第七話 市場巡り
店の腰掛けで話始めるシャミアさん。
「それじゃまずは、付喪族について話そうかしらね?」
ふむ、待ってた。
俺の予想だと、付喪神的なあんな感じだろ?大切にされたものには、魂が宿る敵な。
「付喪族ってね見た通り、元々は、ただの物なのよ、それがね?
長い年月をかけ空気中にある魔力を少しずつ蓄積し、馴染むことで自我が芽生え意思を持ち、生き物になる、それが付喪族よ。」
「えっ?何それ怖い」
「ふふ確かにそうかも、でもこの子達は、基本人間に害は無いよ?いたって安全。
人によっては、この子達をペットのように扱う人達も居るぐらいだから」
「トチ狂ってるんですかそいつ等?」
分からねぇコレをペットにするのとか意味が分からん。
そんなのルンバに名前つけてウチの子可愛いでしょ?って言うようなもんじゃねぇか?
「付喪族については、終わりね?次は、外界についてか?んー外界については、この国についても教えなきゃなのよね?
えーっとこの国はね、四つの大陸からなる王国で国名は、アストガンド王国。そして、このアストガンド王国の外にあるのが外界と呼ばれる世界」
「四つの大陸から・・・」
「あっそっち気になっちゃう?ま、まぁその話はまた後で。その外界と呼ばれる世界から来たものが外界人と呼ばれているの」
「・・・ん?ちょっと待ってくださいよ?てことは、付喪族ってアストガンドにしか居ないんですか?」
「話だとね、私も外には行ったことがないから」
そうなるとおかしくないか?外界には、魔力が無いのかな?
「んー取り敢えず、その外界って所から来たって事にしとけば良いんですかね?」
「えぇそうよ、外界には、他にも聖騎士の聖地と呼ばれる帝国や神域と言う危険区域もあるの」
「聖騎士の聖地に神域?」
「その話はまだいいんじゃないか?」
カルデンが話に割り込んでくる。
「帝国の事や神域は、そのうち追々分かるだろ。今は、外界について知っていれば良い」
そう言ってカルデンも椅子に腰かける。
何か話したくないことでもあるのか?
「まぁそれもそうね、それじゃ外界については、分かったね?この話は、終わり!」
こうして煮えきらない感じで会話が終わった。
その後、ステラが店に戻ってきたので服を選び購入。
・・・・・・
「それじゃ、そろそろ行くわね」
「何だい?もう行くのかい?まぁ気を付けてね?魔導師さん。」
手を降りながらカウンターに腰かけるステラ。
「えぇまた来るわ、ステラ」
シャミアさんも片手をあげて挨拶する。
「それから、少年君もじゃぁね♪あと、精霊さんも」
「どうもです!」
元気に挨拶する俺と、帽子の鍔を掴んで軽く会釈するカルデン。
こうして服屋を後にした。
・・・・・・
再び市場に出たがなんかさっきより人が多いような?
「人増えてねぇですか?」
「・・・増えてるな」
どうやらカルデンも人混みが苦手なようだ。
嫌そうな顔をしている、顔見えんけど。
まぁそう言う俺も、嫌いです、人混み。
「さぁ行くわよ二人とも!」
俺ら二人とは、対照的に元気なシャミアさん、スゲーな(笑)
そんなわけで人混みを掻き分けながら進む俺等。
少し進むと良い匂いが漂ってくる。
「ん?コレは、焼き鳥?」
匂いのする方を向くと、出店で焼き鳥をしているおっちゃんを発見。
行かねば。
人混みを掻き分け目的地に着き目標物を確保するべく行動に移す。
「おっちゃん!それ、一本ちょうだい!」
「おっ?可愛い嬢ちゃんだ!もう一本サービスしてやる!コイツは、おまけだ!」
おっちゃんが焼き鳥を二本、袋に入れて渡してくる。
俺は、それと引き換えにお金を渡す。
そう言えばシャミアさんからお金はもらっているのです。
えっ?いつ貰ったのかって?ちょうど牢屋を出て宿屋に向かうって話をした後だ。
「いただきます!はむっ」
一口で串に刺さっていた肉を三つほど引き抜く。
「んむっ!?」
う、うんめぇぇぇぇぇぇッッッ!!!
な、なんだこの肉!?
噛むごとに肉汁がぶわぁっと広がりやがるぜ!
タレも効いていやがる!
えっ?てか、コレ鳥か?何か?違う気が。
「あの!おっちゃん!コレ、なんの肉!?」
「うめぇだろ?コイツァなエルトカゲの肉だ!」
「エルトカゲ?えっ?トカゲ?」
「そうだぜ?この辺じゃ珍しくはないがな」
「へぇー」
トカゲ肉か、初めて食ったな?
「所で、嬢ちゃんは、旅人かい?」
「ん?いんや違うよ。あっ、おっちゃん!一つ訂正がある、さっきから嬢ちゃん嬢ちゃんって言ってるけど俺は、嬢ちゃんじゃねぇ、坊っちゃんだ!」
親指で自分を指しながら声を張る。
「坊っちゃん?・・・あっ嬢ちゃんじゃなくて少年か!?いやぁ悪いな!女顔だからてっきり嬢ちゃんかと!ホントにすまん!」
深々と頭を下げるおっちゃん。
「あっいや、そこまで気にしてないから良いッスよ!」
何か逆に恥ずかしいわッ!
「おっ!そうか?いやぁそれにしても見れば見るほど可愛い顔してんな?坊主」
「いや、全然嬉しくないんすけど」
「コレでも誉めてんだよ?もうね?女の子って言われても気づかないよ?ホントに!」
「えーそうですかぁ?」
てな感じでからかわれていると。
「ハ~ル~カ~?」
後ろから頭を鷲掴みされる。
「あっシャミアさん!ここの串焼き美味しいですよ!」
「あらそうなの?じゃぁ私も一本貰おうかしら?・・・じゃなぁぁぁぁいッッッ!!」
思いっきり鷲掴みしている手に力がこもる。
「ちょっ!いたっ!いたたたたたッ!頭皮が!頭皮が死ぬぅッ!」
慌てて逃れようとするがシャミアさんの手が逃がしてくれない。
「人が道案内してるときに勝手に居なくなるんじゃぁない!」
「すいません!いたっ!ホントにすいません!反省してます!してますから!だから許して!いたた」
泣き喚いているとシャミアさんの手の力が抜け解放される。
「いったぁぁぁぁ・・シャミアさんメチャクチャ握力強すぎでしょ!」
「あら?そう?それよりも宿に着くまでは、単独行動禁止だからね?わかった?」
「あい・・・」
こうして俺の単独行動は、幕を閉じた。
その後は、シャミアさんとカルデン付き添いのもとで出店巡りを堪能した。
追記、シャミアさんのアイアンクローは、もう受けたくない。