第四話 スキル説明
世界の言葉がスキルの準備に言ってから、何時間経ったのか。
まだ連絡はない。
「暇だ・・・」
待ってる間、監守に外の事を聞いたり。
他の収容されている罪人の事を聞いたりして時間を潰してた。
でもやはりそんな事では長続きせず。
話す話題も無くなって、渋々天井の染みを見続けていた。
それから少しの時間が過ぎ。
外に人の気配を感じる。
「囚人番号3067!食事の時間だ出ろ!」
先程までとは違う看守の声だ。
俺の囚人番号か?初めて聞いたな。
「へいへい」
扉が開き外に出ようとしてあることに気づく。
「その前に、服をくれないか?ずっと裸じゃ風邪引いちまうよ?」
そう言って出てこようとする俺に布を投げつける看守。
「あぁ持ってきてるよ。さっさと着ろ」
さっきまでの看守よりか、幾分か当たりが強い気がする。
服を着て、手錠をつけられ連れていかれる。
道中話しかけても完全に無視され淡々と通路を歩く。
「なぁ~看守さん方?今日のメニューは、何ですかな?」
まぁ当然無視。
悲しいねぇ。
そして大きな食堂に到着。
見渡す限り、厳ついにーちゃんだらけだ。
こんなとこで食事か?大丈夫なんだろうか?
そして手錠を外され、席へと案内される。
「んー何か、視線を感じるなぁ~?」
俺みたいなのは、珍しいのかな?
《ハロハロー!マスターちゃんは、元気ですか~?》
あの頭に響く声だ。
なぜだか懐かしく感じる。
「やっと来たか・・・」
待ちくたびれていたとこだ。
《ごめんねぇ、いろいろ準備に時間かかっちゃってぇ》
なんだろう、なんかイラッとする。
「まぁ何だ、また後でもいいか?」
今は、食事に専念したいしな。
《う~ん・・・ん、いいよぉ♪待ってるねぇ》
そんな訳で食事は、省略する。
と言ってもロクな飯ではなかったがな!
・・・・・・・・・・・
牢屋に戻り、世界の言葉にコンタクトを取る。
もちろん、外には誰もいない。
「あーあー、そろそろいいぞー」
適当に話しかける。
が、返事がない。
向こうからは、いつでも話しかけられるのに?
不公平だッ!
《すいません!仮眠を取っていました!》
どうやら聞こえていたらしい。
《えっとですね?では、早速スキルの紹介をしますね?》
「おぉ始めてくれ」
まぁチートなスキルだろうがな!
《先ずは、ですね・・・マスターさんの所有スキルの数から紹介しますね?》
スキルの数?
複数あるのか?
《マスターさんは、なんと三つの固有スキルを所有しています!》
ユニークスキル?
なるほど、俺個人のスキルってことか?
《それでは、スキルの紹介を始めます》
「おう!始めてくれ!」
いよいよ俺のスキルを知る時が!
《一つ目は、【過去探査】。二つ目は、【研究者】。そして最後が【複製】です。》
んー普通?
【複製】は、考えるまでもないだろう。
他の二つは、どんな能力なんだ?
《それでは、スキルを詳しく説明していきますね?》
「うむ、頼む」
《一つ目【過去探査】から説明していきます》
淡々と喋り出す世界の言葉。
なんか、喋り方が統一されている?
もしかしてキャラがやっと固まったのか?
《【過去探査】は、触れた対象の記録を視る事ができる能力です》
触れた対象か・・・。
「ふぅむ、それは人間でも可?」
《はい、もちろんです。’触れた対象‘なので、物はもちろんの事、生物にも発動します》
おぉそいつは使えるな。
《次が【研究者】ですね》
そいつは、全然能力がわからない奴だな。
「どんな能力だい?」
《この能力は、視界に捉えた対象を分析し、さまざまな情報を表示する能力です》
情報を表示?
試しに足元にある石を持ち上げる。
そして頭の中で【研究者】と唱える。
すると、石の上に《名称:石》と表示され。
その下に石の構成成分が表示される。
「・・・さっぱりだ・・・」
いや、まぁ使う人が使えば魅力的かもしれんが。
別に俺そこまで詳しく知りたいわけじゃないし・・・。
てか、なんでこんなスキルが俺に備わったんだ?
