村長宅、キャノン
三話目にしてやっと村長の名前が。
巨人となったクランク様はさておきこの村における勇者計画も無事に終わり我が家も修理する事となる。
村の大工であるナットも腕の振るい概があるなと意気揚々だ。
そしてあくる日。
「なぁナット。いくつか聞きたい事がある。」
「なんだ」
「あれはなんだ。」
「大砲だ。」
「それはわかる、わかりたくはないが。その大砲がなんで家についてるんだよ!
注文は家の修理だろうが!要塞の建設を注文した覚えは無いぞ!つーかまたでかいなおい!
家って言うより大砲の隙間に住んでるみたくなってるじゃねーか!」
修理されたはずの我が家には何故か巨大な大砲が『組み込まれて』いた。
屋根に乗っかっているとかそういったレベルじゃない。
二階辺りから壁を突き出して砲身があり馬で運ぶようなものとは雲泥の違いを見せるでかさだ。
大砲としてみればそれなりに素晴らしい出来だろう。
家であった部分との違和感もさほど湧かずナット自身の腕のよさが見て取れる。
此処まで上手く作れる人間はそうはいないだろう。
だがこれは家だ。
軍事基地でもなければ大砲置き場でもない。
人間が生活する家だ。
こいつは昔からそういうところがあった。
手先は器用だし気もいい奴だ。
だが何がしか余計な一手を加えたがる。
ちょっとした彫刻を扉の端に施したりするのはまだマシだ。
それ自体はなかなかに評判も良かったりするが、ひどい時は玄関に木彫りの胸像を置いたりする。
いつの間に作ったか誰もわからないほど仕事が早くまた出来も良かったりするのだがその木彫りは
特に有名でもない隣人だったりするのだ。しかも生き写しかのように似ているから気味が悪い。
流石に気味が悪すぎて撤去されていたが。
「んぁあ、で家についてる魔道砲の事なんだが」
「アレ魔道砲だったんか」
「まぁアレだけでかいとな」
魔道砲。普通の大砲と違って魔法の力をどうたらこうたらするらしい。
詳しい事はわからんが。
「その辺りの事はわからんがその魔道砲がどうした?」
「あぁ超長距離間射程多目的魔道砲、名づけて『アルベルト砲』だが』
「人の名前を大砲につけるな」
アルベルト。私の名前である。
「いいと思うんだがな。まぁそのアルベルト砲だが『勇者計画』の副産物なんだわ」
「あ?どういう事だ?」
「剣が刺さった時の事おぼえてるだろ?」
「忘れようが無いな」
「で『勇者の剣』を具現化するときに地脈やらなんやらまで使ったのも覚えてるか?
その時刺さった部分に力が集中しやすくなるって予測があったわけさ。で事実あったと。
それをそのままってのももったいないってんで何がしかの装置を開発、組み立てたと。
もちろん資材は向こう持ち。払われる予算は純粋にこちらの取り分って訳さ。」
なるほど事が事だけに打てる手は打っておくってワケか。
「なるほどな。とりあえず家に大砲が付いてるわけはわかった。がしかし一言くれてもいいのにな。
嫁さんになんていわれることやら。」
「その件なんだが」
「どうした」
「余った資材とサービスで水周りもろもろ新しくしたら機嫌がよかったぜ。
あともろもろ伝えてくれって言われてたの今思い出した。」
「なるほど原因はおまえかこのやろう。」