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お出掛けですか?いいえデートです①

まだまだ投稿してないのに意外と見て貰えて驚きです

頑張って2ー3日を目安に出せるようにしてます

エミリーを家に上げると、一旦ソファーに座って待って貰うことにした。

片付けを手短にし、二階に上がり着替えをする。

正直格好は何でも良いと言えば良いのだが、エミリーと行動を共にするとなれば話は別だ。

リゼルハイトに7人しかいないA級魔法使いと言うだけで話題性抜群だが、その実力に加えて彼女は相当美人で可愛らしい容姿をしている。

それも相まって、リゼルハイト随一の有名人であり人気者なのがエミリー・スカーレットだ。

そんな彼女と並んで歩く男がズボラな格好をしていては彼女の品位と格を落としかねない。

つまりラウル的にはエミリーと共に行動をするための最低条件と考えている。

しかしながら、ラウルは気付いていないがエミリーはラウルに対して友人以上の好意━━━つまりは恋愛感情を抱いている。

そんな彼女からすれば正直ラウルがどんな格好でいたとしても手放しで褒めるだろう。

それが例え腰にタオルを巻いただけと言う極端なシチュエーションであってもだ。

実際一階の居間で待っているエミリーは内心かなりウキウキ状態だ。

(突発的だけど、デートに行けるなんて。さっきはあんな風に言ったけど本当は気配を感じた瞬間飛んで行こうと思ったのよ?けどお父様もお母様もいるのに屋敷から抜け出すのは出来なかったの)


エミリーの実家であるスカーレット家はリゼルハイトでも古参にあたる名家であり、代々有力な魔法使いを何人も排出している。

古くから国を支えた一家であるだけあり、それだけ土地や富が宛がわれている。

それが故に屋敷を狙おうとする不届きものも少ないわけではない。

そのような理由もあり自体の警備は超厳重であり、むやみやたらに抜け出そうものなら屋敷中が大騒ぎとなってしまう。

エミリーも名家の令嬢として育てられただけあり、他者に迷惑のかかるような軽率な行動はしない。


そんなこんな待っているとラウルが降りてくる。

「ごめんエミリー、待たせたね」

「いいわよ、いきなり押し掛けたのは私なんだし」

振り返り着替えたラウルを見る。

グレーを基調としたワイシャツに、ベストを羽織り黒い長ズボンを履いている。

突発的でもそれなりのお店に入れそうなドレスコードを意識して用意した。

「うん、やっぱり私の目に狂いはなかったわね」

そう、実はこの服はエミリーがラウルのためにプレゼントした物である。

一応市販品と言うことになっているが、スカーレット家御用達のデザイナーに依頼した完全オーダーメイドの品なのだ。

サイズなども寸分の狂い無くラウルにピッタリになるようにオーダーを出している。

どのようにしてサイズを把握しているかは企業秘密である。

「結局エミリーと出掛けるならこれがいいかなと思って」

「ふふ、合格よ。じゃあ、どこに行きましょうか」

唐突に決まったお出掛けもといデートであるため現状はノープランである。

ここはラウルの腕の見せ所だ。

少し考え込んでみる。

すると先日とある客から聞いた話を思い出した。

「そうだな、じゃあ南区画行かないか?」

「南に?珍しいけど何かあるの?」

「確か結構な規模のバザーをやっているらしい」

「うん、良いわね。じゃあ、向かいましょうか」

そう言うとラウルの家に設置されている転移門の前に向かう。

転移門とは多くの場合街と街の入り口に設置されていることが多く、広く一般的に使われるものである。

一度登録した場所であれば行き来可能と言う代物だが、ラウルのように個人宅にあると言うのはかなりレアケースだ。

商業施設などを除けば、一部の名家や貴族達の家にあるかないかくらいである。

ちなみにスカーレット家には当然転移門は存在する。

個人の敷地の転移門は土地所有者の許可がない限り入れない仕組みになっている。

では何故ラウルの家に転移門が設置されているかと言えば、端的に言えば国王からの褒美である。

実はロジャース家も古くから物流などの観点から長くリゼルハイトの繁栄に大きく貢献していた。

その点を評価され極めて異例ではあるが貴族などでないロジャース家に転移門が設置されたと言う経緯がある。

「転移、サウスパーク」

目的地を伝えると二人の身体が眩い光に包まれる。

数秒後光が収まると、眼前には人通りのある公園が広がっている。

バザーがやっていると言うだけあり、その人の集まりに便乗した屋台なども多くある。思いの外家族連れなども多い。

「思ったより人が多いな」

「良いわよ別に。そ、それよりも人が多くてはぐれてしまいそうね」

チラッとこちらをわざとらしく見てくる。

右側に立つエミリーの左手は少し落ち着きがない。

求めることは分かっている。ここで無視をした方が後が怖い。

黙って右手を彼女の左手と重ねる。

「これならはぐれないだろ?」

「ッ!?………そ、そうね。ラウルにしては気が利くじゃない」

頬を赤らめながラウルを褒める。

手を繋いだまま歩きだし、二人は公園内を見て回ることにした。



公園内は子供やバザーで商品を売ろうとする商人たちの声などで活気づいている。

古着や小物、装飾品なども売っている。

ぶっちゃけラウルの眼には、まぁバザーならこんなものだろうと言う物ばかりであり真新しさなどは感じない。

それでも何故バザーに来たかといえば一つはエミリーと出掛けるのであれば単純に南区画にはあまり来たことがないからだ。

そして裏テーマを言えば、バザーには時折掘り出し物があるからそれを探しに来たのだ。

だがそれをエミリーに悟られれば自分よりバザーの商品かと拗ねてしまうため注意が必要だ。

幸いと言うか当のエミリーは普段見ないバザーの光景に気が向いているためまだ気付かれることはなさそうだ。

しかしこれと言った物はなさそうであり、目に入ったカフェに入りコーヒーブレイクすることにした。

ちなみにラウルはブラックコーヒーが好きで注文したが、エミリーは苦いものが苦手でありミルクと砂糖マシマシのカフェラテを頼んでいた。

テラス席に案内されるとしばし商品の到着を待つ。

「エミリーは何か気になる店とかあったか?」

「うーん、面白そうだけどこれっていうのは無かったわね。ラウル的に良さそうな品はあった?」

少し記憶を思い返してみる。

「正直一般の人がやってるモノだから惹かれるものはないと言えば無いかな。でも機能性とか無視すれば良いデザインの商品とかは多いと思うぞ」

「じゃあ折角だから私に似合いそうなの選んで欲しいわ」

「?エミリーは何を着けても似合うと思うけど?」

「ッ!?そ、そういう話じゃないのよ。その……ラウルに選んで貰うことが大事なの!」

「良く分からないが、そう言うことなら頑張るよ」

そうこう話をしているとテーブルに商品が運ばれて来るのだった。

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