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村長宅、息子

会話文の練習のつもりだったんですがどうしてこうなった。

爆ぜる可能性があったのは私だったようです。

とりあえず家族に危険が無くてよかったと思うべきか。

力場と繋がった経路が干渉して人間に耐えられないレベルの魔力その他が来る可能性との事。

検査の結果、特に問題も無く私が爆ぜて亡くなる事は無いとの事だが。


自身のあずかり知らぬ所で起きていた生命の危機とその解決はひとまず置いといて今後の事を考える。

『剣の勇者計画』以降我が村を訪れる人も増えた。

計画にかかわる軍人研究員その他もろもろ。

それによる処理案件の増加や宿泊施設としての村長宅が手狭になってきたと言う事実。


「フム、どうしたものか」


茶をすすりながら一人悩んでいると扉を叩く音が聞こえる。


「父さん、今大丈夫かい?」

「ああ、入ってきなさい」


扉が開き入ってきた人物は我が息子アクセル。

歳の割りには賢く人柄も良く出来た息子だと思う。

まぁ親の贔屓目もあるかも知れんが。

さてなにかあったのだろうか。


「実は父さん相談したい事があるんだ。」

「フム、言ってみなさい」

「宿泊設備が手狭になってきた件なんだけど。」


今まさに考えていた事だ。

此処最近の事を考えれば息子がそれを問題に思っても不思議は無い。


「ああ、今私もその事について考えていた所だ。」

「それなんだけど、いっそのこと新しい施設を造った方がいいと思うんだ。」

「案の一つとしてはあるがな。この状況がこのまま続くのならいいかも知れんが『勇者計画』が終了した後はどうする?第一費用も掛かるし、もてあますんじゃないか?」


今の状況が続くのならばそれも考えた方がいいだろう。

だがしかし『勇者計画』が危機的状況を打破するための事業と言う事が問題だ。

当然それが終了する事も含めた計画だ。

計画関連の人間はそれが終了次第元の場所へ帰る。

新たに宿屋を作るとしてその後はどうする。

管理する人間だって必要だしそもそもこの村に訪れる理由などあまり無いのだ。

だからこそ今まで宿屋などなく我が家で泊めていたのだ。


「計画が終わった後の事なんだけどあの大砲を利用しようと思うんだ。まず大砲がどこかへ移動するかどうかの確認を取る。で、動かなかった場合それ自体が観光名所として使えると思う。どこかに移設する場合だけれどそれでも此処で造られた経緯や地脈もろもろの事を考えても十分目玉になるよ。もちろん此処にこのままあった方がいいしその方が目立つけどね。まぁどこかに動かす可能性は低いんじゃないかな?だってこれだけ大きい物を動かすには大変な手間だしなにかに、国防にとは思うけど使うとしても一門じゃどうにもならないだろう?もし使うならこれを元に何個か造った方が安いしね。そうだな、これが実験用だとして余分な物を省いて安くした形の物を間隔をあけて配置といったところかな。それは置いといて宿屋があるってだけでも他の場所に比べてこの村に立ち寄るきっかけになるしね。とりあえず建物だけ建てて管理は今まで通りウチがするって事で言いと思う。足りなければ人に任せるのも後で問題ないし。それに考えても見てよ。このまま問題なく終わったとして特に目立たなく計画が終わればいいよ?けどもし、いくつかある『勇者計画』の中で『剣の勇者が』大活躍してごらんよ。その始まりを見物しに人が詰め掛ける事はうけあいさ!なにせ剣に魔法に何でもござれと謳われたあのクランク様が中心の計画だぜ?その可能性は大きいと見るね。」




長い。

長いよ息子よ。


この子は賢いのだが何かに夢中になると周りの事が見えなくなる癖がある。

賢いだけに大筋ではあっているのだがそれでも親として言わねばならない事がある。


私は一つ息を吐き落ち着いた雰囲気を作り息子の眼を見る。

この子が小さい時からなにか諭す時にやる決まり事のようなものだ。


「アクセル。いくつかお前に言う事がある。」

雰囲気を感じ取った息子も一つ息を吐き頷く。

「まず落ち着きなさい。お前は熱くなると周りが見えなくなる癖があるのだから。」

息子は自分が熱くなりすぎていた事に気づいたのかバツの悪そうな顔をする。

「賢いお前の事だ。ある程度はその通りなのだろう。まだ話していない問題点も頭の中にはあるのだろう?」

「うん」

「観光地としての発展や人口を増やすとしての答えならそれでいいだろう。」

息子は黙って頷く。

「だがその答えの中に村のみんなの生活と言うものは入っているのかい?」

そうなのだ。

いくらこれを機にこの村が発展したとして今までの住人の生活に問題が出るのなら私は村長としてそれを見過ごすわけにはいかない。

人口が増える事による治安の問題や必要な物の増加。

いくら息子の能力が高かろうとも一人二人でどうにかできるものではないのだ。


ここに至りその事に気づいたのか暗い表情をみせる。

「だがまぁ」

私は話を続ける。

「あの大砲を動かすかどうかの確認は必要だろうこの際だお前が確認を取りなさい。『勇者計画』もすぐに終わるものではないしな。

その事も含めよく調べよく考えなさい。もちろん私にちゃんと相談する事は必要だがな。」


「はい!」

全てを否定されたわけではない事に気づき少しばかり表情を戻した息子は元気よく返事をして部屋を出て行く。


最初から全て上手く行く事などそう多くは無い。

まだ若いのだ。

今回の事も含めて少しづつ成長してくれればいい。

そうだな今度なにか新しい仕事でも任せてみるか。


そして飲み掛けのちゃを飲み干して書類に向かいなおす。


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