センチを超える。ガッチリ形。昔のメモに次元大介とある。今なら声は中村悠一か?

  ・権藤正美  …170センチ前後。ヒョロ。彼だけは昔のメモにイメージする声の名前が無い。今なら下野紘? 弱いところがあるツッコミということで。

  ・佐々木恵美子…170センチ前後。ブッチギリで理想体型。昔のメモにゴシック体で「戸田恵子さま」と書いてある。今なら伊藤静?

  ・岡花子   …160センチぐらい。痩せ形。声は酩酊庵一押しの能登麻美子。

  古いイメージがあるのは、同時にこのシリーズの歴史を物語っているのです。そしてもちろん和美の脳内だとこの声でセリフが再生されているという目安で、絶対他は認めないという物ではありません。読者諸兄が好きな声を想像して下さい。


 四月の出来事


★序

 1行:電車。

  やはりジュブナイルは新宿から多摩地区へ向かう電車で始まらないと気が済まない和美。もちろん『妖精作戦』の影響である。

 同:清隆学園高等部

  場所は、都立府中西高等学校が存在するあたりと設定している。ただし後々出てくる校舎などは大分違う。

★1

 4行:小池先生。

  モデルあり。

 15行:ジャンケン。

 『ママと遊ぼうピンポンパン』での掛け声でした。志村けんが「最初はグー」を発明するまで全国統一規格がなかった。

 21行:権藤正美。

 『正義の三戦士』(自称)が一人、権藤正美登場。彼は普通の人なので、三人の中で主人公の役割を担っている(はず)目立たない気がするのは、他の二人の個性が強すぎるから。自覚があるのに修正しない確信犯な和美。

 29行:組み分け。

  清隆学園中等部から進学したのが『進学組』と呼ばれる。都内に存在する他の中学校から受験してきたのが『受験組』。ほかに他道府県から受験した『留学組』が存在する。

 37行:不破空楽。

  三戦士が一人、不破空楽登場。彼がいきなり先生に居眠りを怒られているのは、和美が酩酊庵を人生で初めて認識した時と同じ情景だったりする。

 46行:チョーク投げ。

  いまや教師による生徒への暴行行為である。でも和美が学生の頃は、女子にだろうと鉄拳どころか蹴りが飛んでくるのが当たり前だったけどな。チョークを宙で挟み止めているのは『北斗の拳』でよく出てくる技。

 70行:寝ぼけ。

  少しシャッキリしていればクラス女子から人気が高かった人を、和美も一人知っている。かつての彼も黙っていれば美少年だった。いまじゃ呑んべえのオッサンだけどな。クラスの女子から彼の事を聞かれることは多かったなあ。でも本人に教えなかった確信犯。

 76行:石見氏。

  空楽が石見直系という設定を考えたのは酩酊庵。そして馬鹿正直に歴史書や立川文庫で家系を調べたのは和美。

 86行:怪しいブロックサイン。

  昔見た『俺たちは天使だ』でよくやってた。

 107行:郷見弘志。

  正義の三戦士が一人、郷見弘志登場。彼が女顔なのは『ここはグリーンウッド』の影響である。

 131行:クジ引き。

  この結果が偶然か必然かは、和美には判断できない。知り合うきっかけが昇降口で部活の勧誘に捕まるとかじゃなくてよかったね。

 138行:山梨県の合宿所。

  母校の部活が夏合宿で行く先になっている都の施設がモデル。

 180行:トーマス・ミジリー。

  実在の科学者。彼の発明品にろくな物がなく、伝記を書いたらネタとしか思われない人物。最期は、自分の発明したベッドから楽に起き上がれる装置に首が(物理的に)絞まって死亡した。

 191行:図書館十進分類法。

  知っていると結構便利。もちろん図書館勤務の経験がある和美はだいたい憶えてる。五一九は「公害」に関する本。前項の科学者が「有鉛ガソリン」と「フロンガス」の発明者なので、大体ここら辺りで彼に関することが学べる。九一三は日本文学の小説。ラノベとかは九一三の六になる。

 216行:「ただの人間には興味ありません」

 『涼宮ハルヒの憂鬱』で主人公が放つ有名なセリフ。

 240行:長期入院。

  弘志が中学の時に入院していた理由は『六月の出来事』で騙られる予定。

  (あ「うっかり」という名の故意で誤字に)

 262行:大事。

  たしかに空楽の言うとおり男子に朝の起立は大事。ただ、あまり性欲には関係なくて尿意による刺激らしいけど。

 274行:鉄道模型。

  NとかHOとは、鉄道模型の縮尺の違い。日本で主流なのはNゲージの1/150。HOで1/80。一番ゲージは1/32。一番ゲージとなると模型では巨大である。

 279行:デハ七〇。

  同じ名前でも会社が違えば別の車両となる。一畑電鉄は島根県東部にあるマニア好みのローカル私鉄。片や世田谷線とは東急世田谷線。走っている電車の種類どころか使用電圧や線路の幅まで違う。

 288行:鉱山鉄道。

  まだ日本にも結構な数の鉱山専用に敷設された鉄道が多い。大抵は坑道から工場や港まで鉱石を運ぶだけのために存在する。それを鉄道模型で再現する時には、車両がとても小さいので、縮尺は1/80でも線路の幅をNゲージと同じ九ミリにすることが多い。バテロコやナベトロなどの単語を愛用するようになったら末期症状である。

 297行:Bトレ。

  正確にはBトレインショーティー。バンダイが発売している鉄道模型で、高さと幅は忠実にNゲージなのだが、長さだけはおおよそ七〇ミリに統一しているトイ感覚溢れるモデル。と思っていると侮りがたし。実際に手にすると中々の出来に感心する。

 302行:変色。

  握手をして相手の手指に変色などがあるのは、世界一有名な諮問探偵シャーロック・ホームズの真似。彼と同じように弘志が化学実験好きという設定を考慮して。

 306行:往復運転。

  一本の線路を敷いて、ただ行って帰ってくるだけの運転方。なんともしょぼい嗜好法かと思いきや、大きな縮尺の模型だと存在感に圧倒される。

 349行:江戸城西門。

  地名どころか地下鉄の線名にもなっている半蔵門のこと。もちろん名前の由来は服部半蔵である。

 360行:世を忍ぶ仮の姿。

  最近では特殊なメイクをした相撲解説者としての方が有名になりつつあるデーモン木暮閣下がよく使うフレーズ。

 399行:携帯ゲーム機各種。

  さて君はどれだけ判るかな? ゲームウォッチは一定以上の年代には郷愁を感じさせる。ワンダースワンは『新世紀ヱヴァンゲリオン新劇場版』で有名になった。ヴァーチャボーイを憶えている人っているのかしら?

 429行:ジャンケン。

  三人の中では比較的に正美がくじ運が悪い傾向にある。同じようにジャンケンでも他の二人に敵わない。

★2

 25行:ニコニコ。

  いつもニコニコあなたの横に這い寄るのは、クトゥルフ神話における邪神ニャルラトホテプのはず。まあ弘志もジョーカー役だから似た者同士だな。

 31行:正美の思考。

  まだ知り合って間もない頃だから、正美のいらん一言が炸裂することは少ない。よって口には出さずに色々考えている描写となる。

 70行:アルギン酸ナトリウム。

  胸焼けの時に処方される薬の主成分である。さらっと出てくることから、弘志の薬学の(偏った)知識が判る。

 119行:ハレー彗星鑑賞会。

  普通に天文部でいいんじゃね? もちろん活動は七六年に一度である。ちなみに清隆学園には普通の天文部もちゃんとある。

 175行:新聞部の勧誘。

  かつて同人誌のオマケで作った『清隆学園の人々』に入れたコント。これを本編に入れたくて、この章をわざわざ挿入した。でも最近はこうやって勧誘に来ること自体が無くなったねェ。

