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老兵、公安の力を知る

 風の冷たさが身を刺すように鋭くなってきた頃、違う冷たさに身を刺されている男がいた。

「だからな、アラン。俺はただ愛する者を少し待たせてただけなんだって」

「世の中ではそれを違法駐車と言うんだ。覚えとけ」

 町の小さな警察署、先程からある小部屋で警官と市民との押し問答が繰り返されていた。ちなみに今の所堂々巡りである。

「いいからとっとと罰金払え」

「だから俺がコートニーを置いてったのはほんの数分だって言ったろ?」

「何がコートニーだ……いいから決まりは決まりだ」

「コートニーはコートニーだ」

「……早く支払わねえとコートニー没収だぞ」

「それは止せ!」

「だったら罰金なんて安いもんだろ。早く払えよケチ臭え。で、俺の前から消えてくれ。こんな軽い罪で豚箱にぶち込んでもスッキリしねえ」

 コートニーを取引に使われ、ヘンリーは本気で焦った。しかしアランは表情と強硬な姿勢を崩さなかった。

「くそう……コートニーをダシにしやがって……しっかしお前は本気で俺をぶち込む気なんだな」

「本気だからここで優しくしてやってんだろ。早く払え」

 刑事アランは厳しかった。目の前の違反者に相応の対処を求めて厳しい視線を送っている。支払いを迫られたヘンリーは渋々財布を取り出した。

「お前は運が良いぞアラン。今日は現金の手持ちがある」

「カード破産しちまえ」

 既定の罰金を支払い、違法駐車の男、ヘンリーは警察署を後にした。誰にも見えない様に中指を立てるのを忘れずに。


「ってことでよお、余計な出費があったわけよ」

「有り余るほど貯金があるくせにケチ臭いこと言わないでよ」

 所変わって路地裏の小さなカフェ。若い店主と男は客の少ない店でいつもの掛け合いをする。

「自分が進んで出す金と強制されて出す金は違うだろ?」

「払うべくして払ったお金じゃないの?」

「最近の若者は手厳しいなあ……」

「年齢関係ないよ。あと注意してないとまたコートニーに切符挟まれるよ」

 カフェの主、ジムに指摘され、ヘンリーは外に停めてあるコートニーに目をやる。今日のヘンリーのお供の名前はコートニーだった。

「ここまではお上の目も届かねえって」

「そうやって油断してると足元掬われるよ」

「世の中は本当に老人に厳しいなあ……」

 ヘンリーはテーブルに力なく突っ伏した。

「厳しくない世に生きてたことあったっけ?」

 正確に言えば、ヘンリーが今まで生きてきた世界の方が老人はおろか、全ての人間に厳しかった。人生の大半をその世界で過ごしてきたヘンリーが、平和ボケした浮世を厳しいと言うのは些か的外れの様な気がしてジムは首を傾げた。

「今まで死線が曖昧な世界に居たんだ。少しは労わってくれてもいいもんなのに……」

「今まで死線が明瞭な世界を利用した跳ね返りでしょ」

 テーブルを拭くジムはヘンリーの一切の甘えを許さない。元来ドライな性格ではあるのだが。


 ジムのカフェには穏やかな時間が流れる。数週間前修羅場となった元バーが向かいにあるとは思えないほど、この空間は外の世界から遮断されていた。それを求めて物好きな客がこの店を見付け、やって来る。大繁盛と言うわけではないが、潰れないほどに細々と店は続いていた。ジムを目当てにやって来る物好きも居るというのはこの店に関する噂の1つである。

「いらっしゃい」

 カフェの扉が開き、数少ない客の来店を告げる。ヘンリーが何の気なしに顔を上げ来客を確認する。客の姿を確認した瞬間、ヘンリーはまたもげんなりと机に伏せってしまった。

「お前かよ……」

「こっちのセリフだよ。外の車に切符挟んでやろうか」

「それは勘弁被る」

「……俺がコーヒー飲み終えるまでは見逃してやる」

 来客は、数時間前にコートニーの件で争った刑事アランだった。眉間に皺を寄せてヘンリーの存在を視界から外したアランは、カウンター席に腰掛けた。

「ブルマンのブラック。ああ、今日はとびっきり濃くしてくれ」

「胃荒れるよ」

「構わない。そういう気分なんだ」

 

