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仲間が増えた

忘れてたわけではありません

ただ他の作品の方にフォーカスが当たりすぎてました

こっちもボチボチ再開します

キャロルとの戦闘を終えると今度はニコラスとの謁見が始まる。

謁見とは言うものの言わば裁判である。

リゼルハイトの上級貴族には私有地で起きた事件に対しては独自の裁量権が与えられている。

リゼルハイト最大級の名家の敷地に無断で襲撃というのは懲罰物であり、どのような刑が執行されても文句は言い難い。

いくら顔馴染みのアルトリアのパーティーメンバーと言えど厳正な処罰は必至と思われた。

しかしながら意外なほどニコラスの下した処遇は寛大といえるものだった。

「冒険者キャロル、此度の我が領地への無断侵入及び客人への襲撃は本来であれば厳正な処罰が与えられて同然と私は考えている。しかし今回に限り被害が殆どないこと、勇者ラウルの実戦経験に貢献そして再犯の恐れが限りなく低い事を加味して以下のように処罰を言い渡す。━━━そなたには此度勇者ラウルが向かう東都遠征に同行せよ。尚、この裁定は勇者アルトリアの了承のもと決まったものであり一切の拒否は認めない」

「承知しましたニャ」

「寛大な処置、感謝いたします」

深々と礼をするアルトリアとキャロル。

「さて、では朝食としようではないか。アーシャ、皆様を案内するように」

「承知しました。皆様、向かいましょう」



朝食に関してもシャルロットが朝早くから仕込んでいたようで簡易的なビュッフェ形式が取られていた。

その為当然の来訪者であるキャロルが食べる分まで問題なく準備がされていた。

「皆おはよう。朝早くから頑張ったからお腹空いたでしょう?しっかり食べてね」

「ありがとうございますシャルロットさん」

朝から身体を動かしたこともあり今までないくらい空腹感にみまわれているラウル。

普段なら十分すぎる量の料理を皿に盛り食べていくのだが、不思議と十分な満腹感がない。

またシャルロットの作る食事のクオリティも高いことがありどんどん手が進む。

そんな様子を見てエミリーは自分が作ったわけではないが何だか微笑ましく感じてしまい笑顔を見せる。

「フフ、戦闘するとお腹が空くでしょ?」

「あぁ正直思ったより。いつもならとっくにお腹一杯なんだがまだまだ食えそうなくらいだ。魔法具だってのにエネルギーを持っていかれた感じがする」

「ラウルのその感覚は間違いじゃないよ。ある程度のレベルに到達した戦闘では魔法を用いようが用いまいが神経をすり減らすし同時に複数のことを考える必要がある。まぁ分かりやすく言えば頭が疲れるっていう感じだね」

「アルトリアでもそうなるのか?」

「最初はそうだったけど久しくその感覚には至ってないね。自慢じゃないけど結構すぐに強くなってしなったから基本的に戦う相手は格下ばかりになってしまってね。その上どうやら魔王達も僕との戦闘を避けている節があるし本気で戦う事が減っているんだよ」

「アルトリアは最強の勇者だから仕方ないニャ。そんなアルトリアが協力をしてくれるんだから感謝した方が良いニャ」

そう言うキャロルは魚の切り身にかぶりついている。

「発言に説得力ないわよ」

ジト目で見るエミリーだが、全く気にしないキャロル。

「しかしお前も中々やるニャ。ちょっと冷静さがなかったとはいえあんなにあっさり捕まるとは思わなかったニャ。実戦経験はまだまだでも、少なくとも発想力と応用力はかなり高いと思うニャ」

