村長宅、変形!飛翔!帰還!
家を空けていたら魔物の王が討伐されたらしい。
いや流石に驚いたよ。
どうやら戦線の状態に変化が起きたらしくこの地域にも非常呼集が掛かったらしい。
もろもろの話し合いで家を出ていた私が眼にしたのは我が家が人間形態に変形して空を翔る姿だった。
我が家は緊急時として徴発を受けたらしいがソレよりも心配なのは家族だ。
幸い、というか何というか全員外出中だったようですぐに顔をあわせる事が出来た。
家の変形はナットにお前がやったのかと聞いてみれば一言「おう。」
もうお前大工じゃないんじゃないかな?
もう国に仕えろよとか思ったが口にはだせない。
村としてみれば問題はあるにせよ腕のいい大工の存在は必要だからだ。
問題はあるにせよ。
昔馴染みと離れるのは寂しいしな。
しょうがないのでその日は夫婦揃ってナットの家に泊めてもらう。
息子は友人の家に厄介になるそうだ。
ナットと酒を飲みつつ昔話に花が咲く。
あの頃お前はああだったとか
その時お前はこんなことをしたとか
そんなたわいも無い話。
日が暮れ夜が開け太陽は真上を通り過ぎさてどうするかなと考えていた頃に連絡がきた。
勇者計画完遂しせり。
魔物の王は見事討伐されたようだ。
聞くところによるとクランク様が中心となって戦線を維持していたところ
魔物の王本体が出現し戦況が変化。
じりじりと悪化しあわや戦線崩壊かという所で
元我が家(あれはもう既に“家”ではない)が駆けつけ魔物の王に砲撃を命中させる。
他に待機していた戦力も投入して見事討伐は完遂されたといった
何本立てかの演劇が出来上がりそうな話があったわけだ。
なぁナットお前がいじった家凄い事になってるぞ。
その後領主邸であるバルブ家にナットと共に招かれる。
理由としては今回の貢献に対してというものだ。
ナットはあれだけ改造やら何やれでやらかしたというか関わっているのだから当然と言えば当然か。
私は村長である為村の代表という事と元の家の所持者である事や不本意ながら
アルベルト砲と名前が付いてるなどの関係もあり招待された。
バルブ家当主スチーム様は御子息が活躍されたこともあってか
やや上機嫌に村の復興支援を約束してくれた。
正直な話助かります。
何日もナットの家に世話になるのは気が引けていたのでそういう意味でもありがたかった。
宿泊費向こう持ちというのはでかい。
元我が家は村に置く事になった。
戦いの余波で修復したとしても住居としてはもう駄目だろう。
記念碑的な何かとして村に鎮座する事になるのだろう。
さて家を建てるかな。
私達家族が帰る我が家を。