 アランは万年筆のインク並みに濃い色のコーヒーを口に含んだ。どろりとした舌触りの通過後に、癖のない後味が残った。しかし今のアランには物足りなかったらしい。

「何も残らないな」

「そういう豆だから」

「次の奴は深煎りので頼む」

「いっそエスプレッソにすれば?」

「あれは好かん」

 どうも今日のアランは落ち着かなかった。コーヒーを一口飲んでは溜息を吐くというのを繰り返し、貧乏ゆすりも激しい。

「今日は情緒不安定だなあアラン。お月様の前か?」

「耄碌してんのかおっさん」

「辛辣だなおい」

 アランの口から飛び出る言葉には常時より棘があった。落ち着きのなさと不機嫌な様子から鑑みるに、何かあったことは確実だった。

「それじゃ何だ。仕事で何かあったか?」

 ヘンリーが尋ねると、アランはヘンリーをちらりと見てあからさまに不機嫌な、重たい溜息を吐き出した。

「あんたの同業者が目下の懸案事項だ」

「うちの若いのだったら締めとくぞ」

「それだったら幾らか楽だった」

「……違うのか」

 ヘンリーの顔に影が落ちた。

「どうもここらで見た顔じゃない。最近ここらのルールを知らんような奴らが増えてる」

「あー……」

 ヘンリーには少しばかり心当たりがあった。いつぞや、ジムの店の向かいのバーの元店主・サンダース経由で刺客を送ってきた人物だった。その人物もそれなりの組織のトップで、最近この界隈で幅を利かせ始めたらしい。少しのやんちゃならばヘンリーも彼の居た組織も目を瞑ったが、彼らの行動は目に余った。あまりにもヘンリー達の領域に踏み込み過ぎた。その結果がサンダース経由のヘンリーの襲撃だった。その件について、ヘンリーは個人で新しい組織の調査を進めるつもりだったが、どこから聞き付けたのか後輩達もヘンリー襲撃の報復を主とした目的で組織の身辺調査を始めていた。

「何か知ってるって顔だな」

「風の噂の又聞きだ。確証なんてないさ」

 ヘンリーは少しわざとらしく肩を竦める。余計な情報を漏らす必要はない。それにヘンリーが調査を進める理由は只一つ、ジュリエッタの治療費と慰謝料の支払い要求のみだった。後輩たちは面子と組織の為に動いているが、ヘンリーの行動理由は偏にジュリエッタの為だった。

「……そいつらがちょくちょく問題起こしてやがる。それの処理が毎日の様に舞い込んできてんだよ」

 アランは納得がいかないような顔をしながらもヘンリーに愚痴る。自身のデスクにある相談や通報の件数を記した書類を思い出すだけで、アランの眉間の皺は深くなった。

「でもまだ大きなコトは起こしてねえだろ?」

「そのせいで大元の尻尾が掴めねえでいる。小さな罪でしょっ引いても証拠不十分で釈放がいいとこだ」

 煙草に火を着けようとしたアランはジムに制される。国の方針に則り、この町がある州も喫煙に関する規制は厳しかった。不服そうに煙草をしまい、アランは残り少ない濃いコーヒーに口を付けた。苛立つアランにジムは小さな飴の包みを幾つか差し出した。

「町のガードマンは大変だよなあ」

「本当にそう思ってんのかおっさん」

 飴を口に含んだアランがもごもごと反論する。今、アランの寂しい口は甘い砂糖の塊で慰められている。

「そういう奴らのお相手、ゴクロウサマデスオマワリサン」

「寒気がするから止めてくれ」

 白々しく労うヘンリーにアランは腕の鳥肌を擦る。

「あ」

 わいわいと言葉の応酬を続ける2人の横でジムが短く声を上げた。その声をきっかけにヘンリーとアランはジムに注目した。そのジムの視線は窓、正確には店の外に向けられている。

「ねえ、コートニー……」

 ジムのその言葉に弾かれた様にヘンリーも外に視線をやる。拉致の難を逃れたコートニーに迫る危機を本能的に察知したと言ってもよかった。

「ああ!? おい!」

 ヘンリーは我が目を疑った。彼の視界に入ったのは、見知らぬ男たちに次々と蹴り飛ばされるコートニーの姿だった。愛する者を無闇に傷つけられるのを黙って見ていられるヘンリーではなかった。口からは脊髄反射で暴言が際限なく飛び出す。そして辛抱堪らなくなったのか、ヘンリーはどすどすと足音を立て鼻息も荒く、店の外へと向かった。

「あいつら……コートニーに手ぇ出して無傷で帰れると思ってんのか……体の穴増やしてやる糞野郎が!」

「……止めないの?」

「上手くやればおっさん含めて一網打尽だろ」

「そう」

 店内は至って冷ややかだった。


「おい! そこの阿呆ども! 俺の愛車に何してくれてんだこらぁ!」

 現役時代さながらの様相でヘンリーはコートニーに手、もとい足を上げた男たちを恫喝する。その気迫に、若手であろう数人が怯んだ。

「どうもここらで見た顔じゃねえな……どこのモンだぁ? お前ら」

「これはこれはミスター」

 三下であろう男たちの人垣が割れ、その間から纏う雰囲気の異なる男が現れた。

「ああ? ……お前は、少し見覚えがあるなあ」

 ヘンリーの記憶の中に自身や後輩が調べたある人物の顔が浮かび上がる。最近この界隈で勢力を広げ、ヘンリーたちのシマにも手を伸ばしている組織のボスである男だった。そして、ヘンリーを襲うように仕向けた男――ジョン・ティラーソン。

