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売れ残った転移者は異世界を謳歌する  作者: 無糖こーひー
1章 売れ残りは動かない
3/23

3"売れ残りは何も起こさない

村での生活は、拍子抜けするほど単調だった。

 朝起きて、畑を手伝い、昼は簡単な食事をとり、夕方には家に戻る。それだけだ。だが、不思議と飽きは来なかった。

「助かってるよ」

 畑で一緒になった村人が、ぽつりと漏らす。

「何がですか?」

「作物の育ちがいい。去年より、ずっとな」

 天候が良いわけでも、肥料を変えたわけでもない。ただ、土が落ち着いているのだと言う。

 別の村人は、夜が静かになったと言った。

「前はな、夜になると見回りが欠かせなかった」

「魔物ですか?」

「ああ。遠吠えだけでも聞こえると、眠れなくてな」

 今は、それがない。

 村全体を覆っていた、じわりとした緊張が消えている。

 原因は分からない。

 だが、誰もが無意識に理解していた。

 ――何かが、ここにある。

 夕方、村長のバルドが酒を片手に言った。

「お前、妙に落ち着いてるな」

「そうですか?」

「この村に来た旅人は、大抵そわそわする。魔物の話を聞けば尚更だ」

「……慣れてるだけかもしれません」

 嘘ではない。

 ただ、理由を説明する言葉が見つからなかった。

 夜、寝台に横になり、天井を見つめる。

 ここは安全だ。

 根拠はないが、確信に近い感覚があった。

 その感覚が、どこから来るのか――

 考えるのを、やめた。

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