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売れ残った転移者は異世界を謳歌する  作者: 無糖こーひー
1章 売れ残りは動かない
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1"売れ残りは名札を付けられる

こんばんは。コーヒーと言います。また、始めてみたいと思い書いてる次第です。何かあれば都度前書きを乗せていきます。基本的には連日掲載で頑張ります。よろしくお願いしますm(_ _)m

最初に感じたのは、違和感だった。

 足が、床に触れていない。

 いや、触れているはずなのに、重さがない。

 目を開けると、白い空間が広がっていた。

 壁も、天井も、空もない。ただ、どこまでも続く白。

 周囲には、人がいた。

 学生服、スーツ、部屋着。見覚えのある“現代”の服装。

「……ここ、どこだ?」

 誰かがそう口にした瞬間だった。

 ぱん、と軽い音が鳴る。

「はいはーい、静かにしてちょうだぁい」

 空間の中央に、いつの間にか立っていた人物。

 派手な装い、くねるような立ち方、男とも女ともつかない雰囲気。


「初めましての子も多いわよねぇ。私の名前はジューム。今日の司会進行役よぉ」

 司会。

 その言葉に、嫌な予感が背中を走る。


「さてさて、本日は異世界転移オークションにご参加いただき、誠にありがとぉございます♡」

 一瞬、空気が止まった。


「……は?」 「オークション?」 「ふざけてるのか」

往々にして声を上げる


「ふざけてないわよぉ。大真面目」

ジュームは肩をすくめる。

「だってあなた達、もう“商品”だもの」


 指を鳴らすと、空中に文字が浮かび上がった。

 数値、スキル名、適性評価。

「はい、最初の商品はこちら。勇者適性S、魔力量A+、祝福複数持ち。王国第一騎士団、即決どうぞぉ」

 光が弾け、一人の青年が消える。

 悲鳴を上げる暇もなかった。

 次々と、人が消えていく。

 値段を付けられ、評価され、落札される。


「やめろ……」 「帰せよ……!」


「帰れないわねぇ」  

ジュームは楽しそうに言う。

「だって向こうは、もう“切った”んだもの」

 時間が経つにつれ、残る人数は減っていった。

 そして――

 呼ばれなくなった。

「……あら?」

 ジュームが首を傾げる。

 残っているのは、十数人。

 その中の一人が、俺だった。

「ちょっと測定し直しましょ」  ジュームがこちらを見る。「あなた、変なのよぉ」

 空中の文字が切り替わる。

【勇者適性:測定不能】

【魔力量:反応なし】

【祝福:該当なし】

 ざわめきが広がる。

「……壊れてる?」 「一般人じゃね?」


「うーん、困ったわねぇ」

 ジュームは顎に指を当てる。

「強いか弱いか分からない子って、一番売れないのよ」

 売れない。

 その一言で、立場が理解できた。

「で、売れないとどうなる」  

俺はそう聞いた。


「いい質問♡」  

ジュームは笑う。

「廃棄はしないわ。そこまで冷酷じゃないもの」

 指を鳴らす。

 袋が落ちてきた。

 中には少量の金と、簡素な装備、木札。

「最低限の初期資金と身分証」 「それから……自由行動♡」

「……それだけか」

「それだけよぉ。売れ残りだもの」

 次の瞬間、光が俺を包む。

 消える直前、ジュームと目が合った。

「ねぇ、あなた」  彼女は囁く。

「値段が付かないってことはね、“枠の外”ってことなの」

視界が白に溶ける。


「せいぜい、壊れないように生きなさぁい♡」

 ――そして俺は、異世界の地面に転がった。

 勇者でもなく、商品でもなく。

 ただの、売れ残りとして。

 この時はまだ知らなかった。

 何も起こらない場所を選ぶことが、

 この世界で一番、面倒な選択だということを

最後まで読んで頂きありがとうございますm(*_ _)m


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