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《要約するとこんな感じの話をこないだの旅行で聞いたんだけど》
《佐々木くん知ってた?》
《全く》
《でもなんか納得した》
《なんであんなに優しいんだろうとはずっと思ってたから》
《一回強く言っちゃったことがあるって言ってたけど》
《あったなーー。でもびっくりしたけど確かにその通りだったし》
《いつも口に手当てながら目細くして笑ってるし、うんうん、って話聞いてくれてたし》
《逆にそのとき安心した気がする。ちゃんと俺と同じような感情とか感覚があるんだなあって》
《へえ》
《優しいんだね》
《佐々木くんも》
《どうしてそうなる》
《人の優しさに気づけるのは、優しい人だから》
《えーなになにーーーなんか奢ってくれるの?》
《焼き肉がいいなあああああ》
《スタンプ》
《あんた奥さんいるでしょーが》
《浮気する気???》
《ほう。苑子は浮気だと思うんだな》
《ただの同級生との食事が》
《そーゆーことを言っているんじゃない!》
《あたしが違くてもそうは思わない人もいるの!!》
《LINEですら気が引けるんだから》
《気が引けているはずなのに結構会話続いちゃってるけど》
《それはあんたが良からぬ方向に話を広げるからでしょーが》
《あたしのことはいいのよ》
《曲がりなりにもあんたケースワーカーでしょ》
《何とかしなさいよ》
佐々木はベッドの上で胡坐をかきながら空想する。
「ああ、僕なら――」
あの頃の教室へ行く。




