表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
売れ残った転移者は異世界を謳歌する  作者: 無糖こーひー
1章 売れ残りは動かない
13/23

12"最初の違和感

その一団は、昼過ぎに村へ入ってきた。

 旅装ではあるが、行商でも巡礼でもない。数は五人。全員が武器を身につけ、周囲を警戒するように歩いていた。

「……ここか」

 先頭の男が、村を見渡して呟く。

 畑では作業が続き、子どもたちは道の端で遊んでいる。警戒の様子はなく、見張りもいない。

「拍子抜けだな」

「だからこそ、だろ」

 後ろの男が低く返す。

「本当に何かある」

 彼らは宿を求め、村人に声をかけた。

「この村、魔物が出ないって本当か」

「最近は、見てないな」

 それ以上、村人は答えない。

 曖昧な返事に、男たちは顔を見合わせた。

「隠してるな」

「まあ、いい」

 その日の夜、焚き火の周りで彼らは酒を飲んだ。

「奇跡の村だって話だったが……」

「奇跡を見せるのは、人じゃなく場所かもしれん」

「どちらにせよ、確かめる価値はある」

 言葉の端々に、期待よりも打算が滲む。

 ユウトは少し離れた場所から、その様子を見ていた。

 視線が合うと、男の一人が口角を上げる。

「お前も、噂を聞いて来た口か」

「……住んでるだけだ」

「ふうん」

 それだけで、会話は終わった。

 だが、空気は変わった。

 夜が更けても、村は静かだった。

 魔物の気配もない。

 異変も起きない。

「……何も起きねえな」

「それが一番、おかしい」

 翌朝。

 一団の一人が、村の外れまで足を伸ばした。

「結界……でもない」

 地面を調べ、空を仰ぐ。

「だが、確かに近づきたくない感じがする」

 説明できない違和感。

 それが、彼らを苛立たせた。

「力があるなら、使わせる方法はある」

 その言葉を聞いた瞬間、ユウトは立ち止まった。

 胸の奥が、冷える。

 村人たちは、まだ気づいていない。

 噂を信じて来た者の中に、

 “奪う”選択肢を持つ者がいることを。

 この村にとって、初めての異物。

 それは剣を振るう敵ではない。

 静けさを壊しかねない、人の意思だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