「それは光栄です。自分のような若造の顔を貴方のような方に覚えて頂けているとは」

「白々しいんだよお坊ちゃん。俺の首はまだ欲しいか? 今なら目の前にあるぞ?」

「おやおや」

「お前が差し向けた奴らは大分やり口が雑だったが、お前は、どうなんだろうなあ?」

 ジョンの態度はへりくだっているが、ヘンリーに向けられる視線や空気は明らかに殺伐としていた。それにすぐさま気付いたヘンリーは強硬な姿勢を崩さずに相手に対応する。

「彼らは無能でした。第一線を退いた貴方に傷一つ付けられていない。時間と金の無駄でした」

 自らの行いを誤魔化すこともせず、ジョンは淡々と語る。

「そうだなあ。その無能を見抜けなかったお前さんはもっと無能なんだろうが」

 ヘンリーの言葉に取り巻きたちがざわついたが、ジョンはそれを片手で制す。

「そうですねえ。ではその無能に愛する者を傷付けられた気分は如何です?」

 ジョンは動じない。それどころか、ヘンリーを煽るような言動を繰り出してきた。表情は終始穏やかだ。

「最悪だよ。いくら慰謝料を請求しても足りねえくらいだ」

「それは良かった。無能でもそれくらいのことが出来ていれば及第点です」

 ジョンの浮かべた笑みは恐ろしく綺麗だった。普通の人間が見れば花が咲いたようだと表現するのだろうが、ヘンリーにしてみれば道化師の仮面の微笑みにも等しいおぞましさだった。貼り付けたような、本来の感情が伴わない笑みだとヘンリーは思った。男の笑みは、穏やかな感情から浮かぶ微笑みではなく、人を嘲ける笑みを極力穏やかに見せただけのものだというのがヘンリーの見解だった。故に腹が立った。

「噂通りイカレた坊ちゃんだな。胸糞悪ぃ」

「育った環境が違い過ぎるのでしょう。分かり合えないのは当然かと」

 彼、ジョン・ティラーソンの表の顔は大企業の御曹司だった。世間には幼い頃から帝王学を叩き込まれた優秀な跡取りとして知られているが、その彼の裏の顔が、最近勢力を伸ばしている裏社会の組織の跡取りだったのだ。後ろ盾が大きい分、力を付けるのはそう難しいことではなかったらしい。

「お前みたいなのに育つなら環境っては考えもんだな。俺はいくら良くても御免だね」

「そうですか。僕はその環境のお陰でこの店を手に入れられる。それには感謝していますよ」

 ジョンは元サンダースのバーだった店を見る。それに驚いたのはヘンリーだった。この店は後々ヘンリーの組織の所有になるはずだったからだ。

「おいおい。寝言は寝て言えって教わらなかったか? この店の権利は俺らのもんだ」

「それこそ寝言です。先日この店に関する全ての権利は我が社、正式には僕のものになりました」

 そう言ってジョンは1枚の紙を取り出し、広げて見せた。最近老眼が進行気味のヘンリーは目を少し紙から遠ざけた。そうして文字をハッキリと読み取ったヘンリーの目に入って来た情報は、にわかには信じがたいものだった。

「不動産、譲渡証明書だあ? おいおい、こんな胡散臭い書類で本当に証明になると思ってんのか? 私的文書もいいとこじゃねえか」

「確かに傍から見れば私的文書に見えるでしょう。ですがサインをよくご覧ください。貴方のよく知る方のものではありませんか?」

 その言葉にヘンリーはもう一度書類を凝視する。すると、作成責任者であるらしき弁護士の名前を見付けた。それ見たヘンリーは目を丸くし、その後すぐに何か悟ったように目を細めた。

「そうかい、あの弁護士はスパイだったってわけか」

「そのつもりはありませんよ。元から彼女は我が社の顧問弁護士でした。それに彼女がしたのは正当な手続きです。しいて責めるべき点を挙げるとしたら……貴方がたへの通知を忘れていたことでしょうか?」

 その弁護士、カトレア・クラックソンは巷で評判の敏腕弁護士だった。ヘンリーの組織も、過去に幾度か法的手続等で世話になったことがあり、今回もその縁で彼女に元サンダースの店の件について相談していたのだった。

「土地自体は我々がサンダースから買い取っていました。店も付属させてね。貴方、もとい貴方の組織が動くのが少し遅かっただけでしょう。そろそろミスに気付いた若い方々が泣きを入れてくる頃合いではないでしょうか」

