第三話 ようこそ異世界へ
さて、話を戻そう。
「単刀直入に聞くけど、ここは俺の居た世界じゃないの?」
閃いたように訪ねてみた。
ホントは最初から気付いてるけど。
《おっ、気づいたみたいだねん♪》
世界の言葉は、嬉しいのか声色を変えてくる。
《君のご想像の通り、ここは君のいた世界とは違う世界、君からしたら《異世界》になるのかな?》
「ふむ、やっぱりか・・・」
読み道理だな♪
《やっぱりって、随分落ち着いてるね?もっと驚いたりしないのん?》
「まぁこう言う展開、俺の世界じゃ良くある話だし?
と言っても、ゲームや漫画の事だけど(笑)」
《ゲームや漫画?・・・君の世界は、異世界転移なんて普通ってこと?》
「いや、普通ではないんだけど。」
《んー?まぁいいですけどぉ》
興味をなくしたみたいだ。やれやれ。
そういや、ふと思ったけど。
「世界の言葉とやらが何で急に出てきたんだ?」
《ふっふん♪よくぞ聞いてくれたッ!!》
急に叫びやがった。
頭に響く。
《それはね、マスター君が一人で寂しいだろうと思って遊びに来たんだぴょん!》
ぴょん?何だ?キャラがまだ定まってない感じなのか?
忙しい奴だな。
「別に寂しくはないぞ?話し相手には、看守がいるしな。
そもそも、顔も見えないヤツと楽しくお話しできると思うか?」
無理だろ?そんな、得たいの知れないどこの誰かも分からない相手と仲良くなんて・・・ん?
「・・・出来るの、か?・・
今じゃSNSで他人と繋がれる、その感覚なのか!納得だ。」
《SNSってなんですか?》と聞かれたが。
説明がめんどいので無視しとく。
《えっ無視は、酷いんじゃないッ!?》
「まぁまぁ、てかさ?お話は、これぐらいで良いだろ?
さぁ帰んな、俺は今から牢獄の人生を楽しむのだから。」
異世界で早速前科持ち?になっちまったのは、痛いが。
初めての経験だからな。
この経験は、貴重だぜ?
《ちょっ!帰らないよッ!?てか、何で牢獄生活楽しもうとしてるのさ!?》
予想外の言葉が来たのか、驚いているようだ。面白い(笑)
《いやいや、面白がらないでよッ!》
「用も済んだんだ後は、帰るだけだろ?」
他に何かあるなら別だけど?
《すみませんでした!・・・ホントは別の用事で来ました!話を聞いていただけないでしょうかッ!》
「別の用事?・・・金ならねぇーぞ?」
《・・・えっ?聞いてくれるん?》
涙混じりの声だ。
「まぁ聞かないと先に進めなそうだしな?」
《じゃ、じゃ言うけど。実は、君に渡すものがあって来たのだよ?》
渡すもの?まぁ大体予想はつくけど?
《君のスキルを、正式にプレゼントしに来たのんッ!》
あ~ハイハイ。いつもの感じね?
「うんうん、んで?一体どんなスキルなんだい?」
まぁ正直来たぜこの瞬間!って感じかな(笑)
《じゃ渡すから少し待っててね?》
ブツッ!っと言う音と共に言葉が聞こえなくなった。
・・・・・・説明無しか?
そういや、この会話看守には聞こえてないのか?
普通に声だしてたのに、ツッコんで来なかったな?
「なぁ~看守君や?聞こえておるかいの?」
看守に向かって話しかけるが応答がない。
ま、まさかッ!?看守君が死んでるんじゃ・・・。
《いや生きてるよッ!》
突然話し掛けてくる。
「うおッ!?急に喋るなよッ!?」
ビックリしたじゃないの!
聴いてやがったのか?
「ちょうど良いから聞くけど、この会話看守には聞こえてないのか?」
分からないことは、確認しなきゃな?
《うん、聞こえてないよ?》
当然でしょと?言わん張りの呆れた声が返ってくる。
《私達がコンタクトを取るときは周囲の空間と隔離してから話しかけるのが普通だからね?》
あぁ見える・・・顔は知らんけど、ドヤ顔してるコイツの顔が。
《もしかして、気付いてなかったの?》
「・・・気付いとらんかったッ!」
いや、気付かんだろ?普通。
異世界に来たばっかなのにさ?
「・・・ん?ちょっと待てよ?おかしくねぇか?」
《どうしたの?》
「・・・さっきの話だと、話し掛けるときは、隔離してからなんだよね?」
《うん・・・そうだけど?》
「俺との初会話ん時は、俺の声、思いっきり看守に聞かれてt・・」
《さぁーってッ!スキルの伝承の準備にかからないとなぁー》
おい、話の途中で逃げるな。
《えっ?話の途中?何の事かなぁ?私わかんなぁーい(棒)》
「いや、分かるだろ?最初の会話アレは、」
《えっ?・・・何?えっ?・・・あっ、ゴメ~ン♪用事で来ちゃった・・・じゃね!》
そう言って、通信が切れる。
「・・・アイツ、逃げやがったッ!」