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今度は見ない。必ず見ない

作者:
掲載日:2026/03/26

からん

何かがコンクリートに落ちた音がした、思わず振り返って地面を覗く。


昨年祖父が亡くなった、祖母はひとりで住んでいるので、前より頻繁に家を訪れるようになった。


「あーちゃん?昨日開いた眩しいやつは持ってきてくれた?」

私は頷きながら「百合の香りのする眩しいやつだよね?」と問う


祖父と祖母に可愛がってもらったものの、御役目を果たすことになったのも、また祖父と祖母のせいで、私の意識は混乱していく。


「あんなに言ったのに、忘れてたね?」

祖母に言われぎくりとする。

鳥居の向こうのあの景色を思い出したからだ、沢山の、数え切れないほどの地蔵。


くどくどと祖母の説教に思わせない、優しい話が続く。

結局説教だ。


「あっちに行ったらおかしくなるんだもん」

がたん。

何かがひっくり返る音がした。

私は思わず頭を庇った。


透明だった水が煤けたような色に変色している。

水道から。

ぴちゃん。

と水滴の音がした。


祖母の家から出る、祖母は

「またうまくいったときは、いらっしゃい」いつもの台詞なのに毎回鳥肌が全身にびっしり立つ、足の裏まで。


祖母の真っ黒だった目に、一瞬だけ光が刺した。

ほんの一瞬。


からん。

コンクリートの上に、またなにか落ちた音がした。

今度は見ない。

必ず見ない。


閉じてもいい?は閉じなくてもいいに変わった。





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