 示し合わせたかの様な最悪のタイミングでヘンリーの携帯電話が鳴った。ちろりとポケットの中のディスプレイを覗くと、見知った名前が表示されていた。恐らく、目の前の男の言った件に関しての電話だろう。甚だ不愉快ではあるが。

「では、これから店の内見がありますので」

「分かった。店の件は不問に処す。だがお前、1つ忘れてねえか?」

「何でしょう?」

「コートニーに傷付けた奴らの落とし前はお前が付けてくれんだろ? 部下の失態はきちんと責任取れよお坊ちゃん」

「コートニー? ああ、その車のことですか」

 ヘンリーとコートニーを交互に見て合点のいったらしいジョンは、周りにいた部下の1人に目配せし、何かを取り出させた。

「おいくらあれば宜しいですか? 大きな傷はなさそうなので5万ドルくらいでどうでしょう。ああ、足りなければ0をもう1つ増やしておきますか?」

 ジョンが手にしていたのは小切手帳だった。それに事も無げに数字を記入していくジョンを見て、金持ちの金銭感覚を今日ほど疑ったことはないとヘンリーは心底思った。

「適当に書いとけよ。ったく、これだから金持ちの坊ちゃんは……」

「金は貯め、使うものです。出し惜しみをする金持ちなど糞喰らえだと思いませんか? それにこのくらいならはした金です」

 ジョンの金銭感覚にほとほと呆れたヘンリーは、店の権利のことなどほぼどうでも良くなっていた。小切手を受け取り金額を確認するのも億劫なほどだった。ジョンが最初に言った金額より幾分か増えていたが、細かいことはジョンの金銭感覚にあやかって無視することにした。

「内輪の話は済んだかお2人さん」

 ヘンリーが振り向くと、アランが気だるげに立っていた。やる気はないが、職業柄看過出来ないことが起きた時の顔だった。ヘンリーは何度かこの顔を見たことがあった。

「争うんなら路地裏でも法廷でも好きなとこへ行けよ。でも1つだけ注意しとくぞ」

「何だよ」

「何でしょう」

「いい加減車を移動させろ。おっさんもお坊ちゃんも。ここは一応駐車禁止区域なんでな」

 アランは名指しする際に本人たちではなく彼らの車を指差し、その後駐車禁止の看板を指した。頭に血が昇っていたヘンリーは気付かなかったが、ジムの店より数メートル先にジョンが乗って来たと思しき高級車が停められていた。

「これは失礼。貴方は駐禁監視員の方ですか?」

「これでも刑事だ」

「刑事さんでしたか。それは大変だ。急いで動かさなければ」

 ジョンがアランと話している間に部下が車を移動させに行く。指示がなくともよく動く、しつけの行き届いた部下だとヘンリーは思った。

「おっさんもだぞ。俺はもうコーヒー飲み終わってんだ」

「もっとゆっくり飲むなりおかわりするなりしろって……」

 ヘンリーも渋々コートニーを少し離れた駐車場に移動させる。停車後、ジョンの部下に蹴られた箇所を撫で、それ以外にも傷がないか丹念に確認する。小切手の詳しい金額は知らないが、コートニーの為に有効活用することをヘンリーは固く誓った。


「皺、増えるよ」

「今更皺の1つや2つでうだうだする歳じゃねえよ」

「人相悪いよ」

「元からだよ……」

 店に戻ったヘンリーは難しい顔をして目の前のケーキと向き合っていた。口の寂しさと糖分不足を補うために注文したものだった。クリームを控え、この国では珍しくきらびやかな色をしていないケーキに手を付けずヘンリーは先程の御曹司のことに気を巡らせていた。

「珍しくケーキ頼んだと思ったら食べてないじゃない。下げるよ?」

「いや食べる」

「早くにらめっこ止めて食べなってば。それに、悩むのはこっちの方だよ」

 ジムの言う通りだった。ジョンが向かいに何の店を構えるのかは知らないが、ものによってはジムの商売敵となるかもしれないのだ。傍目には悩んでいるようには見えないが、ジムの心中も穏やかではなかった。

「そうだなあ……そうだよなあ」

「うん」

「食べる」

「うん」

 甘さも控えめなケーキは、糖分の足りないヘンリーの頭に優しく染み込んだ。先程の御曹司を連想させる色だったが、ヘンリーはさほど気にせず、手に持ったフォークでその白い身を削り口に運ぶのだった。

「ああ、ジュリエッタの治療費を請求すんの忘れてたなあ」

「さっきの小切手でどうにかなるんじゃないの?」

「コートニーとジュリエッタの治療費は別だ。にしても、あのお坊ちゃんが大人しく引き下がるってことは警察官って肩書は強えんだな……」

「お坊ちゃんの聞き分けが良いだけでしょ。育ちの悪い誰かさんと違って」

 風も若者も、ヘンリーには鋭すぎる冷たさだった。

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