 187行:非常階段。

  非常階段の使用禁止は建前上そうなっているという設定。しかし使用すると校舎の中で上下方向の移動に便利なため、取り締まりが緩くなっていると考えた。

 175行:ポール・ヴェルレーヌ。

  詩人。和美の偏見では、なんか蝶よ花よというお嬢さまが読んでいる気がする。

 189行:ルルカンバ様。

 『フルーツバスケット』でアーヤが咄嗟に並べまくった怪しげな宗教の神さまである。

 138行:郷見くんの方をより見て…。

  中学校時代に長期入院をしていた生徒だから心配しているのではないかと思う。

★3

 85行:もしかしたら強盗に…。

  まず最悪の事態を考えるという弘志の思考形態と、(まだ)普通の高校生である正美の思考形態の違いが出ている。

 96行:弘志のスマホ。

  と見せかけて実は小型モバイルかもしれない。彼が超天才という設定がお好みの方は彼の自作でもよいとする。可能性としてはメーカーへの特注品が一番高いだろう。別の事件で某組織から入手した、でも面白い。

 120行:どうやったかまったく判らなかった。

  前項と同じように弘志が超天才ならばスマホへハッキングするなんて簡単。これ以前に正美のスマホに細工をしていたというのが現実的。

 257行:新井尚美さん登場。

  彼女は空楽と直接出会えないという裏設定がある。

 289行:内藤さん登場。

  彼女は『清隆学園の人々』の登場人物からの再利用。

 414行:最近あった交通事故。

  合格発表の日に清隆学園近くで大型トラックが受験生を撥ねるという事故があったという設定がある。そちらは別のエピソードとしていずれ。

 494行:二人が熱く語っているSF。

  話しの内容から『妖精作戦』だということが判る。

 515行:空楽の酔いどめ。

  後の弘志による薬効の解説でも判るとおりアルコール類であることに間違いない。個人差があると思うが、乗り物酔いを防ぐために飲むと、じつはエラい目に遇う。また後で『ロボットが呑むと踊り出す』っていうのは『ガンヘッド』ネタ。二〇〇一年産ウィスキーをこう呼ぶ。

 656行:尾道の長い階段を落ちる映画。

 『転校生』ですな。最近じゃ『君の名は。』なのかな?

 725行:甘酒。

  ネタは酩酊庵が学生時代に実際に起こした面白エピソードだったりする。またツッコミ担当の由美子の出番がまだなので小池先生が代役になっている。

★4

 54行:力強い男性の声は弘志の演技。

  遭難時に恐ろしいのは集団がパニック状態に陥ることなので、練習していたと推察。彼がなんでそんな練習までしていたのかは『六月の〜』を参照のこと。

 103行:デイライツ。

  ハリウッドのパニックムービー。内容は弘志の説明でだいたいあってる。

 153行:ワンボックスのオバサン。

  気絶しているのはエアバッグに叩かれたため。実際の交通事故でも衝突の衝撃よりも、エアバッグの膨らむ勢いの方が強いときがままある。

 173行:空楽の赤樫の木刀。

  弘志が「こんなこともあろうか」と色々なアイテムを持ち出してくるのに対し、この赤樫の木刀は理屈抜きで空楽の背中から出てくることになっている。

 216行:車載工具。

  最近ではオプション装備になって載せてない車も多くなった。でも仕事に使う車なら載せてあるだろうと推察。

 220行:車のキーの説明。

  免許を持っていない人には必要な説明と思われる。回さずに抜こうとすると内部で折損しエンジンが切れなくなることがある。でも最近の車は押しボタンでエンジンがかかったりするのが普通になってきた。

 241行:工具袋をズルズルと引きずり出した。

  車載工具が搭載されている位置は、車種によってまちまちである。弘志はそれも把握していたということ。ここではトヨタハイエースを想定し、収納場所を後部座席に上がるステップの厚み部分としている。

 276行:空楽が声をかける相手。

  初期の稿では花子が一人で歩いて来ていました。が、女子ではそういうことはないだろうと思い直し、女子の一個集団に直した箇所。集団ならオバサン一人ぐらいなら運べるんじゃないかな。

 298行:正美の落語演目。

  寄りによって「死神」である。

 359行:ドラゴンヘッド。

  謎の煙で滅びてしまった日本を彷徨う高校生の話。話しが修学旅行の新幹線がトンネルで止まって始まる。ちなみに和美はこの映画を見たことがない。

 400行:正式に藤原由美子姐さん参戦。

  ここより腐れ縁が始まるが、まだ普通の女の子に見える。

 403行:学園(裏)投票。

  ネタ的には『ここはグリーンウッド』の第一話あたりがヒントになっている。あれより平和で害が無いと思うのだが。

 457行:捜索。

  初期の稿では運転手さんと別れた後で、弘志がみんなに遭難救助用発信器を渡すシーンがあったが、読んだ仲間内の誰もが理解できないようなので削除した。みんな「携帯でいいんじゃね?」と言ってくる。携帯程度の電波じゃ出力が弱くて埋まった地下と地表の間では届かないと思うのだが。

 512行:『学園のマドンナ』佐々木恵美子嬢登場。

  ヒロインにしては、いきなり酷い扱いではある。

 564行:着替え。

  全部替えなくてもいいと思うが、ここはあえて総取替えで。おそらく汚れているのはブラウス、スカート、そして下着類。ただ設定としてサニタリーバッグをバス車内に持ち込んでいるとしたので、予備の下着はその中から出てきたのだろう。もしかしたら制服の上着を羽織るかもしれないが、トンネル内にはエンジン等からの熱が籠もっていると想定し、ジャージのみ着用でも寒くないとした。外へ避難してから寒くて後悔したかも。

 579行:『学園のマドンナ』恵美子が正式にエントリー。

  そういえば初期の稿で彼女の容姿を表現していなかったので、入れてみました。

 607行:受け止め…。

  美少女を正面から受け止めるなんて、正美め役得である。

  いちおう再度記すが、彼が三人の中では主人公の立ち位置にいる(はず)

★5

 26行:サイリュウム。

  判りづらい方はアイドルのコンサートでファンが振り回している光る棒 といえば理解できるかな?  軍隊も夜間作戦に使用することがある便利道具だ。『ランボー3』で印象的な使い方をしていた。

 48行:由美子を抱きしめてワンボックスへ避難した弘志。

  果たしてこういった状況が起こりうるか検証してみよう。

  まず後部座席だが、弘志の設定身長(176センチ以上)に長さが足りない。よって最初の「あいてて」は、扉とは反対側の壁に頭をぶつけたことによるものかもしれない。トヨタハイエースのワイドサイズでは160センチ(実測)ほどの長さしかないのだ。

  また後部座席の高さが弘志の腰ほどもあるので、いくら飛び込んだとしても、一気にそんな奥まで入ることは非現実的だ。

  ただ近年発生した笹子トンネル崩落事故を見るかぎり1トン以上の物が車に降り注いでも、後部座席の背もたれで潰れるのが一旦止まるのはアリな状況と言える。

  以上のことから推察すると、膝から下は車外に出たままということになり、まったくの架空の状況と言える。ま、ヒーローとヒロインのちょっぴり甘酸っぱいシーンの演出と思って許してください。

 77行:酸素。

  二人は酸素を心配しているが、そんなにせっぱ詰まっていないはず。なぜなら床下に空気がまだあるはずで、ドアが開けっぱなしだから、そこから補給されるはず。もちろん外気よりは悪条件である。

 95行:デイビット・ハーン。

  実在した、自宅のガレージで原子炉を作ったというマッド・スチューデントである。こんな人物が世界にはいるんだから、弘志みたいなぶっ飛んだ高校生がいてもおかしくはないのではないか? 彼と同じ物を作っているって、冗談だよね弘志…。

 163行:ガンヘッド。

  和製SF映画の名作である。和美は映画版の敵デザイン以外はすべて許せる。敵のデザインさえよければ…。

 210行:由美子初の拳撃。

  このシーンを書くために『四月の出来事』が存在するといって過言ではない。普通の女の子だった(はずの)由美子が、なぜあんなに正義の三戦士たちへ拳を飛ばすようになったのか、そのきっかけを説明したかったのだ。