《次行ってもいいですか?》
「あ、あぁ悪い続けてくれ」
考えるのは、後でもいいか。
《えぇーっとそれでは、最後のスキル【複製】の説明に入りますね?》
まぁこのスキルは、ベタなやつだからなぁ。
聞くまでもないが・・・。
「おう!」
元気に返事をする。
最後だしね。
《【複製】は、物体の複製をメインとした能力です》
淡々と喋る世界の言葉。
おやおや?おっかしいな?
なんか思ってたのと違うぞ?
「物体の複製ってこの石とか?」
当然だが、一応確認で聞いてみる。
《はい、他にも生物の複製も可能です》
えっなにそれ怖い・・。
《もちろん生物といっても形だけの人形のようなものですが》
「ちょ、ちょっとまって!もしかしてそんだけ?」
まさか、そんなしょぼい能力なわけないよな?
《えっあ、いえ、このスキルには、他の能力もありますよ?》
な、なんだビックリしたぜ・・・。
「コレだけだったらどうしようかと思ったよ・・」
流石に偽物作るしか能がないとか終わってる。
《他の能力はですね・・・物真似筋肉と能力コピーですね》
「物真似筋肉?」
聞いたことがあるな。
「確か、一度見た動きを完璧に真似するって言うヤツだったよな?」
《はい、ご存知でしたか。では、その説明は、端折らせてもらいます》
《えぇでは、【複製】の詳細、能力コピーの説明をしますね?》
確認を取ってから喋り出す。
《能力コピーにも二種類ありまして、魔術とスキルでコピーの仕方が変わります》
なに!?魔術なる物があるのか!?
《魔術の場合、魔法陣を理解したならば一度見ただけでコピーできるのです》
「魔法陣の理解ってことは・・・あっ!」
俺がある事に気づくと、世界の言葉が代弁するかのように喋る。
《そう、【研究者】を使うと、簡単にコピーできるでしょう》
やはりか、こんなとこで利用方法が出てくるとは。
《そしてスキルですが》
あっ魔術の話は、終わりっスか?
《コピー上限は、一つです》
・・・えっ?
「・・・あのぉ~、今なんと?」
聞き間違いかな?コピーできるスキルは、一つって聞こえた気が?
《はい、ですから一つだけです。他の魔術や体術と言ったスキル以外のものは、上限がありませんが》
「ば、馬鹿な!!それでは、他人のスキルでどんどん強くなっていくって言う、王道系ができないではないか!!」
ありえない!一番使えるはずのコピー能力が欠陥品なんて!
《えぇーっと以上で説明は、終了しましたんで。最後に私から・・・》
そう言うと急に黙り込む。
だが今はそんな事はどうでもいい!
講義してやる!こんな欠陥品を押し付けやがって!
「世界の言葉よ!チェンジを要求するぞ!」
大声で怒鳴りつけてやった。
だが返事がない。
「・・・あれ?世界の言葉さん?」
返事がないのでちょっと不安になってきた。
もしかして、通信が切れているんじゃ・・・?
《あ、あぁーテステス聞こえてますか?》
と間を置いてから声が帰ってくる。
何だよ!いるんじゃないか!
安堵したとこで。
《この通信は、一方的なものなので返事は要りません。それと、この通信を最後にマスターとのリンクも断ちますのでご了承ください》
何を言っているんだ?コイツは?
《えぇ私の仕事は終わりましたのでここから先は、マスターのみで生きて行ってもらいます》
なん、だと?
「ナビとかしてくれんじゃないのッ!?」
《いえ、こういう決まりなので分かってくださいマスター・・・》
「いや、ちょっと待て!聞こえてるよね?」
《さぁマスターの新たな冒険の始まりです!》
「オイィィ!何かってに終わらせようとしてやがる!!俺はまだ納得してないんだぞ!」
《さようならマスター!また逢う日まで!!》
「ちょ、まっ!」そこでブツっと通信を切る音がした。
「・・・アイツ・・また、逃げやがったなぁぁぁ!!」