素直に褒めるキャロルに続いてアルトリアも総評する。

「キャロルの言う通りだね。そこは経験を積めばもっと伸びる部分だし、カタログスペックで劣るなら頭を使って強くなる。それも一つの方法だからね」

「何よりこの私が一緒にいるんだから負けないわよ」

自身たっぷりにエミリーが宣言する。

何より頼もしい発言にラウルも笑みがこぼれる。

「頼りにしてるよエミリー。それとアルトリア、あとこの数日で何を準備すればいい?」

「特段多くはないと思うよ。強いて言えば魔導具の扱いに慣れることかな?」

「ならウチの周りで試してみるよ。魔物とか魔獣は居ないし」

「であるならば食料調達を兼ねて魚や鳥を魔法具で狙ってみると良い。いざ戦う魔獣とかも所詮は獣。いわゆる野生の魚や鳥の予測のつかない本能的な動きに慣れた方がいい」

「私たち魔法使いもそういう練習はするし良いと思うわよ。もし気が引けるとかなら不規則な動きをする魔弾とか出せるしいくらでも付き合うわよ」

話を聞いていたニコラスが一つ提言する。

「ならばラウルよ。冒険までお前の家にエミリーを泊めてやってくれないか?」

「え!?」

「転移門が有るとはいえ毎度毎度移動するのも億劫だろう。それに他ならぬラウルだ。エミリーも良いだろう?」

「ええ、勿論よ。ねぇラウル。どうせ旅してたら寝食を一緒にするんだし良いじゃない?」

「まぁ……エミリーなら今さらか」

「お嬢様、私はその間如何いたしましょう」

「そうね。お父様、アーシャにサポートして貰うのはダメかしら?」

「アーシャが望むのであれば好きにするといい」

みながアーシャに視線を寄越すとわざとらしく咳払いをしてから口を開く。

「お嬢様が望まれるのであれば私は拒否する理由はないです。ですので旦那様、しばし屋敷を開けさせていただきます」

「うむ、承知した」



食事を終えると予定を少し切り上げて帰宅する事になった。

理由としてはまず魔法具の選定がほとんど終わったこと。

そしてラウルの魔力回路の循環を取り戻す為にアルトリアのパーティーメンバーに会いに行く。

わざわざニコラスは転移門まで見送りに来てくれた。

「ありがとうございました。また出発前にも何度か立ち寄らせて頂くと思います」

「いつでも来るといい。ラウルであれば歓迎だ。

アーシャよ、エミリーとラウルを頼んだぞ」

「承知いたしました旦那様」

アーシャはお辞儀をするとラウル、エミリーと共に転移門に入る。

アルトリアとキャロルは自分達のパーティーに合流するため今回は別行動となる。

「じゃあアルトリア、またな」

「また連絡するよ」

すぐの再会はほぼ確定な為淡泊な挨拶で別れを告げた。

転移門を起動させるとラウルの自宅前の転移門に到着する。

「なるほど、ここがラウル様のご自宅。良くできている造りですね」

「大したおもてなしは出来ませんが空き部屋はあるんで好きに使ってください。エミリーはいつもの部屋でいいよな?」

エミリーはしょっちゅうとまではいかずとも定期的にラウルの家に泊まりに来ることがあるため実質的なエミリー専用の部屋がある。

「ええ問題ないわ。それよりも今日はこれからどうするの?まだまだ時間はあるけど」

「アーシャさんもしばらくウチにいるなら色々買い揃える必要があるよな。俺も色々欲しいものが増えたしサウスパークに行こうか」

「あのラウル様。私に対してそこまでなさらずともよろしいですよ」

「そうはいきません。この家の主は俺です。名門スカーレット家の侍女であるアーシャさんを蔑ろに出来ません。それにアーシャさんも一時的とはいえ一緒に暮らす家族なんですから。エミリーからも何か言ってくれ」

「そうよアーシャ。こういう時くらい少し言葉に甘えてもバチは当たらないわよ」

「……」

少し揺らぐ表情を浮かべるアーシャ。

しばしの葛藤の後一つ大きくため息をはく。

「承知しました。ではお言葉に甘えましてよろしくお願いしたします」

「じゃあエミリーの荷物を整理できたら行こうか」


エミリーとアーシャで荷解きを行いラウルは買い物のリストアップをしておく。

一応指輪の魔法具は装着しておく。

荷解きとはいえ大した量はなく、2人がかりならすぐに終了し1階に降りてきた。

「じゃあ食材とアーシャさんの生活に必要なもの、装備品を買うと言うことで」

「ありがとうございますラウル様。それとラウル様、旦那様よりお嬢様と私がお世話になると言うことで心ばかりではありますが“お礼”を預かっております。お受け取りください」