 372行:弘志の常識。

  世間の常識とは大きくかけ離れる。そしてなぜだか和美もそう言われる。

 378行:麻薬にも詳しい弘志。

  こんなことだから『六月の出来事』であんなことに…

 402行:黙って…。

  ときおり弘志が黙るのは聴覚によって周囲の状況を判断しているため。それが判らない由美子は、その度に不安がぶり返している。

 451行:ごめんね。

  弘志の精神状態も、実は死の恐怖でせっぱ詰まってきているので、こんなセリフが出てくる。

 485行:腹の虫。

  説明が重複するが、こんな時に空腹を感じるとは、由美子が只者ではない証拠である。

 587行:春に出会ったら…。

  こんなことを言ったから『十月の出来事』であんなことに…。

 646行:痴漢撃退用アラーム。

  というわけで弘志の怪しい発明品の代わりにこれで発見されるというように変更してみました。より自然でしょ。

★結

 38行:トンネルの崩落原因。

  これ自体が他のエピソードのネタになっていたりする。

 81行:『王子』。

  由美子のアダ名がコレになった説明はココでしかしていない。

 97行:もう…。

  そして幕間1にそのまま続いて腐れ縁が復活したでもいいし、しばらく時間が経ってから幕間1の事件があったことにしてもいい。どちらにしろ事件直後には、由美子はもう普通の生活しか巡ってこないと覚悟していたということだ。


 ★幕間1


 57行:1フェムト秒。

  1秒の千兆分の1である。もしアナタが1フェムト秒毎に一回ハリセンを振ることが出来るなら、伊賀電が赤射してシャリバンになる間に1兆回もツッコミが入れられる。

 96行 :ここからヒーローの必殺技のオンパレードである。

   ・スペシュウム光線は有名な『ウルトラマン』の必殺技。

   ・ライダーキック。もちろん『仮面ライダー』の必殺技。

   ・電磁エンド。和美の大好きな『人造人間キカイダー』の必殺技。

   ・ブラストエンド。キカイダーの兄『キカイダー01』の必殺技。

   ・地獄五段返し。『キカイダー01』の敵であるハカイダー五人衆の必殺技。

   ・牙突。我が娘の必殺技…、ではなく『るろうに剣心』のライバルキャラ斎藤一の必殺剣。

   ・天翔龍閃あまかけるりゅうのひらめき『るろうに剣心』の主人公である緋村剣心の必殺剣。

   ・チャージアップ。『仮面ライダーストロンガー』が強化体へなるときの掛け声。

   ・スーパーエレクトロン。『超電子バイオマン』後半に、特訓において編みだされた必殺技。

   ・ブローアップ。『ロボット刑事』の主人公Kが後半に使用できるようになった必殺技。

   ・ゼーバー。『イナズマンF』において主人公のイナズマンが使用するアイテム。

   ・クロスカウンター。『明日のジョー』に出てくる必殺技。有名だが実はライバルの力石徹の技。

   ・超級覇王電影弾。『機動戦士ガンダムG』における主人公ドモンの師匠東方不敗の技らしい。

    和美は放送を全部見てないからよく知らない。

   ・三〇年パンチ。これだけは伏せ字なし。なぜなら超マイナーなマンガ『仮面ボクサー』の必殺技だから。三十年分の寿命をこめて放つパンチとされているが…

   ・ライダーパンチ。『仮面ライダー』のもう一つの必殺技。

 141行:必殺アームストロングパンチ。

  ある日、ふとトイレに入っていたら天啓のように閃いた名前。由美子にお似合いなネーミングだと思う。

 159行:銀河万丈。

  80年代のアニメでナレーションを務めることが多かったので、つい。


 五月の出来事


タイトル :『五月の出来事』

  内容を読めば判りますが、元ネタは有名なデュマの『三銃士』なので、当初は『三戦士の三銃士』とかも考えたこともありました。でもやっぱり統一規格通りに『五月の出来事』としました。日付をまったくゴールデンウィークの最中としなかったのは、もっと面白いネタを思いついたらその開いた時系列に突っ込もうと考えた結果です。元のプロットではゴールデンウィーク全てを使って逃げまどうという案でした。使う交通機関も陸海空全てを予定していましたが、全体の長さの関係や、ダラダラと同じような事件が続くのでは飽きてしまうだろうと思い、こういった形に。ネット掲載するなら元に戻すこともできましたが、完成後にバランス的にちょうどいいかなと感じていたため、時代が変わって弄らなきゃいけない設定以外はそのままとしました。

★1

 55行:ちょっとした事件。

  もちろん『四月の出来事』で起きたトンネル落盤事故のことである。

 77行:ジェイソン・エイリアン。

  和美がたむろっていた母校の図書室に、ユキちゃんのモデルとなった人が書いた『エアーナイトウルフ2000』という『ナイトライダー』と『エアウルフ』を混ぜたようなイラストが遺されているのは本当。ちなみに彼はホラー好きでした。

 99行:病院で嗅ぐような臭い。

  いったいどれだけ深酒すればこんなになるのだろう?

 121行:コジロー。

  佐々木恵美子のあだ名であるが、由美子の「王子」という呼称と並んで自画自賛する設定なのだが、みなさんはどう思うだろうか?

 122行:部活を終わらせて…。

  たまたま今日の剣道部の活動は昼食までであったのだろう。理由は複数思いつくが、空手部などの他の部活が剣道場を使用するスケジュールだった、あたりが一番無難と思われる。

 140行:ハンフリー・ボガード。

  ハードボイルドで有名。ハードボイルドがいかなる物かを知りたい者が火浦功を読むと道を間違える。

 185行:窓際の席に座った誰かが…。

  もちろん空楽のこった。

 311行:株式総会議決権委任状。

  初期の稿では株券を回収する話しだったのに、株式全面電子化のせいで、それが出来なくなってしまいました。悩んだ末に友人に教えて貰った裏技のような結果。動機付けにはちょっと弱かった気がする。大量の社債の方がよかったかな?

★2

 1行:調布飛行場。

  もとは陸軍の基地だった飛行場。いまでも伊豆諸島向けの小型機が定期便として飛んでいる。たまに個人所有のビジネス機も離発着するので、不自然ではない。ちなみに六人が乗っているビジネスジェットには特定モデルはない。

 25行:ソロバン。

  なにを計算したのか判らないが、おそらくガジェットとしての意味しかないのであろう。弘志が天才的頭脳を持っているという設定が好みの方は暗算で導き出した答え、そうでない方は東京−福岡間のジャンボ機による所要時間からの推測から出した答えということでどうだろう。

 32行:四次元ポケット。

  もちろん未来から来た猫型ロボットの装備品。弘志のディバッグは前回ポンポンとロープや懐中電灯が出てきた。

 48行:こんなこともあろうかと。

  宇宙戦艦ヤマトの真田さんの有名なセリフ。と思いきや友人によると一回もそんなことを言ったことはないんだとか。星一徹のチャブ台返しもシリーズ通して一回しかなかったと言うから、こうして都市伝説は生まれていくという好例ではないだろうか。

 67行:株式の確認…。

  本当に法律で二ヶ月前に確認を行わなければならないことになっている。その時に委任状が無いということは造反もあり得ると取られることもあるということだろう。

 99行:高度二一〇〇。

  おそらく単位はフィートであろう。そうするとメートルに換算して約六三〇メートル。だいぶ低くなったが、いずれにしろパラシュート無しでは即死確実である。

 123行:電子音。

  いやマナーモードにすれば音は全くしないはず。おそらく弘志は自分がキップの手配をしていることを、空楽に印象づけるためにそうしているのであろう。

 143行:タクシー運転手。

  怪しい方言を話すが、まったくのデタラメである。現地の方が読んだら馬鹿にするなとお怒りになるかもしれない…

 194行:ナトリウム灯。

  身近なところではトンネルの中の照明や、大きな体育館で見ることができる。最近大型LEDの登場で少なくなった。

 264行:恵美子の誤解。

  弘志と由美子の仲を誤解する人物は貴重ではないでしょうか?

