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村長宅、刺さる

初投稿です。

長文の練習のため書いてみましたが正直きつい。

私がこの家に暮らしてどれほどの年月が経っただろうか。


この場所に生まれ物心付いた時にはまだこの家は無く村と言うほどの大きさも無い小さな集落だった。

長く続いた戦争も終わりに近づき領主の館がこの近くに出来た事と案外水の利が良い事も手伝って徐々に人も増えていき、その内に村として形になると父は元々従者か何かをしていたらしく読み書き計算が出来それなりの体力があったのも手伝い自然に村長として扱われていった。

魔物の類が出ないと言えば嘘になるし危険が無いわけではなかったがそれなりに楽しい少年時代だったと思う。

来客の増えた我が家は村役場としても使えるように大きく立て替えられ小さな村にしてはそれなりのものだと思う出来になったと感じた。

私は父の後を継ぎこの村の村長にそれから数十年。

その間に恋をして愛を告げ共に誓い結婚をして息子が生まれその息子もそろそろ一人前の顔つきになるかどうかと言った所だ。

まぁ私からしてみればまだまだだが。

辛い事も楽しい事も困難も幸福もあった思い出深い我が村の我が家を見てしみじみといろいろあったなと感慨深くなる。


だからこそ。

だからこそ何だが。



ど う し て こ う な っ た 。



我が家に剣が刺さっている。

最近活発化している魔物による被害を調査した結果、魔素の集中化による魔物の王とも呼べるモノの出現予測。

それに対応するための国家を挙げての『勇者計画』。

いくつかのタイプの戦力を作り上げそれを機軸に更なる技術を開発すると言う国中の魔道士及び研究者を挙げての一大事業。


その内の一つ『剣の勇者計画』。

各種魔道具だけに留まらず地脈その他まで利用し高性能な剣を作り上げると言う計画だ。

調査の結果、剣の出現場所に我が村が選ばれそして『勇者の剣』が我が家に刺さった。


そこまではいい。

確かに剣が刺さるのはなんだかなぁとは思うが国の一大事であるし村民にも係わる事だ。

無視できるものではなし、それに対抗する手段が此処から生まれるのならそれは誇り高い事でもあるだろう。

だから問題はそこじゃない。



で か い だ ろ こ れ。



我が家もそれなりの大きさのはずだ。

宿屋など無いこの村ではある種の宿泊施設もかねるためそれなりの大きさに造ってある。

屋根裏の少し狭い部分も含めれば三階建てだ。

だが刺さっている剣の大きさはどうだ。

高さだけでもその倍は確実にあるだろう。


え~と剣だよねこれ。

こう、手に持って敵を叩ききる奴だよね。

両手剣とかそういう問題じゃないよねこの大きさは。

あれ?これもしかして失敗したのかな?

失敗だよねこの大きさじゃ振れないものね、まぁお気を落とさ「おぉ!成功だ!」成功なのかよ!


いやいや成功っておかしいだろ剣だよ剣。

『剣の勇者計画』で『勇者の剣』だよねこれ。

でかいの?勇者?もうこれ剣というかちょっとした壁だよこれ。

たぶん家の中部屋数増えたみたいな感じになってるよ。

むしろこれを柱にして家が建つよ。


「おぉ…これは凄い…!」


村人の誰かから感嘆の声が漏れる。

うん凄いとは思うよー、これだけでかいものねー。

だけどねー村のみんなも気づいて欲しいなー。

成功の一言に湧き上がるのもいいけどさー。

おいちゃん正直びっくらこいてる状態だよ。

だってこう長年住んできた我が家にだね、剣のオブジェが刺さってるんだよ。

パッとみ家の方が後から出来たみたいになってるんだよこれ。

もう村長の家じゃなくて剣っぽいなにかにくっついた家だよねこれ。

どうすんの抜けないよねこれ。


「では村長。後日これを抜く勇者を連れてくる。それまで不便だと思うがこれも国のため耐えてくれ。」


抜けるんですね。

そしてでかいんですね勇者。


うわーでかいのかー勇者。

つか相手魔物だよね?魔物の王様的なそんな感じの奴だよね。

魔物って確か大きくて牛より2周り程度だよね。

何?魔物の王様だとでかいの?それとも数?たくさんくるの?王様なのに。

どうすんだよこれ。

抜いた後直すの大変だぞこれ。

正直修理費でこの後とんでもない事になるんじゃないか。

え?補修に掛かるお金は出していただける?

助かります本気で助かります。

まぁ家を直す機会が出来たと思ってあきらめるか。

では皆さん広場の方にささやかですが成功のお祝いとして酒席を用意してあります。

流石にこうなるとは予想してませんでしたが。



酒席も終え『勇者計画』の皆様も帰路につき片付けも終えると剣?の刺さった我が家を見上げてみる。

それにしても魔物の王か。

確かに馬鹿げているがこれだけの物を用意しなければならない事態とは一体どういった事なのだろう。

この村には愛着がある。

愛する家族がいて愛すべき村人がいる。

困難もあったがそれなりに平和でもあった。

一抹の不安を覚えるが私に出来る事は少ないだろう。

一村長としての責務を果たすのみだ。

ふむ、今回の書類を片付けて今日は休むとするか。



…あ、書斎が半分になってる。

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