そう言うとジャラっと音をならしながら袋を取り出した。

恐らく金貨でも入っているのだろうと思い受け取ったが、想像以上に重量がある。

落としそうになるのを何とか耐え、あわてて袋を開けてみると驚いた。

「な、何枚入ってるんですか!?」

机の上に出してみると50枚は超す中央金貨が入っていた。


中央金貨は世界で最も価値が高く安定した貨幣であり、基本的にどの国でも同じだけの価値で使用が出来る。

リゼルハイトで最も坪単価の高い中心部の家を借りるとなれば月々中央金貨10枚ほどが目安とされている。


「贅沢しても半年以上は不自由無く暮らせるだけありますが!?」

「さぁ?もしかすれば旅の費用なども含んでいるのではないでしょうか?スカーレット家がラウル様の後ろ楯である以上万全を期して臨むように、と言うことでしょう」

「本当、ありがたいけど……こういう時の加減を知らないよなニコラスさんは」

「良いじゃないラウル。折角お父様がくれたんだし、何れは私と財布を一緒にするんだから」

しれっととんでもないことを口走るがこれはいつもの事。

指摘することもなく諦めたように金貨を数枚残して、後は袋に戻した。

「ならこれでアーシャさんの物を揃えよう。獣人向けのショップは多少値が張るがこういう課金は厭わないのが俺だからな。それともし良ければ部屋余ってるし一部屋くらいアーシャさんにキープしとくんで」

「……!全く、何から何までお優しい方だ」

珍しく少し表情を綻ばせると踵を返し玄関の方を向く。

「ではお言葉に甘えて向かいましょうか。時間とは、有限ですから」

そう言うと足早に外に向かっていった。

先頭を歩いたため、ほんの少し赤らめた頬についてはアーシャを含めて誰も気付くことはなかった。



エミリーのお出掛け、もといデートが中断されてぶりのサウスパーク。

週末の賑わいは少し収まっているが、それでも多くの行商人を含めて露店は軒を連ねている。

自然とラウルに対してはエミリーが腕を絡み、アーシャは3歩ほど後ろを周囲を警戒するように歩いている。

それぞれの位置について気にはなるが言ったところで直るものでもないしラウルは半ば諦めて受け入れた。

「ラウル様、右手の建物を曲がってください」

まずは装備品を整える手筈となった。

ただラウルといえども獣人向けのショップの位置までは流石に把握できていないためアーシャの案内を受けて進んでいく。

すると少しずつだが人の姿は減っていき、猫や犬など動物の姿が増えている。

近くを通ると犬たちは吠える様子もあるが、チラッとアーシャが視線を向けると一瞬で萎縮しどこかへと逃げるように走っていった。

「……。ではお二人とも、先を急ぎましょう」

後ろにいるアーシャから促され色々聞きたかったが道を進んでいくこととなる。

5分ほど歩いたところで目的の建物に到着したらしい。

ちなみに細い路地など曲がりまくったせいもありラウルもエミリーも道は覚えられていなかった。

レンガ造りの平屋のようだが、パッと見た印象では横に広い構造になっている様子。

アーシャが2人よりも前に出ると扉をノックする。


『━━━━━━━』


(獣人の言語か?)

聞いたことない発音の短文を口にするアーシャ。

少ししてガチャっと扉が開かれる。

「許可が下りました。入りましょう」

初めて入る獣人冒険者向けのショップにワクワクする気持ちを抱きながら敷居を跨いだ。

画力さえあればアーシャの容姿とか描きたいんですがね

アーシャの特徴

・水色の髪

・身長はラウルより頭一つ分ほど小さい

・基本的には表情はあまり崩さないようにしている

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