 293行:それは同じサンライズでも…。

  巨大ロボットが活躍するアニメを制作することで有名な株式会社サンライズ。代表作はやはり機動戦士ガンダムであろう。ここでネタになっている「銀の翼に…」というのは、そのサンライズが制作したやはり巨大ロボット物アニメ『勇者特急マイトガイン』の主役ロボ「マイトガイン」が登場したときのキメセリフである。

 297行:サンライズエキスプレス。

  説明は本文中でやってしまっているので、蛇足では愚痴などを。元では六人が乗る寝台列車は寝台急行『銀河』だったが、まさか時代が変わって廃止されるとは思わなかった。サンライズエキスプレスが廃止されたらどうしよう…

★3

 31行:電子レンジ。

  ジャンボなんかはフライトアテンダントが搭乗しているが、ビジネス機での搭乗は無理だろう。ただ女性秘書などをそういう役目で搭乗させている場合もあるかもしれない。今回は高校生たちがお客ということで、そういったオプションはまったくなく、由美子自らの手で食事の用意となった。

 40行:会社へ請求。

  もちろん会社の公務を社長の代理で行っているのだから、必要経費という奴だろう。

 89行:さくら五七四号。

  ちゃんと時刻表を調べました。

 161行:名古屋か浜松。

  両方とも元は陸軍の基地。ビジネス機の緊急着陸に適当と思われる。和美の同居人は三保飛行場を推薦してきたが、滑走路長が五〇〇メートルしかないし、駅から遠すぎるので却下しました。

 168行:所沢。

  正確な名称は東京航空交通管制部といい東北地方南部から中国地方東部までの航空管制を管轄している。所在地が埼玉県所沢市並木であるための呼称である。ここに許可を得ないと航路の変更もできない。

 198行:「線路は続くよ」

 『四月の出来事』に揃えたわけではありません。本当に岡山駅の列車到着メロディなのです。

 202行:世界でも珍しい電車による寝台特急。

  世界の常識では寝台車は客車列車なのだが、鉄道技術が世界一発達した日本では寝台車すらも電車で作ってしまったのだ。

 203行:連結風景。

  じっさいの岡山駅における連結風景を再現しようと気張ってみました。

 232行:ハウスメーカーに発注。

 「やっぱりミサワだな」のミサワホームに発注したのだそうな。ブルートレインに比べて、とても洗練された物になりました。

 242行:前はカーテンが…。

  のびのび座席には仕切りのカーテンがあったのに、なぜ取り外されてしまったのでしょうか? と思ったら、この間テレビでカーテンが下がってた。どっち?

 256行:チャドル。

  イスラム教徒である女性がまとう服装の内、顔だけ出して体も髪も覆い隠す物を言う。地方によってそれぞれ違う服装なので注意。

★4

 1行:名古屋空港。

  初稿を書いた頃に取材した時と、だいたい利用規程は変わっていないはず。官民共同も相変わらずだ。変わる物もいいが、変わらない物っていいよね。

 75行:スタンガン。

  ガンという名称で銃器と間違えられたので、しつこいぐらい形状を説明している。このぐらいの威力の物が専門店でもなく簡単に買えてしまうようになってしまって、物騒この上ない。

 84行:目を閉じろ。

 『クラッシャージョウ』好きなんですよ。ここでは乾電池がアートフラッシュというより光子弾のような使い方になってしまった。ここらへんから救急隊員(の格好をした襲撃者)との格闘は、クラッシャージョウでありそうな感じで書いてみました。

 88行:酸化鉄とアルミニュウムの粉末。

  テルミット爆薬の成分である。ただ空気中でアルミニュウムはアルマイトへ変成してしまうので、製造することはとても難しい。また携帯するには安全装置に一工夫必要だろうが、まあそこは弘志が化学実験好きだから克服済みということで。

 118行:バッシュ。

  弘志はバスケットシューズを愛用しているという設定。六〇〇Vの電圧がかかった金属の上に立っても感電しないとか、色々と試行錯誤の上の選択であろう。もちろんボロくなるにつれて絶縁性能は下がるので、定期的に買い換えているのではないだろうか。

 122行:ギヤをドライブに入れ…。

  初稿ではマニュアル車でしたが、ここではオートマチックに変わっています。業務用の車までオートマ化が進んでいる現状と、動かし方さえ知っていれば走らせられる点で、周囲に何もない飛行場でなら運転免状を持っていない弘志がハンドルを握っても大丈夫だろうと判断しました。

 128行:シートベルト。

  事故の時に身を守ってくれる安全装置だから着用したというより、車種により運転席のシートベルトを装着しないと自動的に速度が出なくなるような車もあるからという理由である。もちろんその知識も弘志は持っている。

 143行:拳銃で…。

  銃弾が音速以下で飛んできたためそう判断したと思われる。ただサブマシンガンの単射でも同じ現象が起きる。

 191行:助手席から…。

  取りだしたのはM16などの軍用アサルトライフルと思われる。車内で取り回すのには大きすぎるので腕ごと車外に出したのであろう。その後に筒先だけ差し出される銃は、貫通力の無さからサブマシンガンと推定される。

 227行:救急車は…。

  初稿では横転までして派手に止まるシーンなのだが、やはり中の二人が無事で済みそうで無さそうなので、おとなしめに修正。最新のオートマでは急ブレーキを踏んでもタイヤがロックしないように車が勝手に判断してブレーキ圧を調整する。ここではサイドブレーキも引いているのでスピンしたということにしておく。

 252行:後部ドアから…。

  運転席と助手席のドアを使用しなかったのは、それが目立ちすぎる行動だからである。

 444行:空港からチャリンコ…。

  初稿では二人して歩いたことになっていました。最近のサイクリングブームで、ここで自転車が出てきてもおかしくないだろうと判断しました。本当は弘志がパチる情景も用意したのですが、まあ色々な理由で断念します。

 458行:小型ジェットの…。

  ビジネスジェットは緊急着陸するし、所属不明のクラウンが走り回るし、さらに自衛隊機の暴走と、空港関係者が忙しくなった隙をついて由美子と弘志は名古屋空港を脱出したということ。

 467行:たった二時間ぐらい。

  本来ならばそんなに時間のかからない距離ではあるが、弘志はともかく由美子の体力消耗を考えて、このぐらいの時間がかかると判断しました。

 470行:運転停車。

  東海道本線はATS信号の関係で、どのような列車でも名古屋駅には一旦停車しないと、エラーが出て緊急ブレーキが作動するおそれがある(信号体系がまったく違う新幹線は除く)このように客取り扱いをしない駅への停車を運転停車と呼称する。

 477行:ドアコックとか…。

  迷惑だから走行中のドアコックを操作するのは止めましょう。捕まると罰金が待ってますし。乗務員扉の方は簡単な構造の鍵しかついていないので、知識があれば開けられます。

★5

 72行:背中から一振りの木刀を…。

  空楽の木刀だけは理屈じゃないんですよ。

 156行:十四両編成中の十両が…。

  正確には上り列車の場合、三、五、十、十二号車が一階建てで、他が二階建てとなる。動力車は台車の関係で二階建てに出来なかったのだ。もちろんその四両は乗り心地もよくない。もし利用される機会があるなら座席指定を注意した方がお得である。

 169行:空いていた客席の…。

  サンライズエキスプレスでは利用客のない部屋は扉が開けっ放しとなる。ベッドは進行方向に向かって平行方向。

 174行:静かな足音が近づいてきた。

  足音よりも走行音などの騒音の方がうるさいはずだから、本当は足音がそんなに聞こえないはず。ここは物語を盛り上げるための演出と取っていただきたい。

 209行:手が空振り…。

  貸したばかりで忘れるなんてお茶目さん。本当は貸した前のシーンを書いてから、貸した後のシーンを書くまで現実の時間が相当開いていたためのポカだったりする。だがこれで空楽は木刀を一本しか携帯していない説明とするべく残した。

