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お出掛けですか?いいえデートです②

やりたいことが多すぎて、平行してもう一作品書くことにしました。

今日明日くらいで出すつもりなんで、時間や興味があれば読んでみて下さい

女性の獣人の店員が商品を持ってくる。

「お待たせいたしました。ご注文のアイスコーヒーとカフェラテです」

「ありがとうございます」

「ご確認なのですがお客様たちはカップルでしょうか?」

「え、いや俺たちは友だ━━━」

「━━━はい!そうです!そう見えますよね!」

否定しようとしたラウルを遮るように食い気味でエミリーが肯定する。

「やはりそうですよね?実はカップルの方にはパンケーキのサービスが御座いまして。ご希望が御座いましたらご用意いたしますがいかがなさいましょう」

「なら是非ともお願いします」


エミリーの要望を聞き付けると店員はパンケーキを用意するため一度下がった。

ふとエミリーを見ると、今度はあからさまに不機嫌そうな様子が見て取れた。

「………ラウル。何でさっき否定しようとしたの?」

「さっき?ってもしかしてカップル云々のやつか?だって俺とエミリーは付き合ってないのにそういうサービス貰ったらダメじゃないか?」

「ダメじゃないわよ!大体こういうサービスのある店は本当にカップルかどうかなんてどうでもいいの。ただ店の宣伝になるからそういうサービスをしてるのよ!」

(※エミリーの個人的感想です)

「そ、そういうものか?……でも俺と付き合ってるなんて噂がたったらエミリーも困らないか?」

「寧ろ助かるわ。身の程知らずが私に逢瀬の誘いをしてくることなんてザラなんだから」

一瞬ズキッとした。

エミリーが知らない男と二人で会おうという状況を考えると何故か苦しくなる。

しかしその理由を知るのにはラウルはまだ時間がかかるのだった。



数分後運ばれてきたパンケーキを見てエミリーの眼は輝いていた。

生クリームにフルーツまで乗っており、とてもサービスで出すには豪勢すぎる代物になっている。

ついつい採算取れるのか?と心配になってしまうのはラウルの悪い癖だ。

「さぁ、食べましょうラウル。取り分けるからお皿頂戴」

「ありがとう。でもそんなに沢山いらないからな。言うても朝食食べたばっかりだし」

「そう?じゃあそうするわね」

そういうとテキパキとパンケーキを分け出す。

ちゃんとクリームとフルーツも載せてさながらプチパンケーキをこちらに寄越してくれた。

食べてみるとこれまた美味い。

パンケーキ自体もフワフワでクリームの甘さも全くくどくない。

いよいよサービスで出していいのか疑問になってくる。

一方のエミリーはその美味しさに夢中になっていた。

A級の魔法使いといえども、こう言うところは年相応で可愛らしいと思ってしまう。



他愛ない話をしているとあっという間に30分ほど時間が経過していた。

丁度二人とも飲み物が空になった。

時間的にも昼時が徐々に近くなる。

あまり長時間占領するのも良くないので会計を済ませて出ることにした。


「はい、ありがとうございました。また来てくださいね」

本当にドリンクだけの料金であった。

ちなみに会計はラウルが支払った。


「ごちそうさまラウル」

「気にしないでいいよ。それよりさっき話してた露店とか見に行こうか」

「ええ。エスコートは頼んだわよ」

そう言って手を差しのべてきたので、先程と同じように手を繋ぎ歩き出した。

その時だった。


「━━━止まれ!ラウル・ロジャース!」

正面上空から軍服を着た男が目前に着陸した。

「えっ!?な、何ですか!?」

「王都特務隊第4班班長リーゼル・バッファである。ラウル・ロジャースだな?貴様には拘束令状が出ている。おとなしく着いてくるんだ」

リーゼルに続いて十数人の班員と思われる者達も合流する。

全員こちらに武器を構えてジリジリ迫ってくる。

周囲にいた人たちは一目散に逃げ出している。

どうするか考えていると、横からメラメラした気配を感じ取った。

「………じゃないわよ」

「エ、エミリー?」

「私とラウルのデートの邪魔をするんじゃないわよ!」

刹那、エミリーを中心に凄まじい魔力の渦が出現する。

地面を抉り、紅い瞳には敵意に似た何かが宿っている。

「ス、スカーレット様!?」

リーゼルは驚きと焦りの表情を見せる。

どうやらエミリーの事に気付いていなかったらしい。

特務隊と言うのがどれ程の実力者かは不明だが、たじろぐ様子を見るに明らかにエミリーの方が格上であろう事は容易に察することが出来た。

「も、申し訳ありません。しかし我々も王命であり……」

「だから何?まさかこの私と正面からぶつかるつもりなら、命の保証はしないわよ?」

指揮棒ほどの杖を顕現させると先端をリーゼルに向ける。

「ラウル、どうする?殺す?」

「どうもこうも事を荒立てるな。

………分かりました、付いては行きますが何故このような手荒ともいえる方法を取ろうとしたのか後で説明はして貰いますからね。

だからエミリーもそろそろ杖と魔力を押さえて。班長さん以外気絶してるから」

「~~~。まぁラウルがそう言うなら」

やや不満げも、杖を収納し魔力も収束させる。

「次、こんな真似したら問答無用で敵対したと見て対応するから。以後気を付けなさい」


気絶した班員たちは街の衛生兵に任せて、リーゼルに続いて王都に続く転移門に向かっていた。

事は収まったが、エミリーの機嫌は依然として悪い。

折角のお出掛け(デート)が潰されたから当然といえば当然だ。

現在は腕組をして歩くことで何とか機嫌を保っている。

一方のラウルはと言うと、心当たりしかないことに焦りを感じていた。

(もしかして、加護の事バレてるのか?拘束令状レベルってことは相当に重い出来事と捉えられているな。エミリーがいなかったら力で拘束されてた可能性高そうだし逆に助かったとも言えるか)

考えていると前方を先導するリーゼルが口を開く。

「ラウル殿、先程は申し訳なかった」

「……いえ、でも何故あんな風に?」

「実は私も理由は聞かされていない。王からは手段を問わずに連れてくるように、とだけ伝えられていたので。無論、ラウル殿が我がリゼルハイトにおいて重要な位置の商人であることは私たちも理解はしています。それが故に何故王がここまで戦力を投入しようとしたのか私も知りたいところです」

表情、声色、仕草など見ても嘘は付いていなさそうだった。

おそらくラウルの予想通り、加護の件がバレているのであれば誰彼構わず話をしていい内容ではない。

そういう意味じゃ情報の統制は取れていると見ていいだろう。

「さぁ、ここが王都に繋がる転移門です。ラウル殿、スカーレット様これより王に謁見していただきます」

門に入ると目映い光が3人を包む。

さて、鬼が出るか蛇が出るか。

王都への道が開かれた。

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