 266行:由美子を押し倒す弘志。

  こういう艶っぽいシーンを酩酊庵が書かないので、仕方なく用意したシーンである。と、言い訳をしておく。

 366行:レミントン社のダブルデリンジャー。

  ポケットサイズの小さな拳銃である。西部劇でガンマンがテンガロンハットの裏に隠し持っていたりする。至近距離ではもちろん殺傷能力がある。この場合、襲撃者は銃器を見せることにより高校生たちが降伏してくれることを望んでいたが、それがならずに発砲に至っている。本来ならば腹部を狙うべきだが空楽の胸に当たっているのは、揺れる狭い通路の上、至近距離という悪条件であるからだろう。

★6

 28行:車端部へ…。

  サンライズエキスプレスの先頭車には、連結側にしか出入口がない。本文中で説明しているが、先頭(最後)部側には車掌が乗務で使用する乗務員扉のみである。

 58行:脇の客室。

  14号車の1号室は二階建て部分ではなく、ホームの高さとなる標準レベルに設けられている。乗務用の設備を除くと、車端部にはこの部屋と通路しか存在しない。

 90行:コルトポケット…。

  アメリカ軍が長らく愛用して有名になったガバメントを縮小してポケットサイズにした銃である。こういった工作には薬莢が自動排出される自動拳銃は証拠を残しやすいので忌避すべき選択であるが、サイズの割に多くの弾が装弾できる利点を取った物とする。

 106行:いちおう安全距離は確認したつもり…。

  真っ赤な嘘である。ジェット燃料の引火性を考えたら静電気だって危険な距離しか離れていない。まあ、ここでは口先勝負になっているので大目に見て上げてください。

 116行:石つぶてていど。

  デリンジャーは貫通さえしなければその程度しか威力はない。

 140行:第三ボタン。

  志穂美悦子さんのこれを外すと小型水爆が作動する。というネタは特撮の『人造人間キカイダー01』を見た人でないと判らない。劇中で彼女が演じている人造人間マリが激痛回路で苦しみ出すと、決まって主人公のイチローが「手当てをしなければ」とボタンを外しはじめるというのが一つのお約束だった。もちろん第三ボタンに手がかかったところで邪魔が入るのもお約束である。いま考えるとなぜ手当てで脱がさなければいけないのかが判らない。

 147行:空楽のクナイ。

  酩酊庵の書くネタの方ではどうだか判らないが、和美の場合は空楽の持つクナイは一本と決めている。大人の特撮物と化した時代劇の悪影響で、何本もクナイを持つ忍者がいるが、あれは正しく棒手裏剣であるべきだ。もちろん時代劇を見て育っている世代なので空楽が誤解している可能性もあるが…

 162行:『荒野の1ドル銀貨』

  マカロニウエスタンの傑作である。和美の亡母も大好きであった。ジェリアノ・ジェンマは(最近の日本語表記ではジュリアーノ・ジェンマ。でも和美的には昔の方)主人公のゲイリーオハラを演じた俳優さんである。(吹き替えは故・野沢那智だった)無茶苦茶格好いい。ちなみに『続・荒野の1ドル銀貨』という、同じジュリアノ・ジェンマ主演の映画があるが、まったく違う映画である。

 205行:弾丸が命中…。

  和美の裏設定的には弱装弾で弾頭は非殺傷性のプラスチック製としている。ここで藤原文孝の家族を殺傷してもマイナスはあれどプラスにはならないのがその理由。ただし、その弾頭だとガラスに当たってもペシャっと潰れて落ちるだけでアクション性に欠けるため、ガラスには割れていただきました。もちろんガラスが割れなくてもここのアクションは成り立つが、盛り上がりに欠けるため。やはり男の子が女の子を庇うシーンは必要でしょう。

 231行:拳銃を蹴り飛ばす弘志。

  でもすぐ後ろには上り階段があるため、そんなに遠くまでは離れなかったはず。うまく角度を取れば下り階段の方へ蹴り飛ばせるかもしれないが、まあすぐ後に自分で拾ってるし。

 267行:開く乗務員扉。

  ここから名古屋駅での運転停車中に二人が忍び込んだため鍵がかかっていなかった、という裏設定。

 331行:男の拳銃を使用する弘志。

  裏設定で弾頭が非殺傷性の物とした。(だから跳弾などの表現もない)床に転がった弘志も、それまで男が撃った弾丸が落下しているなどして、気がついていた可能性が大きい。この時に弾丸は書類ケースの取っ手に当たっている。それが故意か偶然かは読者の好みに任せる。またこのまま弘志が銃を貰っちゃった可能性が高い。

 342行:貨物列車。

  深夜に東海道本線を走る貨物列車といえば高速コンテナ車が連なる『スーパーライナー』か日本で唯一の貨物電車であるM二五○系を使用する『スーパーレールカーゴ』のどちらかであろう。武蔵野線でコンテナ車を見飽きている和美は『スーパーレールカーゴ』と設定する。(時刻表とはちょっと違うが)

★7

 183行:包帯だらけの男。

  サンライズエキスプレスから転落して、この程度で済むはずがないのだが、まあこれも話しの都合という奴で。

 191行:逆富士型の直管蛍光灯。

  コンビニの天井に多く採用されているタイプの蛍光灯器具。電気工事士の血が騒ぐ。最近は同型のLED証明も増えた。


 ★幕間2


 1行:格技棟。

  清隆学園高等部では剣道か柔道が体育における必修選択科目である。よって体育館と講堂の間に格技を行う道場として建設された。高等部校舎とは渡り廊下で繋がっている。

 2行:日本拳法。

  そういった格闘術があるのをしらなかった和美は、聖徳太子が開発したというデマを信じた日もありました。決して陸軍中野予備校の話しではない。

 23行:基本的な運動。

  腕立てや腹筋、背筋などなめてはいけない。毎日七十回やっていると半年後には腹筋が真ん中から割れるほど逞しい体になれる。和美が自信持っていえる理由は、そうやってダイエットしたから。

 (そして今ではリバウンド。とほほ〜っ)

 29行:百円ライター。

  偉大な日本の発明品の一つ。これと醤油チュルチュルがない国はない。

 54行:弓削龍の掛け声。

  気合いを入れた掛け声へ漢字が当てられているが、続けて書けば「喝滅破冥波」なんのことはないドラゴンボールの「かめはめ波」の真似なのだ。

 70行:リンゴさんを…。

  意味不明のセリフ。無理矢理解説すると、アップル社のMacでセガサターンのソフトを走らせるソフトか外付けハードであろう。弓削がゲーマーで弘志がコンピューターに詳しいのならば成立する会話ではある。

 77行:人工地震のためにやらかした…。

  なにをやらかしたのやら。『妖精作戦』のドクトルはクレーター一つだったが、弘志がそれで済むとは思えない。

 106行:波動拳。

  弘志は『かめはめ波』と言い、正美は『波動拳』と言っている。これは二人に対して弓削から受けていた説明が違うのか、それとも二人の趣味の相違点による物かは判らない。

 114行:弓削の外見。

  いちおう格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズのリュウをイメージしている。

 123行:三人の武器。

  ここでも空楽のクナイは一本である。対して正美のペインティングナイフは三本。見事、的に命中していることから家で自主練習を重ねているのだろう。弘志の乾電池は威力がありすぎだ。


 六月の出来事


 タイトル:『六月の出来事』

  順調に『四月…』『五月…』と来たので『六月の出来事』となりました。で、どこが「清隆学園の六月」なんでしょうね。ほとんど弘志が騙る(誤字ではない)物語なので『弘志くんの昔話』でもよかったかも。いちおう「とある中学校の出来事」も六月にあったという設定ですが、本当は林間学校に行く季節ではないわな。

★パートA

 8行:天候。

  ここでは晴れているのに、話の途中では曇ってくる。そしてエンディングではまた晴れている。登場人物たちの心情と合わせてみました。

 69行:弘志に見とれる由美子。

  たまに乙女な彼女もいいよね。

 87行:「メチルか」

  アルコール大好きの空楽らしいセリフ。同じアルコールでもエチルアルコールは呑むこと出来るが、メチルアルコールは毒性があって呑むことをおすすめしない。

 (飲めないわけではない)

 112行:「のんだらしぬで」

  今となっては懐かしい「グリコ・森永事件」で犯人が店頭の食品に貼った紙に書いてあった文句「たべたらしぬで」の変化球。

 120行:メチレジンオキシエタンフェタミンやデソキシエフェドリンなど。

  後に弘志の口から説明されているが、覚醒剤の化学成分である。とある風邪薬から作ることができるため、たまに裏課業の製造工場が摘発されていたりする。よい子のみんなは真似しないように。

 178行:ヒロポン。

  まだ禁止薬物に指定されていなかったときに「疲労がポンと抜けるから」という理由で命名された商品名である。

 182行:ラベルに手をかけて…。

  小学校の理科の時間に薬瓶を持つときはラベル側を持ちましょうと教わったはず。もちろん弘志もその基本を守っている。

 243行:いつの間にかに回り込んでいる空楽。

  彼の忍術は理屈じゃないんですよ(笑)

 285行:解剖された蛙の呪い。

  意味不明のセリフ。もしかしたら、そういう学校の怪談があるのかもしれない。そしてその原因は、やっぱり弘志なのかも。

 295行:生物室へ入るための符丁。

  なにもかも懐かしい(沖田十三風に)いまじゃ古典に入りそうなSF小説『クラッシャージョウ』でジョウが情報屋に会う時に使った符丁だ。その次のファティにスキニーもだいたい同じ。

 325行〜:恵美子が提案する符丁。

  映画『ブレード・ランナー』でレプリカントのロイが暗唱する詩のネタ元『アメリカ ひとつの預言』を書いたウィリアム・ブレイクの詩集「無垢と経験の歌」から。空楽が判ったのは彼が読書家だからと思われるが、弘志が判った理由は不明。

 359行:生物講義室。

  高校生が喫煙しているかのようなシーンがありますが、現行法制では違反となります。なお喫煙はあなたの健康を害する場合がありますので、充分に気をつけて行ってください。さすがに大麻とかもう少し行き過ぎたモノを愛好していたとは思わない。

 400行:フィラリア。

  犬を飼っている方ならご存じかと思いますが、蚊を通して犬に伝染する寄生虫である。薬物で治療することが困難なため、外科的手術を要する。

 455行:題目。

  日本の一般的な家庭では宗教というのはあまり意識されていない。よって由美子が念仏とお題目の違いを知らないのも当たり前といえる。なにせクリスマスやったほぼ直後に神社に初詣する民族なのだ。(いい意味で)

★1

 1行〜:

  まずは弘志の家庭事情など。後述する事件後に引きこもりにならなかったのは、家庭にも居場所がなかったからと説明するため。また、もしかしたら読者諸兄が、この後遭難するサトミと、弘志の姉を間違えてくれるかもと叙述的トリックも狙ってみました。

★2

 1行:キモオタ。

  読んでいるのは電撃大王あたりか? それにしてもキモオタとは酷いアダナである。別のエピソードで弘志が同じ名前で呼ばれているが、それはまたの機会に。

 33行:ヒロ。

  弘志の名前と間違えてくれるかもと期待して名付けた。豪快に騒動を起こす騒動屋として弘志に似ていると思うのだが。

 96行:デブV3。

  弘志が中学校時代に肥満児だったという設定を、果たして何人の関係者が憶えているだろうか? ちなみに肥満児が四人いて、それぞれデブ一号、デブ二号、デブV3、デブーマンと仮面ライダーに因んで名付けられている設定である。もちろん他に肥満児が加わればX、アマゾン、ストロンガーと続く予定。

 108行:クラス委員長サトミ。

  おそらく下の名前であろう。彼女と弘志の姉を間違えたり、彼女が何らかの原因で性転換して弘志となった、などと読者諸兄が間違えてくれることを期待しての名付けであった。

 119行:井伏鱒二の顔に髭。

  男子中学生の常識。

 154行:ヒッキー。

  読者諸兄が裏読みして彼女こそが弘志の前身と勘ぐるかと配置したキャラクター。クラスには必ずこういったバリヤを張ったような女の子が一人はいた。

  ということで、この班の五人の誰が弘志なのか判らないようにしたつもりの和美なのだった。清隆学園高等部にいる弘志を見て、戦闘用ナイフなどアイテムに固執するところとか豪快に騒ぎを起こすところとか、それぞれ特徴を割り振ったつもりである。

 222行:西遊記。

  ここで出てくる俳優で年齢がばれてしまう。夏目雅子、堺正章、岸部シロー、左とん平(西田敏行)なら一九七八年版。牧瀬里穂、唐沢寿明、柄本明、小倉久寛なら一九九四年版。深津絵里、香取慎吾、内村光良、伊藤淳史なら二〇〇六年版である。ヒッキーが見たのは年齢的に二〇〇六年版だろうが、これには白竜役の俳優がいない。というと柳沢慎吾が有力だが、再放送回数で藤村俊二であろう。

 240行:班割り。

  言うまでもないだろうが宿泊は男女別である。五人班はその他のトレッキングや飯盒炊飯などでの組み分けである。

 284行:身近な女性は弱い顔を見せない。

  前章の通り弘志の姉は完璧超人、母は実業家である。家庭でも弱みを見せないことが察せられる。

 388行:門で止まるデブV3とキモオタ。

  自宅であるデブV3が止まるのは当たり前だが、キモオタも足を止めている。このことから、この二人はいじめられっ子同士で仲が良く、お互いの家を訪ねる程度の親交があると考えられる。

 427行:「ママは…」

  郷見茜の章を読めば判るが、母親はネットを活用して在宅で仕事をしている。委員長はそれを家事だと誤解している。

★3

 5行:色とりどりの私服。

  最近のトレッキングブームなどでお洒落な登山服も増えた。よって女子はパステル色の登山用のスカートやハーフパンツなど鮮やかであろうと思われる。

 17行:天気予報の内容。

  梅雨時にこの気圧配置は最悪なはずである。関西や中国地方では所によりゲリラ豪雨による洪水被害が発生したと思われる。そういった別の災害も発生していたため、警察、消防などが事故後の対応に遅れたとも考えられる。

 29行:雨男。

  雨を呼ぶのが雨男ならば、雪を呼ぶのはもちろん雪男…、のわけないでしょうが。同期の地学部部長が雨男だったせいで何度も酷い目に遭いました。

 67行:特殊機動隊。

  まったく架空の武装組織。三色迷彩というからには自衛隊の部隊なのかもしれない。

 85行:戦闘用ナイフ。

  実に使えない道具。遭難時どころかただのキャンプや屋外バーベキュー にも使えない。まだ文化包丁の方が使い出がある。兵器としては小銃に取り付けて銃剣として使用するのがベターであろう。また名称などは適当に名付けてあるのでアテにしないように。

 94行:パパのカード。

  おそらくクレジットカードで年齢確認&決済したのだろう。大型ナイフはもちろん銃刀法で管理されるべき物である。

 122行:デブV3の服装。

  寸足らずなのは家族が彼に対して無関心なため、彼のサイズに合う服を買ってもらえないから。

 198行:ウインドシールド。

  レミ先生はフロントガラスと言っている。深田秀明は運転手なのでより専門的な語句を使用している。

 222行:深田秀明が取得した免許。

  中型自動車免許が新設されたので、大型免許を取るまでのステップが遠くなった。きっと彼は中型まで取得していたのであろう。

 326行〜:ここから深田秀明の妄想を利用して現況を説明している。

  バスの燃料タンクが満タンなので火災が大きくなったこと、運転手とレミ先生以外に大人は乗っていないこと、崖下までコンクリートで覆われていて転落場所から道路まで登るのが非常に困難なこと、そして遭難した場合、低体温症に襲われる可能性があることをだ。

 370行:日本列島改造論など。

  中学校の教科書に田中角栄は出てこないと思う。角栄がやりだした新幹線と高速道路建設で日本は大分変わった。和美が生まれた歳には新幹線はまだ岡山までしか延びていなかった。(わ、歳バレ?)想像して欲しい、高速道路や新幹線がなかった時代を(国内航空線なんてあっても無きものと同然だった)今では日帰りで行ける地方まで、当時は寝台列車で行っていたのだ。もちろん物流だってそうだった。

 416行:デブ二号の願い。

  運転手に死ねだとか、もうバスに乗らないとか、彼の願いは全て叶ってしまう。

 435行:深田秀明の突然死。

  このページを書いた翌日に、高速道路を走行中の運転手が突然死する事件が発生して驚いた。わ、わたしのせいじゃないんだからね。

 436行:大動脈瘤解離の主症状。

  医学書には心筋梗塞、脳虚血、下肢虚血、それに伴う突然死とある。発熱や咳などの症状なら対処療法もあるが、症状がすでに「死」って…

 469行:アクセル踏みっぱなし。

  おそらく下肢虚血による硬直で、バスが揺れてもペダルから足が外れなかったのであろう。おそらく、その後に死後硬直も重なったと思われる。

 499行:デブ二号。

  読者諸兄がデブ二号とデブV3を取り違えてくれることをちょっと期待して、彼の最期を記しました。

★4

 97行:レミ先生の声。

  後述しているが彼女はバスの車体から投げ出されており、車外にいたため一番最初に火事に気がつくことができた。

 108行:車両火災。

  ディーゼルエンジンは火災を起こしにくい機関だが、ここまでの悪条件ならば火災に発展すると思考した。普通の事故ならば事故後にエンジンは切られるために、ガソリンエンジンと比較して安全と思われる。

 165行〜:車内での出来事。

  ここら辺からデブV3は目撃者ではないので、彼の想像したシーンなのかもしれない。

 335行:キモオタの右腕。

  他の焼け残った部分は野犬に喰われた可能性が高い。

 345行:怪我をしたレミ先生。

  彼女は転落時に車外に放り出されたのは本文のママ。そのまま谷底へ転落死とならなかったのは、落下の途中で木の枝などにぶつかることによって減速したからと想定した。額の上に負った裂傷で判るとおり頭部を打っており、後に発症する外傷性脳梗塞の原因となっている。

 406行:委員長の取り巻きのトモエ…。

  広場に集められていたのが委員長の取り巻きなのは、先に脱出できた彼女が救助活動を行ったから。ヒロが踏んだ誰かはトモエたちが優先されたために逃げ遅れたと考えられる。

 447行:委員長のヒステリー。

  極限状態で余裕が失われていたこともあるだろうが、なにより彼女自身が先程まで誰を優先して助けるかで、救助対象者を選んでしまったということも作用しているのだろう。

 459行:トモエの断末魔。

  この状態でこういうセリフが出るということは、彼女も家では親から虐待を受けていたのかもしれない。

★5

 27行:失われた携帯電話。

  ご都合主義ではある。ただ手元にあっても電波が届かない可能性だってある。都市部に住んでいると繋がるのが当たり前なので忘れがちだが、基地局が無ければ通話することは不可能である。こういう山間部で必ず繋がる電話は衛星回線を利用した船舶電話のような大出力の物だけであろう。

 211行:ヒロが木につけた傷。

  本文中では触れていないが、この印には意味がある。後にバス転落現場に到着した救助隊が、生存者を捜索開始したときに、真新しいこれらを発見し、これを辿って小屋に着き、デブV3とレミ先生の発見救出に繋がったという伏線である。

★6

 22行:野犬たちのリーダー。

  本当は汚れたみすぼらしい姿をしているはずだが、遭難者の前に立ち塞がる野生の象徴として、神格のような扱いをしています。リアリティを好むのでしたら汚れて痩せた犬のはず。好みでそちらがいい人は、お手数ですが脳内変換しておいて下さい。もちろん遭難者たちが生の野生に出会って、本当は汚れた犬なのに、彼らには神犬のように見えたということもあるかもしれない。

 45行:野犬たちの襲撃。

  もちろん先にウェルダンに焼けた肉をたらふく喰った後である。成体になったライオンでも人間一人食べると満腹になるそうだから、この野犬の群れは個体数が百体ほどになるのかもしれない。もしかして赤カブトを倒しに行く途中か?

 100行:レミ先生が見捨てた者たち。

  果たして本当に絶命していたのだろうか? 死体を押すと腹腔の空気が声帯を鳴らす時もあるが、真実は闇の中。

 160行:再度姿を現すハスキー。

  ここでも神格として登場しているため、余分な声など一切発していない。本当ならば威嚇する唸り声を発しているはずである。

 218行:小屋に着いた時のレミ先生の異変。

  ここら辺から彼女に脳梗塞の症状が現れ始めている。

 274行:捨て犬。

  バブルが弾けたときにこういうペット業者が多く存在して野犬が増えた事実がある。お隣の国では売れなかった犬は食材になるらしい。(それも酷い話しだよなあ)

 323行:服を絞る三人。

  久しぶりの色っぽいシーンのはずだが、暗闇の中なので文章表現なし。

 329行:風邪をひいたり…。

  山での低体温症は死に直結する、レミ先生もそれを心配しているのだ。ここ最近の団塊世代の登山ブームで、こういった事故が多いのも事実。

★7

 1行〜:天文学。

  太陽系の話しに混ぜてレミ先生の容体が悪化していく様子が織り交ぜてあります。半身不随に喉の渇き、嘔吐感、眩暈、頭痛、倦怠感。言葉がうまく出なくなる発声障害、少しの光でも眩しく感じるのは瞳孔が開きっぱなしになっているからだ。外傷性クモ膜下出血が一番ありうる症名であろう。

 57行:ラジオドラマ。

  一九三八年十月三十日にアメリカであった事件。最大一二〇万人がパニック状態になったと言われている。

 71行:シューメーカー・レビー第九彗星。

  一九九四年に木星へ衝突した彗星である。その激突痕は地球の直径よりも大きかった。

 109行:エリス、マケマケ、ハウメア。

  いずれも海王星よりも外側で見つかった準惑星である。このうちエリスが一番大きい天体ではないかと考えられている。他にもイクシオンやオルクスなど(まるで日本のSF向けの名前ではないか)四○もの小惑星が冥王星型天体として登録を審議中である。

 111行:あのアニメに出てくる犬…。

  ミッキーマ〇スの飼い犬のこと。

 143行:第九惑星テュケー。

  二〇一〇年にルイジアナ大学の学者が提唱した学説による。太陽からの距離が〇、二四光年にもなる超遠距離軌道を描く木星の四倍はあるとされる天体。第九惑星は他の学説も唱えられ、最近また外縁軌道を走査している。

 145行:太陽の伴星ネメシス。

  一九八四年にシカゴ大学の古生物学者たちが提唱した学説による。太陽からの距離が一光年ほどの赤色または褐色矮星と言われている。過去の地球で起きた大絶滅に周期性を見いだしたグループが提唱した。もちろん反対学説も多く存在する。

★8

 1行〜:突然の三人称。

  デブV3と情報屋の女との会話ですべて事後を説明しようとしたが、会話では不自然になりすぎたための苦肉の策。いちおうデブV3が伝聞で聞いた(聞かされた)形を取る。

★9

 1行:寒い風が吹いていた。

  事件の起きたその年の秋ではなく、翌年以降を想定している。

 49行:ニコニコとした人好きのする笑顔で…。

  笑顔は究極の無表情と言ったのは誰だったか?

 53行:髪の色。

  有名なのはマリー・アントワネットですな。彼女はフランス革命から逃れようとして逮捕され、つながれた牢獄において一夜にして白い髪になったという伝説がある。もちろん「伝説」だが本文中にあるように髪の毛の芯に空気が入ると色が極端に薄く見える事もあるそうだ。ちなみに本文では触れていないが、瞳の色も薄くなった設定である。和美の作品群の共通として、白髪は恐怖の象徴、赤瞳は狂気の象徴なもので、彼にも少しだけ適用している。

 92行:彼が新井さんと呼ぶ襲撃者。

  正しくは新井尚美。弘志と同じ中学校出身の同級生として、けっこう古くから出ているキャラクターなのです。彼の過去を知っている数少ない人物という設定に加え、不破空楽が同じクラスなのに顔を見ることが出来ないという隠れキャラならぬ隠れクラスメイトでもある。(という古い設定を憶えている関係者が残っているのだろうか?)

 『四月の出来事』にもチラっと出てくるが、もうココまで恨んでいないのか、穏やかなものである。

 117行:『人喰い』というアダナ。

  これも弘志のアダナとしてけっこう古くから設定されているもの。当初は「人を食った奴だ」程度で名付けられたと思うが、和美が弄るとこういうエピソードになる。

 137行:イズミ。

  別のエピソードで出てくる弘志御用達の情報屋さんである。いちおう設定としてこれ以後に弘志と取引があるということになっている。

 169行:パフアダー。

  ナマクアヒメアダー。どちらもナミブ砂漠にいるクサリヘビの種類。猛毒である。

 195行:クサリヘビ事件。

  真相はヤブの中(ヘビだけに。なんちゃって)しかし彼の態度からおそらくイズミが言っている説が有力ではないだろうか。警察では限りなく黒に近い灰色と思われているに違いない。

 215行:照明器具や濃硫酸。

  クサリヘビが彼の仕業ならこれらも彼の仕業であろう。もちろん新井尚美犯行説も残るが、彼女は直接斬りかかるなど直情的な攻撃しかしない設定である。

 226行:フッ化水素。

  猛毒。指先に一滴で地獄のような苦しみを味わうことができる。どのくらいヤバイ毒物かというと、ガラスが腐食するぐらいヤバイ。お隣の国では作業員が全身に浴びた事故があったそうな。その作業員は死ぬ直前まで意識を失うことなく、すべての骨が結晶化して内側から肉に食いこんで死ぬという、考えたくもない死に方をしたんだそうな。グルコン酸ナトリウムは中和剤(日本では食品添加物として使用される物質)。歯医者で虫歯予防のフッ化ナトリウムと取り違えて塗布した事故は実際に八王子で起きている。弘志の同級生は重傷になったと推定する。

 339行:爪。

  世界一有名な探偵によると、人の職業は袖口と指の形で判るんだそうな。爪はおそらくネイルアートなどしていなかったのであろう。

 391行:生き残るためなら…。

  実際、飛行機が僻地に墜落してなどの理由でこういった事が起きた例が多数残っている。それが正義か否かは哲学者の判断に任せて、和美はそれが悪であっても認めたいと思う。もちろん生きているうちに手を出すのは論外であるが。

★パートB

 44行:あんた…、オマエなあ。

  由美子は話しの中の委員長が使っていた二人称を遠慮して変更している。この時から由美子の二人称が変更されている点に注意。


 ★幕間3


 11行:ラブレター。

  靴箱にラブレター。って、いまだにする人おるんかね? SNSとかLINEとかで告白するって聞いたこともあるけんど(頑張って横文字使ってみました)まあ、絵的に判りやすいためかTVの中じゃ廃れませんな。

 29行:変な誤解が噂になって…。

  由美子×恵美子だろうか、はたまた恵美子×由美子だろうか? 不純な想像が膨らむわ。

 50行:弘志の怪しい器械。

  八木アンテナならば電磁波測定器。棒状ならば高性能マイク。火薬類の臭いを探知する集臭器という可能性もある。だが一番高い可能性は、役に立たないガラクタをそれっぽく操作しているハッタリかな。

 54行:正美の手鏡。

  死角に張られたトラップワイヤーなどをチェックしているのだろう。

 79行:小池先生。

  三戦士が所属している一年三組の担任である。詳しくは『四月の出来事』参照。

 123行:封の切れたラブレター。

  やはりトイレの個室で確認したのだろうか? 間違っても司書室でないのは確実だろう。

 139行:現れる正義の三戦士と女子二人。

  結局レギュラー陣につけられているんだから世話がない。突然キャラクターが現れるのは『究極超人あ〜る』風味である。

 180行:松田有紀。

  図書室常連の一人。とても京都方言が強いという設定のため、かえって使いにくいキャラクターになってしまった。ただ地の文で説明しなくても存在感はある。いちおう語学学者の書いた方言辞典などでチェックしているが、もしいいかげんな方言だった場合は許していただきたい。和美がネイティブなのは標準語の他は栃木弁だけである。

 190行 :かわいい?

  昔でも今でもジェンダーフリーなキャラクターは人気が出る傾向にあるが、下ネタと爆発が好物な弘志では無理であろう。

 212行:不破くんには『いい女』がいっぱいいるんだ。

  空楽のセリフに反応する恵美子だが、決して恵美子が彼に気があるというわけではない。ここでうまい切り返しが出来ないのが空楽らしい。

 217行:男子にボディブロー、女子にデコピン。

  いかんな藤原由美子。キミは性差別をしておるぞ。なんちゃって。女にとって子供を宿す腹を殴るなんてもっての外|(byサーバントツイン)

 225行:美幸の木刀攻撃から由美子を庇っている三人。

  なんやかんや言いながらも身内を守ることには躊躇していない。これも美しい友情なのだろう。

 295行:生徒会長山田亜紀登。

  彼もけっこう古くからのキャラクターだったりする。酩酊庵と徹夜明けの早朝に、人気の居ないKO線普通電車の車内で「生徒会の陰謀vs図書委員会編」というプロットを話したとき以来。そのプロット自体は破綻してエピソードにはならなかった。

 299行:決闘条項。

  きっと先輩方が『炎の転校生』あたりのOLAを見ながらノリで作った校則に違いない。でも学園物で燃えるシチュエーションではある。

 310行:いつの間にかに増えているヤジ馬。

  おそらく由美子へのラブレターに対するトトカルチョも行われたのだろう。

 331行:論点がずれていく会話。

 『究極超人あ〜る』のこういう所がうらやましかった。ドタバタ活劇は大好きよ。

 360行:両側から抱きつかれる弘志。

  うん、男の子なら道を踏み誤っても仕方がないな。(確認)

 419行:剣道で勝負。

  原案では十番勝負だったのだが、相方の酩酊庵酔夢が一言「やめておけ」と、妙に渋い声で言うものだから一回勝負になりました。

 428行:不破は有段者らしいぞ。

  設定上の話しになるが、空楽が図書室常連組の中で実力一番である。彼は自分の父親が(酔って)語った石見氏直系という血筋を信じて自己鍛錬に励んでおり、剣道の段は低いがより実戦的な剣法を身につけている。

 429行:弘志の剣道の腕前。

  有段者と引き分けるというのは並大抵のことではない。きっと防御が完璧なのであろう。「生き残ること」が命題な彼にとって敵を倒すことより身を守ることが優先されるからであろう。

 436行:白衣姿。

  よくマッドサイエンチストを演出する小道具として白衣が登場するが、なかなかどうして防御力の優れた服装なのである。実験で薬品などから身を守るために素材から工夫されている。(よって非常に高価なのだ)

 444行:ライトセイバー。

  初めて見たときは感動したなあ、ガンダムがパクルわけだ。最近じゃ変な殺陣の付け方になって、あまり格好良くない。

 467行:空楽の模造刀にとってもよく似た刀で、切られた者で怪我人になった者はいないという、とっても安全な業物。

  酩酊庵が書いた『五月夜話』というエピソードで空楽が持ち出していた伝家の名刀である。『五月夜話』では抜かれることがなかった。

 501行:前世紀の遺物。

  幕末に打たれたとしても二〇〇年近くだから前世紀どころではない。だが現代のCQCにおいて剣道は槍をのぞけば最強らしい。

 520行:右回りで…。

  仮面ライダーなど古い特撮では、ライダーと怪人が一対一になったら、まず相手の隙を窺うためにこうなる。

 563行:爆発。

  やはり弘志の発明品は爆発してなんぼやな。で、結局試合結果はどう判定されたのだろう? 二人とも戦闘不能で引き分けか? それとも爆発の原因となった弘志の負けか?

  和美は引き分け説を採りたいのだが。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